(04) どうやら訳ありなようです
少し回って帰ってきたらなぜか俺のベッドに獣耳娘が掛け布団を深くかぶって寝ている。ルゥとよく似たきれいな銀髪だ。いや、そんなことより本当にここは俺の部屋か?不安になり俺はできるだけ足音を立てずに部屋を出て部屋番号を見た。間違いない、俺が借りている部屋だ。しかも俺は鍵を開けてこの部屋に入っている。俺は再びゆっくりと部屋に入った。
「あの、すみません。部屋間違ってませんか。」
寝ている獣耳娘に声をかける。
「…んん。あ、あんたもう帰ってきたんだ。」
「君は俺のこと知ってるんですか?」
「知ってるも何も、この二日間一緒にいたじゃないか。ん?あれ、なんで話が通じて…なぁっ!」
急に慌てだした獣耳娘。掛け布団がはがれるとたわわな2つの果実が。なんで裸なんだ。と、俺が驚いていると、獣耳娘はギロッとこちらをにらめつけると急に俺に襲い掛かってきた。俺は簡単に馬乗りにされて押さえつけられ口と首をつかまれた。
「おい、あんた。暴れるんじゃないよ。っち、まさか変身が解けるようになってたなんてな。」
きれいな銀髪にはとんがり型の耳、そして銀色のしっぽ。この娘は間違いなく獣人族の娘だ。人族の領土のこの町にいることはかなりまずいことじゃないのだろうか。それよりも首を抑えている手をどかしてもらわないとそろそろ呼吸が怪しくなるな。俺はゆっくりと首を抑えている手を軽くたたいた。すると、少し落ち着いたのか獣耳娘は抑えた手をどかしてくれた。
「はぁ、殺されるかと思った。えっと、2日一緒にいたってもしかして君はルゥなのかい?」
「まぁ、本当の名前はほかにあるけど、そうだよ。あんたがルゥと名付けたウルフはあたいだよ。ほら、この首輪に見覚えがあるだろう。そんなことはどうでもいい。あたいの正体を知ったわけだ、あたいを奴隷商のところで売るのかい?この首輪がある限り、どうやらあたいはあんたに逆らうことができないからね。」
「ルゥ、一回落ち着いてくれ。そして服を着てくれ、目のやり場に困る。」
「へっ?…なぁ!もっと早くそれを言え!バカ!」
ルゥは飛んで俺の上からどいた。俺はストレージの中から神様からもらった冒険者の服を渡した。ルゥが着るとルゥのサイズぴったりになった。すごいなこの服。ルゥもそれに驚いているようだ。
「おい、な、なんだこの服!急にあたしにちょうど良くなったぞ!」
確かにしっぽが外に出る穴もできている。
「その服は神様にもらったんだよ。」
「えっ?」
「俺はさ、この世界の人じゃないんだよ。」
俺はルゥにこの世界にきてルゥと出会うまでの話をした。
「だからさ、俺はこの世界の人じゃないから獣人族に対して敵対心などはないんだ。むしろ獣人族のほうが好きだ!」
「この服があるからな、あんたの言うことは嘘だと言い切ることはできないな。半分ぐらい信じているということにしておくよ。」
「それでいいよ。ルゥはなんでケガしてあそこにいたの。あと、呼び方は本当の名前で呼んだほうがいいか?」
「いや、ルゥのままでいい。あたいは村で傭兵として働いてたんだ。そんなある日、町の一人の娘がいなくなったと聞いて調査したら、叫び声がしたもんだから急いで駆けつけたらそこにいたのは人族の奴隷狩りだった。まあ、獣人の若い女は人族では高値で取引されるらしいからな。あたいは娘を助けるために戦ってどうにか娘は逃がすことはできたが手痛い一撃を貰っちまってあたいが捕まっちまったってわけ。馬車に揺られて数日、少しは体が動くようになったから、隙をついて獣化して逃げた。飯もしばらくありつけてなかったから朦朧としながら森を彷徨っていたよ。その後、あんたに見つけてもらったってわけ。」
「大変だったんだな。」
「まあね。体力が尽きて獣人の姿になれなくて食べ物には苦労したがそのおかげであんたに拾われてこうやって生きていられるんだ。感謝しているよ。」
「たまたまそこにいただけだよ。それでこれからルゥはどうする?」
「あたいはそりゃぁ村に戻りたい。でも無理だね。あんたが奴隷商に売らなくても、この街の傭兵に見つかったらどんな目に遭うか、しかもあんたも巻き込んじまうからね。しばらくはあなたのペットとしていることにするよ。この首輪も自力じゃどうにもならなそうだしね。」
「俺を頼っていいのか?」
「まあ、そこらの人族よりかは信用しているよ。助けてもらった恩もあるからね。あんた、この世界に来たばかりみたいで戦い方はまだまだ素人だったからね。どうだい、あたいが教えてやろうか、森の中だったらこの服とマントでも着ればそうはわからないだろうからね。」
「いいのか。それは助かるよ。」
「クエストついでにやれば大丈夫だろう。」
そういうことで俺とルゥの2人の異世界生活が始まった。
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