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一度でいいからこういうのやってみたかったんだ!

見事困惑しているところを新聞部に劇写され、その新聞部の生徒を海に放り投げた姉上。どっから出てきたんでござるか彼女は。いやここは甲板だしどっからでも出てこれるか。


「ったくなにやってんだお前は」


「あ、姉上」


「あ、お義姉さん」


「字ィ!!! 誰がお義姉さんじゃボケぇ!」


さすが姉上、今日のツッコミもキレッキレでござる。


「冗談はさておき、二人とも副長が呼んでるぞ」


甲板から中に戻り特別大きな部屋に入る。個人の部屋ではなく応接室のような部屋だ。レイミさんともう一人、知らない中年男性がいる。いや、ていうか副長ってあーた族じゃないんだから。


「来たわね。、ありがと珠姫さん」


「いいえ、では私は外にいますので」


そう言って部屋を出る姉上は普段と違って随分と社会人らしく見えた。


(普段はティラノサウルスみたいなあの姉上がしっかり社会人してる……)


「さて、先に紹介するわ。こちらはアメリカ海軍太平洋艦隊司令よ」


「太平洋艦隊司令…?!」


「ご紹介に預かったアメリカ海軍太平洋艦隊司令、ビリー・ローズウッドだ。今回のミッションに参加できることを光栄に思うよ」


「ビバリーヒルズにいたりしまんせん?」


「あなたにはまだ何も話してなかったから驚くのも無理はないわね。まだPDAも見てないんでしょ?」


「え、ええまあ……」


「今回は私達だけじゃ無理だから、ホワイトハウスのハゲ頭ひっぱたいて艦隊貸してもらったの」


こ、これは…。今さらながら吾が輩とんでもないことに首を突っ込んでしまったのでは…。いやっ、っていうかそんな簡単に貸してもらったって言うけどんなアホな。ホワイトハウスのハゲ頭? 太平洋艦隊? アメリカ軍太平洋艦隊ってどんだけの規模だと思ってるでござるか。


「突然だけどブリーフィングを始めるわ」


「えっ、今ここで?」


「予定が変わったのよ。サード・アイが呼び寄せた隕石の速度が一日分早まったからこちらも一日早く動かなければならなくなったの」


「なんと」


「こっちの動きもバレてんのよ。といってもやることは簡単よ、既に展開している原子力空母から撃墜するだけだから」


「だけだからって簡単に言うでござるね……」


「大気圏ギリギリまで引き付けて、巨大な一撃で燃え尽きてもらう作戦よ。念のため燃え尽きなかった場合を想定して破片の落下地点を予測、周辺海域については私達で処理、その他拡散したものについては予測地点に該当する国に軍出動の要請をしたわ」


「既に我が艦隊は展開を完了し、魔術による隠蔽工作にて待機している。あとは撃ち落とすだけだ」


「アクシズ落としからなんにも学ばないでござるね、人類は」


なんだか壮大な話になってきたでござる。インデペンデンス・デイじゃあるまいしなんでこんな大掛かりなことを。そもそも艦隊まるごと借りる理由と、吾が輩やカレンさんを出す理由が分からないでござる。


「で、問題がこれ。カレン、部屋の電気消して」


「はい」


部屋が暗くなりプロジェクターが何かを映し出した。これは…巨大なロボット……? それに無数の小型を従えているように見えるでござる。


「こっちの動きを潰すつもりなのか、数日前に目撃された魔術機動兵器よ。おそらくコイツも来るわ」


Oh…。


「yeah。我が艦隊も総力戦は覚悟しているが、このミッションは秘密裏に処理されなければならない。つまり大きな損害は出せないのだ。ここまで言えば意味が分かるかい?」


「艦隊を防衛しつつコイツの吾が輩達に相手をしろと、そういうことでござるね」


「随伴している雑魚は艦隊が受け持とう。友軍射撃に当たるでないぞ?」


「隕石を撃ち落とすのはリエッセさんが担当だから」


「あの人もなかなか忙しいでござるなあ」


現実味を帯びてきた非現実。こんなのはテレビやゲーム、アニメの中だけのことかと思っていたのに、この世界はいつの間にこんなファンタジーな世界になってしまったのだろうか。


「ところで司令官さんに正体話してるんでござるか…?」


「話さないでやってもらうのは無理じゃない?」


「それは、まあ…」


世界の秘密をそう易々と話してしまってもいいのかとは思うでござる。


「大丈夫だ少年! ロイヤルセブンは我が艦隊でもアイドルだ!ファンクラブもあるぞう! 秘密を漏らす者など誰もいない!!! 一度でいいからこういう秘密作戦やってみたかったんだ!! くーっ! 燃えてきたァー!!」


「はあ…、そうですか……」


パッと法被にはちまきにサイリウムを差して、うちわにペンライト装備の姿に変わる司令官さん。それでいいのか太平洋艦隊!

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