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プロローグ 俺は異世界に行くみたいです

 目が覚めると、青く透き通った空に色とりどりに輝く星々があった。鼻や口を覆う酸素マスクは取れていて、体も軽かった。起き上がろうと腕をついたら、まるで綿あめのような柔らかい白いフワフワの地面であったため上手く起き上がれなかった。ふわふわのベッドで寝ていたようだった。起き上がりあたりを見渡すと、その白いふわふわの地面がはるか先まで続いていた。そして、気づいた。自分が死んだことを。



ー・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-



 俺、野月硫真のづき りゅうまは自分で言うのもなんだがそこそこの大学に行き、なかなかの会社へと務めるようになった。特に突出してできるものもなく普通にいる会社員だった。自慢できることは、誕生日がクリスマスイヴということだろうか。とは言ってもプレゼントとケーキは一個ずつであったため、デメリットの面が大きかったが。小さい頃から生き物が好きで昆虫は朝から夕方まで祖父の家で遊びまわっていた。動物も好きだったが思いっきりは遊べなかった。俺は動物アレルギーだったからだ。地獄のように目がかゆくなり、鼻水が止まらなくなってしまう。小学校の遠足で動物園に行ったとき友達が動物とじゃれているのがうらやましかったことを今も覚えている。それで動物関連の夢を諦めざるを得なかった。まあ、アレルギーのことはこれぐらいで。そんな俺だが、どんな人とも仲良くできた。会社では先輩、後輩、同僚には十分と言っていいほど恵まれており、会社に行くことは苦にならない、むしろ行きたいと思うほどいいところであった。


 その会社に勤めて2年目の健康診断で異常が現れた。治療しつつも仕事をしていったが、ついに入院生活になってしまった。家族や会社の仲間たちはひっきりなしにやってきてくれた。しかし、俺の体は病気には耐えられず、体はもう動かせず、何本もの管と酸素マスクをつけられやっと生きていた。最期、俺の手を握ってくれたのは誰かはわからなかったが俺は意識を彼方へと手放した。26年の短い生涯だった。


 いくらかたった後、俺は再び目を覚ました。そこは病院の白い天井ではなく、遥か彼方、限りのない宇宙が色とりどりの星とともに頭上に広がっていた。床は綿あめのように白くふわふわで、はるか先まで広がっている。どうやら俺は死んだようでここは天国か極楽かと思った。ゆっくりと立ち上がると自分の体の軽さに驚いた。寝たきり状態だった俺は、腕を上げるのもやっとだった。今は短距離走の世界新記録でも出せるかと思うほど体も気持ちも軽かった。そんな俺は、辺りを軽く走りながら見て回った。丘や谷など凹凸はあるものの辺り一面白い綿あめ床であった。しばらく見て回っていると、後ろにだれかいるような気がした。すっと体を反転させ見ると、そこには上半身裸の筋肉隆々のイケおじが立っていた。


 「ガーハッハッハー!!ようやく気づいたか、わんぱく坊主!」


仁王立ちしたイケおじは陽気に俺に話しかけてきた。白いひげを生やした、高校の時ハマったパ〇ドラのゼウスのようだった。


 「あなたは?」

 「そなたの思った通り、儂はゼウス、ここ神界を治めている神である。それにしてもよく儂の名が分かったな。ガーハッハッハー!」


イケおじことゼウス様は高らかに笑っている。


 「ではここは神界ということですか。では実際は天国や地獄は存在しないんですか?」

 「いや、存在するぞ。本来はお前さんもそっちへ行くのだが、お前さんの生き方は大きな間違いはしておらんし、なにせお前さんがしたいことができてなかった。だから、儂はお前さんを選んだんだよ、異世界に行ってもらうためにな。」

 「つまり、異世界で自分がやりたいことをやってこい、と。」

 「そうだ。」

 「でも、それってその異世界が魔王に~とか、神同士の戦いの駒に~とかではないんですか?簡単にひょいっと俺なんかが異世界に行けるのは少しおかしいですけどね。」


今までの自分の行動が確かに早死にと言う不幸があり、大きな過ちを犯したと言うこともないと思っている。しかしこれは異世界転生のお決まりが姿を現すのではないか?と思ったがゼウス様はどこかほっとしたように笑った。


 「お前さんが異世界に転生できるといって舞い上がっただけの軽頭でなくて良かったぞ。しっかりと考えておる。うむ、ではなぜお前さんを選んだか、それはな、お前さんは自分がしたかったことができてなかっただろう。」

