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(01) この世界は闇があるようです

暇なときに更新します。

 数分の浮遊感ののち、背中に何かが当たる感触がしたのでゆっくりと目を開けると同時に鳥や木葉が風でなる音が聞こえてきた。仰向けになっている体を起こし辺りを見渡した。青々と茂った葉を持つ背の高い木々、下には芝のような草が一面には絵揃っている。ところどころに花が咲いていたり実がなっている。


「おー!ここからだよな、異世界は。うん、空気も美味しく感じるな~」


立ち上がって手を伸ばし大きく深呼吸をする。異世界の森のマイナスイオンを吸い込むと今まで病院の空気を吸っていた俺にとってはとても気持ちのよい空気だ。辺りをよく見ると見慣れた松や杉、クヌギなどのよく知られている木もあるが、亀の甲羅のような表面の木やいかにも痛そうな枝や葉もトゲだらけの木、動いている木もあった。木の実や薬草だと思われる草、枝や鱗なんかが何を見ても珍しく感じ集められるだけ集めていった。


 そんなことをしているとあっという間に日が傾き始めたので取ってきたのを集めた。今着ているのはパーカーとジーパンだけだったのでパーカーを脱いでそこへと入れていった。するとパーカーのポケットから小さなメモ用紙がひらひらと落ちてきた。そこには筆でかかれた"ステータスオープンと言ってみよう!"とあった。おそらくゼウスさんが書いたのだろう。


「ステータスオープン!」


すると、目の前に透明のボードがあるかのように文字がパラパラと表れ、こう書かれていた。


-野月硫真-

・ビーストコネクター


<超隠蔽ステータス>

・異世界語翻訳

・異常状態無効

・病気耐性(極大)

・無限ストレージ


<アイテム>

・鋼鉄の剣 - 剣術Lv.1

・冒険者服×3 (サイズ・負荷調整可)

・魔法水筒

・アイテム入れリュック(普通のリュックです)

・携帯食料×10

・万能ナイフ (切れ味低下無効 耐久∞)

・転生者用異世界のしおり

・金貨5枚 銀貨25枚 銅貨125枚

・その他 以外と必要なモノ


<スキル>

・剣術 Lv.1

・契約術 Lv.1

・回復術 Lv.1

・全属性魔法初級 各Lv.1

・空間魔法 Lv.1

・無属性魔法 Lv.1

・鑑定眼 Lv.1


そして最後に"アイテムを取り出すのには'ストレージ'と言うべし!"とあった。


「では早速、ストレージ!」


すると目の前に黒い空間が現れた。おそるおそる手を入れると中にはもう一枚メモが入っていた。


"頭の中でストレージを思い浮かべるだけでストレージを開くことができる。入れたモノは時間が止まるので魚などの鮮度が落ちない。ただしストレージには生きた動物は入れることはできない。取り出すときは取り出したいモノを必要な分だけ思い浮かべ手を入れると取り出すことができる。このストレージはこの世界ではとても珍しいものなので取り扱いには注意すべし。"


便利なものを用意してくれたようだ。まずは最初に見ると便利であろうしおりを頭に思い描くと黒い空間からノートのようなしおりが現れた。目を通していくと現在の位置とここから一番近い町までの地図がのっていた。またその町の主な建物の位置やオススメの宿ものっていたので役に立ちそうだ。ちなみにその町はキャレルと言うらしい。


一通り読み終えるとパーカーに入れた取ったものをストレージの中に放り込み、パーカーを羽織直しリュックと剣を装備して村に向かおうとしたとき、どこからか犬の弱々しい鳴き声が聞こえた。鳴き声を頼りに低木を掻き分けていくと、汚れているが銀色の毛の中型犬が低木の下でうずくまっていた。犬と言うか狼のようだ。俺はゆっくりと近づいていったが音で分かったらしくヴゥ…と威嚇してきた。


「大丈夫だよ。ほら。」


 俺はゆっくりと手を狼の頭を撫でようと出すと、突然鋭い痛みが走った。狼は必死の抵抗をしようと噛みついてきた。俺は痛みを我慢し狼が離すのを待った。するとこちらがなにもしないのがわかったのだろうかどこか申し訳なさそうに目を向け手を離してくれた。俺は痛みをこらえながらも狼を撫でていくとどうやら右後ろ足をかばっているようだった。


 「そういえば回復術なんてスキルがあったな。まぁ、ものは試しだ。良くなったらそれでいいもんな。まずは自分で試すか。」


 噛まれた右手に向かって左手の人差し指出さしてそれっぽいことを言ってみた。


 「それじゃあ、ヒール。」


 すると、噛み傷が光りだし徐々にその光が消えると噛み傷は綺麗に無くなっていた。痛みはひいたもののまだ少し残っている。それじゃあ、このワンちゃんにもやってあげよう。


 「ヒール!」


 すると狼の脚の傷はふさがり傷を舐めていた狼もどうやら痛みが引いたのか舐める間隔が減った。急いで近くに落ちていた頑丈そうな真っ直ぐな枝を拾い万能ナイフで長さを整えたら当て木にしてストレージに入っていたタオルで脚を固めた。これで骨折していても応急処置にはなるだろう。


 これで良しっと。とりあえず最寄りの街を探すか。そういえば‘しおり’なんてものがストレージに入っていたな。


 しおりをめくっていくとこの世界全体の地図と‘転生位置’のピンがうたれたこの周りであろう地図が描かれていた。他にもこの近くにあるナバナという町があること、そしてナバナの町を含めてこの辺りを統治するパルナップ王国についても。しおりにはこうかかれている。


 “約1000年、この世界エグゼステントは多種多様の種族が共存して豊かに生活していた。その中で各種族の国同士での婚姻関係も普通に行なわれていた。そんなある日パルナップ王国にも猫人族と鬼人族からそれぞれの王国から花嫁がやってきた。その当時のパルナップ王国は幼馴染の国王と妃がいて妃は子を身ごもっていた。妃は独占欲が強く、国王が新しくきた他国の姫とよろしくしているのを見てしまうたびにストレスを感じ、ついに胎児を流してしまう。そのことを妃は自らの腹に傷と痣を作りあたかも他の国の姫がこの国を乗っ取ろうとした策だとでっち上げ、幼馴染の妃を一番に愛していた国王はそれを鵜呑みにし人族以外の関係を金輪際遮断するとともに2人の姫を公開処刑した。そのことを知った獣人の各国は報復として敵対関係と絶縁を発表しそれからというもの、たびたび戦争を起こしてきた。現在では停戦状態であり王国内の獣人は奴隷としてのみ存在している。”


 なるほど、人族至上主義の王国ってわけだ。まあ、俺は人族だろうし大丈夫だろう。しおりの地図を見ながらナバナの町を目指すか。


 俺はゆっくりと狼を抱き上げ、町に向かって歩き始めた。


読んでくれてありがとう。

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