パシリの野上宗輔
放課後、僕に1人の男の子がやって来た。
「貴方が、あそこにいる2人を、駅前で、怒らしたんですね」
昨日のやつか。正直僕はほぼ何もしてないけどな。
「にーちゃん。ちょっとこっち来いよ」
すると不良の2人は僕たちの近くに来た。勿論殴る為に。
勿論昨日と結末は同じ。不良の2人は僕の目の前で倒れている。
足を引っ掛けただけなのにここまで威力があるとは思わなかった。
「おいパシリ、そいつを捕まえろ」
そう言われてパシリと呼ばれている男の子は僕を捕まえに来た。が、捕まえようとしているようではなかった。なぜならその男の子は怒りを抑えて僕に攻撃をしてきたからだ。
「本当はこんなことしたくないんだろ」
僕がそう言うと男の子は
「黙れ!貴方に何がわかるんですか⁉︎」
と言って僕に迫ってきた。そんな彼に僕は小声で
「少し動くなよ」
と言って彼の膝の後ろを思いっきり蹴って倒れさせた。
「何やられてんだパシリ!はやく立てよ!」
そう言う不良の前で僕はこう言った。
「彼を解放してやれ。さもなくばお前らをここで潰しても良いんだぞ」
僕はそう言って彼を不良から解放させ、二度と僕と彼に関わらないよう約束させた。
「さっきはごめんなさい。ほら、僕の肩使って」
そう言って僕は彼の腕を肩にかけて、近くの公園に運んだ。運んでいる時の人の目は完全に僕に集まっていた。その中には光と平川さんもいた。
近くの公園のベンチに彼を座らしてあげて手当てをしてあげた。
生憎、近くにコンビニがあった為、そこで手当てに必要な道具を買って、彼の足の痛みを治してあげた。
「さっきはごめんなさい。お詫びとしてこの手当てに使った道具代も払わなくて良いよ」
僕がそう言うと彼は
「ありがとうございます」
と言った。
「いつからパシリにされてたの?」
僕がそう質問すると彼は質問に答えてくれた。
どうやら夏休み前かららしい。彼は圧倒的な力でボコボコにされてからパシリにされたらしい。可哀想に。
「貴方も僕をパシリにするんですか?」
彼は不安げに言った。
「君をパシリになんてしないよ。僕は君をただ彼らの支配から救ってあげただけ。別に恩に感じなくていいよ」
僕はそう言ってその場を去ろうとすると彼は大声でこう言った。
「僕は野上宗輔と言います。もし良ければ僕の友達になってください!」
僕は彼の前に戻り、かばんの中にあったメモ帳に自分のアドレスを書いて宗輔に渡した。
「よろしくね、宗輔」
僕がそう言うと宗輔はこう言った。
「よろしくお願いします。えっと……」
「僕は神夜月影。好きな呼び方でいいし、敬語なんて使わなくていいよ」
戸惑っていた彼にそう言って公園を立ち去った。
家に帰ってきて僕はスマホの通知を全て見ていた。するとその中に宗輔からのチャットが来ていた。
送られていたことは明日学校に一緒に行こうということだった。勿論僕はOKを出した。
「おはよう」
そう挨拶をしてくれた宗輔。
「おはよう」
普通の会話。普通の登校。特にいつも通りだがいつもと何かが違うように感じる。
おそらく宗輔がいるからだと思った。宗輔と話しながら登校していた為、そう思ったんだろう。
学校に着くと僕を見る人は多くなった。
当たり前だ。なぜなら僕はこの学校の一番強い不良を無傷で倒したからな。
「僕のせいで月影が」
宗輔はそう言ったが僕がやったことだ。別に責任は宗輔にあるわけじゃない。
「月影くん、彼は誰?」
平川さんが話しかけてくれた。
「彼は野上宗輔。昨日知り合った僕の友達だよ」
「よろしくお願いします」
「よろしくね、宗輔くん」
そう言って平川さんたちは立ち去った。
宗輔の顔を見てみるとなんだか幸せそうに顔を真っ赤にしていた。
「大丈夫か?」
「平川さんと、話せた」
あ。そう言えば宗輔は普通の人だった。なので、この学校の女神と言われるほどの平川さんと光と普通にノックアウトになるんだな。
僕は目の前でそう実感した。