(03) 初クエストは不安が残ったようです
いつもと違う天井に驚いてベッドを飛び起きた。横を見るとルゥが丸くなって寝ているのを見て、俺が今異世界にいることを思い出させた。俺が目を覚ましたのを察したのかルゥも起きてきた。とりあえず井戸で俺とルゥの体を清めておこう。
体を洗い終わりルゥの銀色の体毛がより銀色になってとてもきれいなのが分かった。ルゥは足がもう治ったのか自分で添え木をはずして不自由なく走っていた。おいしい朝食を食べて早速クエストに行こうと思う。ルゥはなぜか生肉ではなく加熱した肉を好んだ。変わり者だなぁ。神様がせっかく剣を渡してくれたが、ぶんぶん振り回すか体育の授業で習った程度の剣道の動きぐらいしかできないので採集クエストを頑張ろう。
朝食を食べてしばらくしておなかが落ち着いてからギルドへ向かった。ルゥはお留守番をさせようとしたがついて来ようと必死だったので一緒に行くことにした。今日も冒険者が自分の担当受付嬢のところへと列をなしている。ミーナさんのところは自分と同じぐらいの冒険者数人だった。ここにも格差があるようだ。クエストボードには今日のクエストがランクごとに貼られている。俺は一番下の一番下のFランクだ。Fランクは初心者でも簡単なものでお目当ての採集クエストが多くある。俺は薬草採集のクエストを計3つやることにした。ちなみにランクアップするには自分の上のクエストを3つクリアする必要がある。自分はしばらくはFランクにいることになるだろう。
「おはようございます、ミーナさん。」
「おはようございます、リュウマさん。早速クエストに行かれるんですか。」
「はい、最初なので採集のクエストですけどね。」
「そのほうがいいですよ、少しずつ冒険者のやることになれることが大事ですよ。えっと、薬草採集が3つですね。」
「薬草はクエストが書かれた紙のこの絵のモノですよね。」
「はい、そうです。少し湿った木陰にまとまって生えているのですぐに集まると思いますよ。注意事項として、塊すべてをとるのはやめてください。10本で一束にしてこのひもで縛ってください。」
ミーナさんからひもを3本もらいリュックへとしまう。
「では、行ってきます。」
「初クエスト、頑張ってください。でも無理しちゃダメですからね。」
ギルドを後にして目的の場所に向かう。クエストが書かれた紙、通称クエストカードには薬草の絵だけではなく、生えている場所の簡易的な地図やその場所の注意事項などいろいろ書かれている。その地図としおりの地図を見比べると目的の場所は俺がこの世界にやってきた場所で‘若緑の森’という名前らしい。昨日会った門番の人に冒険者カードがちゃんと取れたことを伝えて森へと向かった。
クエストカードの地図を見つつ薬草を集めていく。ドクダミほどではないが独特なにおいがする。ルゥは俺からある程度の距離を保ちつつ辺りを走り回りつつ薬草の場所を教えてくれたり、珍しそうなものをくわえて持ってきてくれる。賢い子だ。頭をなでると元気よくしっぽを振ってくれる。かわいいやつだ。
ルゥとじゃれあいながらもクエストのための薬草は集まった。薬草のほかにも、大体がルゥが見つけたもので桃色や紫の草や花に変わった形の木の実などが採れた。そういえばしおりのスキルの欄に‘鑑定眼’なんてスキルがあったなぁ。とりあえずじっと観察してみるか。すると見ていた桃色の草から青い半透明の吹き出しが出てきておそらくこの草の説明が書いてあるのだろう文字が現れた。
‘-毒消し草-
食べたり葉から出た汁を毒を受けた部分にかけることで弱い毒ならば毒を打ち消すことができる。また、調合によって毒消しのポーションにすることで毒消しの効果を上げることができる。’
ちなみにこの紫の花は、
‘-トリカブトの花
致死性の高い毒を含む花。調合によって毒を抽出して毒の矢の材料となる。’
楽しくなってしまいいろんなものを片っ端から鑑定した。フォレストコモドドラゴンのうろこやフォレストウルフの抜けた幼歯、フォレストスネイクの脱皮鱗などがあった。すると元気よくしっぽを振っていたルゥが突然立ち止まり耳をぴんと立てある方向をにらみつけている。その先にはこげ茶色の大型犬ほどのイノシシがこちらをにらんでいた。白い大きな牙が見えている。俺はとっさに剣を構え切っ先をイノシシのほうへとむけて構える。獣でも自らけがをしようなどとすることはないと考えた。するとイノシシはルゥのほうへと突っ込んでいった。危ないと叫ぼうとしたがルゥは華麗に避け、前足からかぎづめのようなものを飛ばした。飛んでいった先のイノシシに見事命中しイノシシは倒れ動かなくなった。
「よくやったぞ、ルゥ。」
まるでどや顔をしているかのような感じでルゥが駆け寄ってきた。頭を思いっきりなでると生きよいよくしっぽを振ってこたえてくれた。
イノシシをインベントリにしまい、今日はもう帰ることにした。今回のようなことがまた起きた時、ルゥが対処できなければ俺もルゥもやられてしまう。やはり自分の身を守るためある程度の技を身に着ける必要があると感じた。ミーナさんに相談してみよう。
「リュウマさん、お疲れ様です。どうでしたか。」
「無事に集めてこられました。これです。」
「はい、確認しますね。…はい、ちゃんとあります。初クエストクリアおめでとうございます。」
「ありがとうございます。そういえばクエスト依頼品以外に提出すると報酬がもらえるものなんかありますか?例えばこの毒消し草とかこの木の実とかはできますか。」
「できますよ。しかしクエストのようには報酬は出すことはできません。それぞれ状態にもよりますけど決まった金額で買い取りはできます。しかし、例えば毒消し草は今クエストに出ているので今これを受注してとってこられたこの毒消し草を提出することでクエストクリア扱いになります。」
「後からでもできるようになってるんですね。」
それから俺は昨日と今日でとってきた草や花、イノシシ(フォレストボア)を提出し、報酬をもらった。イノシシはよい値段で売れた。
「ミーナさん、ききたいことがあるのですが、ギルドで剣術の指導とかってやっていますか?」
「すみません。ギルドは冒険者にクエストを依頼人から仲介して提示するのが主な仕事なので指導は行ってないです。指導となるとスクールに通うが一番良いですね。でもかなりのお金がかかるようです。」
「そうですか。」
「冒険者は確かに危険が多く自分を守るすべが必要なこともありますが剣や魔法を使って戦うのがすべてじゃないと私は思いますよ。」
「わかりました。考えてみますね。」
「はい。」
ミーナさんに挨拶してギルドを後にする。帰り道に雑貨屋でブラシを買った。今日はルゥに助けてもらったから少しでものお礼の気持ちで毛を整えられるブラシを選んだ。宿へと帰り体を洗い早速使ってあげると気持ちよさそうにしていてよかった。
俺は剣術のスクールに通うかどうかで悩んでいた。そのせいか、眠りが浅く早くに起きてしまった。気分転換のため隣で寝ているルゥが起きないようにゆっくりと外へと出かけた。太陽の光がようやく出てきた町はいま起きようとしている。早いところではもう店の準備が始まっていた。
町に人通りが増え始めたころに宿へと戻ってきて水浴びをして部屋へと戻った。すると俺が寝ていたベッドに銀髪のケモミミ娘が寝ていた。
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