 「それは、"動物"についてですか?」

 「その通り。地縛霊なんかは思いの強いものをやり残したことで魂が思い入れのある場所に貼り付き、儂ら神といえどもそれを剥がすにはかなりの力がいる。お前さんにも動物に対してかなりの思い入れがあったようじゃな、危うく地縛霊のようになっていたかもしれん。その思い入れを解き放つことがお前さんを選んだひとつ目の理由じゃ。二つ目は、儂ら神は普段、お前さんがいたような世界には何も手出しはしないのでな、時よりその世界にとってよくない大きなことが起きてしまうことがある。それを阻止または弱めるために、他の世界から違う知識や考えを持つ者を選び送るのじゃよ。今回はお前さんに白羽の矢がたったという訳でな、行ってもらえるか?」


こっ、これはまさかのラノベでお馴染み、異世界転生のチャンス到来っ!と思ったものの 一会社員が行ったところでとも思ってしまった。その心を読んだのか、ゼウス様は、


 「会社員だからと悩んでいるようだが、そのことは全くとは言わないが、そこまで必要というわけでもない。お前さんに必要なのは、どんな人に対しても接することができることと、動物が好きということが必要じゃな。詳しくは言えないがお前さんに行ってもらいたい世界は、凶悪な悪者という存在はいない。人族と魔族も仲が良いが魔物がその輪から大きく離れてしまっている状態なんじゃ。ただひたすらに倒されるというものになってしまっている、そこでお前さんの動物に対する想いをその世界で発散することでそれを見た世界の人族と魔族が魔物に対し、お前さんと同じような考えを少しでも持ってもらいたいというのが儂らの考えなんじゃ。かといって、敵意をむき出しにした魔物を無理やりなつかせようとしてもそれは無理じゃぞ。冒険者になりたければ討伐してもよい。ちゃんと味方になってくれるモノは何かを感じるはずじゃ。」

 「どこかの王様に合って、戦争に行けだの、この魔物や魔族を倒してこいなんてことはないということですか?」

 「大丈夫じゃ。お前さんは地球ではできなかったことを新たな世界で存分にやってもらえるほうが儂らにとってもその世界にとっても良いほうに傾く。では行ってもらえるということかの?」

 「そうですね、行ってみます。」


俺は、そこまで疑り深いわけではないがこんなことが起きてはそうならざるを得ないだろう。でもしっかりと顔を見てはっきりと話すところから大丈夫だと判断した。


 「なにもそのままで送り出すには流石に向こうでは生活しづらいかもしれんからな、5つお前さんの欲しいものや必要なものを用意するつもりじゃ。普通に生活するのに必要なものはもう用意してあるから安心してよいぞ。」

 「5つもですか。」

 「うむ。じゃが不死身などの夢のないものは駄目じゃな。言っておくが儂らも不死身ではないぞ、ちゃんと世代交代をしておるからな。」


これは驚き、神様も死ぬときは死ぬのか…神は絶対な存在で不老不死な存在だと思ったが。まあ、それは置いといて今は俺に必要な5つのものを考えないとな。



俺は考えてゼウス様にこたえていった。


 「では、1つ目は、健康な体が欲しいです。もしその世界で結婚できたならその相手と孫の結婚式を見るまではみんな一緒で笑っていたいので、そこまでは大きな病気にはかからない、できなければかかりにくくしてほしいです。」

 「うむ、わかった。儂の加護にその願いを加えるとしよう。2つめは?」

 「2つ目は、アレルギーがないようにしてください。たくさんの動物と何の心配もなく触れ合いたいです。それとまいとし、花粉症に悩まされましたからね。」

 「アレルギーか、向こうの世界ではそのような考えはないが、大丈夫じゃ。それに類似したものを用意しよう。」

 「3つ目は、生き物と仲良くしやすくしてほしいです、少しでもいいので。」

 

 「やはりその願いは欲しいか、うむわかったぞ。4つ目は?」

 「転生先は村か町の近くの森でお願いします。」

 「町の教会ではだめなのか?」

 「いや、転生と言ったら始まりは森の中なので、俺の中では。」

 「そうなのか。うむ、わかった。最後は?」

 「最後は…そうですね。地球にいる家族と仕事仲間たちにちゃんとしたお別れと、もし俺がいなくなって悲しんでいるならば少しでもいいからよい生活になるようにしてもらえませんか。」


最期はしゃべることができなかったので言いたいことを言えなかった。感謝だったり、これだけは言いたいことなどなど。


 「わかったぞ。よし、準備が整ったぞ。では始めるぞ、行き先は村の近くの森じゃったな。ついた先には儂からのプレゼントがあるはずじゃ。それがあれば大体のことは大丈夫じゃ。では野月硫真よ、第二の人生を楽しむがよい!」

 「わかったよ。行ってくる!」


すると光で覆われ、反射的に目をつぶった。

 



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