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生えー

「じゃあいきなり変身する前から中身変わってたんだ」


「吾が輩は演技というものとは縁がないから大変だったでござる」


「あのほんの少しのやり取りで信じてくれたお二人には頭が上がりません」


「あの……、この腕治るんですよね?」


「伊達に神剣やっておりません。あなたの腕もそのうちに生えてきますよ」


「生えー」


「生え?! ボク人間なんですけど…」


怒濤の如く好青年を投げ飛ばしていたとき、彼はかろうじて寄生虫から意識を取り返し、自身が操られていることを吾が輩に告げていた。そしてどうやったのか、その話を勝手に聞いてた青龍たんが一芝居打とうと提案したでござる。


「おもいっきり斬れてるし刺さってたのになんともないなんてスゴイね」


「神剣の神通力はスゴイんです(フンス」


鼻息荒く胸を張る半裸の神剣。これが息遣いの荒いハァハァした半裸の少女なら興奮するのに……。スゴイのは物凄く場違いなそのスケスケェな透けた巫女服でござる。


「死体の収容、完了しました」


「ご苦労様です。父の行方は…」


「目下捜索中です。しかし目星もなく難航を極めます」


数人の黒服さん達が報告に来る。国家首席の息子というこの好青年さんはホンモノだったけどお父上はニセモノだったでござる。つまり誘拐でござる。


「くっ……もっとボクがしっかりしていれば…」


遡ること数ヶ月前、さきほど死んだ最下級の鬼が人の姿で現れ青年に近づいてきたんだそうな。いつまでも空いたままになっている、国立博物館にある神剣の台座。これを四本揃えて差し上げましょうと。そうすれば国民は喜びあなたの将来も安泰ですよと。


「僕が自分の将来について目が眩んだと言われたらそれまでだ。だけど神剣が四本揃って国の皆が喜ぶのなら…、そう思って話に乗ったんだ。それがこんなことになるなんて……。コレクター厨としては揃えないと禁断症状が…」


「中国も広いでござる。闇雲に探しても見つからないでござる。主犯の一人はぶっ殺しちゃったしどうしたものやら……」


「なんですか?私が悪いんですか?(半ギレ」


「リエッセねーちゃん呼ぶのは?」


「ここに来るまでに時間が掛かりすぎるでござる、その間に逃げられるでしょ」


ロイヤルセブンで最もサーチ能力に優れているリエッセさん。とはいえ呼んでから探してもらうのではタイムロスが大きすぎるでござる。


「出入国禁止令はすぐに発令されます。港や空港からは出られなくなるでしょう」


「我が国では西側が問題です。陸続きになっている上にあの地形、どうしても国境警備の薄いところはあります。タクラマカン砂漠に入られたら厄介だ」


「あの…」


「どうしたでござるか?」


二人の姿を隠した『ゲスト』。正体が正体だけにこの二人にも早いとこお帰り願いたいでござる。


「姫様を助けていただいたお礼をまだ申し上げておりませんでしたので…」


「ああ、いえ、大したことじゃないでござる」


「あなたは私に体を貸していただけですからね」


「おじちゃんありがとう!」


「お兄さんでござる!!!!」


「ぶっちゃけるとお兄さんっていうより近所のにーちゃんって感じかなとボクは思います」


まだおじちゃんって年齢ではないでござる。まあ、これだけ小さな子どもからしてみれば吾が輩もおっさんなのでござろう。


「そういえば秘書さん、このお二方はどうやってこの『ここ』に来たでござるか?」


「えっ?それはその…車で来たに決まってるじゃないですか…」


「目が泳いでる泳いでる。どっかの未来に帰る車じゃないでござる。そういうことを聞いてるんじゃないでござる」


「いやあの…、ええと……その……」


「ま、向こうの『世界』に連れてかれている可能性がないならそれはそれで今は構わんでござる。その代わり、帰りの飛行機でねっとりどろーり聞かせてもらうでござる」


「あうあう……」


「もしそういう手段なら私が察知しますよ。それに、お二方がここまで顔を隠すということは秘密でいらっしゃっているのでしょう?」


「申し訳ありません、その通りです。おそらくこの事件は私たちの世界に住まう者の仕業。本来ならば私たちが始末しなければならないことなのですが、私たちがここにいることを知られるワケにはいかないのです」


「『龍だから』…でござるか?」


「……!」

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