光と不幸な高校入学
この世界では「幸せな者」と「不幸な者」がいる。誰もが幸せになりたいと思っている。しかし、絶対に幸せになれない者がこの世界に1人いた。
僕は神夜月影、今日から高校生になる。僕は生まれた時から不幸なことしか起きず、一度も幸せを感じることはなかった。おそらくこの世界で一番不幸な人間だろう。
「おはよう、月影」
後ろから元気のある挨拶をされた。
彼女は福島光、僕の幼馴染の女の子だ。生まれて間もない頃に捨てられた僕を育ててくれた家族の一人娘。福島家は超大金持ちと言ってもいいくらいの大金を持つ家族だった。
十五年前、僕は河辺に捨てられていたところを光の父は見つけてくれた。その時、僕は死にかけていたらしい。
自我を持った四歳の頃、僕は神様と名乗る者に出会った。その男は言葉を知らない僕にこう言った。
「お前の名前は神夜月影。お前はこの家にいてはならない、この家から出て行け!」
自分の名前は「神夜月影」だと知ったが、この当時はそれ以外は知ることはなかった。
次の日、僕は福島家の家の隣の家にいた。どうやら僕はこの家に住んでいることになっていた。光の親は僕に食べ物や生活に必要なお金をくれた。
昔から福島家とは関わりがあったので光のことは知っている。僕らはまるでみたいだった。
「なんで無視したの?」
少し怒りながら光は言った。僕は謝ってその場を去ろうとした。
「ちょっとなんで逃げるのよ」
光は僕に、にこにこしながらついて来た。同じ学校に通うから仕方ないと思ったが正直なところ、一人がいい。
「同じクラスだといいね」
「そんな願い通りにならないよ」
現に何を願っても一度も叶うことのなかった者が隣にいるのだから。
学校に着いて僕はクラスはどのクラスなのかを見に行った。結果は光とは同じクラスだった。僕は本当に運がないなと自分の不幸を恨んだ。それに比べて光は運が良く、お金もいっぱいある家に生まれて、リア充の塊かよと妬んだ。
入学式が終わり、教室で担任の先生が話している。ここでも不運なことが起きていた。
「席も隣なんて嬉しいな~」
そう、僕の隣の席が光の席だった。入学初日から自分の不幸さが全開だということを痛感した1日だった。