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日向の道を歩けない少年  作者: 霜月龍太郎
第一章 高校生活のスタートライン
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僕のバイトは

  僕のバイトはバイトと言えない理由、それは大手大企業の社長の秘書だからだ。

  秘書と聞いたら女性のイメージが大きいが男性の秘書もいるにはいるらしい。秘書と言ってもバイトだ。決して本格的なものではない。そして給料は時給千円とバイトにしては高め。この給料は銀行で受け取るのではなく、直接もらっている。お小遣い稼ぎと同じだ。

「月影くん、こんにちは」

  そう、僕を秘書として雇っている相手は光の父、福島洋介さんだ。

  僕がこのバイトをするようになった理由は2ヶ月前の出来事がきっかけだ。


  僕は隣の家で一人で住んでいたが、洋介さんからお金を渡されていた。その他にも洋介さんの妻、優香さんに毎日料理を作ってもらったりと色々してもらった。それに対し何もしていない僕は罪悪感を持ってしまい、何か恩返しをしようとしていた。だけど、恩返しと言っても福島家はお金持ちな為、何も思いつくことはなかった。

  僕が罪悪感を持っていたことを知っていた洋介さんは、僕を事務所に呼んだ。

「僕に何かご用ですか?」

  そう質問した僕に洋介さんは

「敬語なんて使わないでくれ、俺は月影くんとは対等な立場で話したい」

 と言って僕に敬語を使うのを禁止させた。

  勿論僕は敬語を禁止されるのは反対した。目上の人に敬語を使うのは必然、しかも僕からしたら洋介さんは命の恩人だ。そんな人を敬語を使って話してはいけないことが不思議で仕方なかった。けどその洋介さんが使うなと言っている。その時の僕はどうすれば良かったのかわからなかった。そんな僕に敬語を使わせない理由を洋介さんは言ってくれた。

「俺は月影くんを息子のように大切に思ってる。俺だけでなく優香も。命の恩人だから敬語を使う、目上の人だから敬語を使う、君の考えは正しい。だけど、俺たちからすれば息子に敬語で話されているようなものなんだ。息子に敬語で話させる親はいないとまでは言えないが、少ないだろ。だから俺は敬語で話してもらいたくない。俺以外の目上の人には敬語を使いなさい。だけど、俺と優香だけは敬語を使わず、気軽に会話をしてくれないか」

  この時僕は暖かい温もりを感じた。涙も流していた。こんな僕を息子と言ってくれた、僕の悩みに答えへの道しるべを作ってくれた。この2つの事は、はたから見たらなんてこともない事かもしれない。けど、僕は嬉しかった。泣いていた僕に洋介さんはハンカチを僕に渡して涙を拭かせるように言った。

  僕が泣き止んでから呼び出した本題が語られた。

「月影くんは僕たちに恩返しをしようとしているんだよね」

「なんでそれを知ってるんですか?」

「光が君の事をよく話してくれてね、恩返しをしたいと思いがあった事を教えてくれてね」

「光が?」

「そこで私たちは家族全員で話し合い、君を俺の秘書にすることにしたんだ」

「僕にそんな大役は務まりません。僕よりも他の人の方が」

  そう言っている僕に洋介さんは言った。

「君は俺たちにタダで生活させてもらっているという罪悪感を持っているのだろう。だったら、俺が君に給料を払えばその罪悪感は無くなるのではないのかな?罪悪感を持つ君にしか雇えない秘書だ、どうかな?引き受けてくれるかな?」

  そんな事を言われたら僕は引き受けるとしか言えないじゃないかと思い、僕はこのバイトを引き受けた。


「今日からバイトだね。これからよろしく」

  そう言って洋介さんは僕に仕事を与えてくれた。受験もあったのでバイトは入学式の次の日からという約束をした。

  今日やる仕事は部屋の掃除と書類の整理だ。とりあえず棚にあるものは全て床に置いて棚を拭き、ひとつひとつ慎重に戻していった。

  次は書類の整理、これはやる事を終わらした洋介さんと一緒にしていた。整理中に光のイタズラで紛れていた洋介さんの寝顔写真があった。それを見た僕と洋介さんは笑っていた。こんな日が毎日続く、そう思うと僕はなんだか楽しい日々になりそうだと思った。


  仕事を全て終え、給料をもらった。今日は4時間働いたので四千円もらった。これは給料と言う名のお小遣いの為、法に違反はしていないらしい。給料はその日に払うようになっていた。

  僕は二千円払って優香さんに料理を作ってもらうようにしている。こうする事で少しは僕が持っている罪悪感を少しなくすことができている。

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