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日向の道を歩けない少年  作者: 霜月龍太郎
第三章 夏休みは楽しいですか?
15/32

遊びに行って、死にかけて、僕らの関係どうなるやら

  数日が経って僕らは平川さんと遊びに行くことになった。

  僕らはいつもの交差点で平川さんを待っていた。

「おまたせ」

  平川さんが来たようだ。

「久しぶりだね。宿題終わった?」

「終わったよ。そういう光は?」

「終わったよ」

  平川さんとは夏休みが始まってから一度も出会っていなかったので、とても久しぶりだ。

「それで今日はどこ行くの?」

  平川さんがそう質問すると光はこう言った。

「それは勿論、遊園地~!」


  皆さんは遊園地と聞けばなんと思うだろうか?

  遊園地はリア充が集まり、うるさく、何より人が多い。僕にはとてつもなく苦手な場所だ。

「とりあえずジェットコースターに乗ろっか」

「そうだね。月影くん。あれ?月影くん?」

  ジェットコースターは勘弁してください、平川さん。そう思いながら僕は顔を青くなっていた。

「あれ~、月影ってジェットコースターに乗れないの~」

  光め。わかってて言ってやがる。

「そうなの?月影くん」

「平川さん。そんな訳ないじゃん。ね、月影く~ん」

「勿論だ!」

  馬鹿野郎!何堂々と嘘ついてんだよ!くそう、このままじゃあ僕は地獄に急降下じゃねーか。

「ほらほら行くよ~!」

  光と平川さんは僕の手を引っ張ってジェットコースターに乗らせた。


「あ~、楽しかった」

「そうだね。その楽しさと引き換えに月影の元気を失っているけどね」

  今どうなってるかって?死にかけてるよ!7割死んでいる状態だよ!

「とりあえず一旦ベンチで休もっか」

「そうしよっか、ね、月影くん」

  そうしてください(泣)


  夜になり、僕らはとあるレストランで食事をしていた。

「月影くん、大丈夫?」

  僕はまだ立ち直れていない。ジェットコースターを乗らされてからずっと青ざめているらしい。

「月影って絶叫アトラクションは本当に苦手なんだね」

  光が無理やり乗せたくせにこの野郎。


  夜ごはんを食べ終えたらすごく軽くなった。財布が。

「月影くんが全部払っていたけど大丈夫?」

「大丈夫だよ」

「なら良かった」

  どうやら平川さんは僕に罪悪感を持っていたようだ。

「今日は楽しかったね」

  光はそう言った。ま、平川さんも光も楽しんでいたし、良かったんじゃないかな。ま、それと引き換えに僕の魂半分ぐらいとお金が消えていったけど。

「じゃあまたね」

「バイバイ翔子」

  そうして全員家に帰った。


  「ね、ちょっとコーヒーでも買っていかない?」

「別にいいけどそんなにお金ないぞ」

「私が奢るわよ」

  そう言って光は缶コーヒーを買ってくれた。

「何か悩み相談でもあるのか?」

「うん」

  光は下を向いてそう言った。

「とりあえず家に帰ろうぜ」

「そうだね」


 家に帰ってきて僕らはソファーの上に座った。

「で、何に悩んでるんだ?」

「最近、月影が消えて行く夢を見るんだ」

  消えていく?もしかして僕が消滅する夢を見てるのか?

「その夢は一度や二度じゃなくて何回も見てさ」

「僕が消えるね~」

「なんでそんなに呑気にしてられるの?」

「実際消えてないんだし悩むことねーだろ」

「けど」

  光は何か言いたそうにしていたけど僕は光にこう言った。

「僕が消える訳ねーだろ」

  そう言うと光はいつも通りの光に戻った。けど僕は今、嘘をついた。

  なぜなら僕は消える可能性は充分にあり得るから今言ったことは嘘になるかもしれない。消えないようにはしているつもりだが、消えてしまうかもしれない。

「月影」

  光はいきなり僕の服を握って照れながらこう言った。

「私たちって、どんな関係なのかな?」


  「私たちって、どんな関係なのかな?」

  いきなりの光の言葉に僕は笑いながらこう言った。

「どんな関係ってただの()()()だろ」

「ただの幼馴染、か」

  すると光は僕の両肩を押しながら僕の体と一緒にソファーに倒れた。

「何すんだ!」

  そう僕はそう言うと光はこう言った。

「私たちは本当に()()()()()()なの?」

「何が言いたいんだよ」

  そう問うと光はこう言った。

「私たちは()()()()()()()()()()()じゃないの?」

  ただの幼馴染以上の関係?一体どう言うことだ?

「重い?」

  光はそう質問してきた。

  そういえば、肩あたりが重い。プルプル震えている光の腕は僕の肩の上にあった。

「あれ?」

 ゴンッ

  僕と光は互いの顔をぶつけた。そして僕と光の唇がぶつかった。

「ギャーーーーー!」

  思わず僕は大声を上げてしまった。それに対して光は顔を赤くして涙目になっていた。

  この事が起きて以来、僕と光は夏休みの間に会話を交わすことはなかった。果たして僕らは、これからどうなってしまうのだろうか。

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