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ひっひっふー

だら…だら…


「もう一日過ぎたのにまだ帰ってこないね」


「スーさんや、ドラゴンナイトにペガサスナイトを近づけたらダメでござる」


「えー、なんで?」


「ソッコー狩られちゃうでござる」


ベッドでだらだらしながらスマホのゲームで暇を潰す。二人して着替えもせずにパジャマのままでござる。食事は持ってきてもらえばいいし。秘書さんは一体どこで何をしてるのか。夜になっても帰ってくることはなく電話も何もなかったでござる。


「お待たせしました」


「お待たせされましたでござる」


「おっそーい!」


筋肉痛も昨日ほどではなくなったし、いい加減放置プレイにも痺れを切らす。どっか観光にでも行ってしまおうかと思ったら帰ってきたでござる。


「では本来の用事を済ませに行きましょう」


早速ホテルを出て車に乗る。初めて海外に来たけど、車に乗るときドアを開けてもらえるのはどこも一緒なのでござるな。最初の頃は普通に自分で開けようとしたら止められて驚いたでござる。


「今日は山奥の廃寺に行きます」


「ハイジ?」


「ボク知ってるよ!アルプスの少女でしょ!」


「違います」


冴えるボケ、切れるツッコミ。トリオ漫才ができるんじゃなかろうか。


「誰にも管理されなくなった誰もいないお寺です。向こうの方々は身分があるので人の目の付くところでは決闘なんかできません」


「な~るほど」


「THE・ワールド!」


「静かにしてください」


「は~い……」


廃寺で決闘とはますますフインキ出てきたでござる。ついに決着を着ける時が来た!


「戦野さん、剣はお持ちですね?」


「えっ、いいえ?」


「えっ?」


「えっ?」


「お兄さんまさか、剣を賭けて戦うのに剣持ってきてないの?」


「アッハイ」


「いや、あの、ちょっと待ってください。本当に持ってきてないんですか?」


「アッハイ」


「じゃ、じゃあ剣今どこに?」


「自宅のリビングに飾ったままですが……」


「はああああああ?!」


「おおう?!」


思いきり驚かれて胸ぐらを掴まれた。だ、だって勝負するとは聞いたけど持ってこいとは言われてないですしおすし。えっ?なに?吾が輩が悪いの?


「あなたは!なんで!!どうして!!!持ってきてないんですか!!!!ええ?!言ってみろよこのブタ野郎!!」


「ひぃっ!だだだだだだ、だって刀剣類の持ち出しには特別な許可が必要でして、そんな突然言われても短期間で下りる許可ではないからして置いてきたでござるるるるるるるるる」


掴まれた胸ぐらをガクガクされて、


「秘書ねーちゃん、落ち着いて。ひっひっふー」


ひっひっふー、ひっひっふー。


「ひっひっふー、ひっひっふー。いやこれ出産時に行うラマーズ法ですから!どーせ私はもう30なのにまだ独身ですよ!!彼氏の一人もできませんよ!!!ええできませんよできませんとも!!!一年中365日働いてばっかで休みなんかロクに取れないしプライベートなんかシャワーと着替えを取りに帰る時間くらいで労働基準法なんか豚にでも食わせろ!!!こんなんで彼氏なんかできるワケないでしょどうせ私は漬物石の行きおくれよ!!それが何か問題が???!!!!」


「お兄さんもほら!今すぐ青龍を呼び出して!」


「おーい!!……こうでござるか?」


「お兄さんはボクのことバカにしてるのかな?」


「なんという理不尽。呼び出すと言われても何をどうすればいいやら」


「青龍はまだ『仮想化』してないですから『現実化』も出来ないんですよ」


「あー、まだ青龍とお話出来ないって言ってたもんね。なんだ、お兄さんザッコ」


ええ……、なにこの理不尽。突然のブタ野郎からザコ扱い。そもそも『仮想化』とか『現実化』とかなんのことでござるか!


「いいですか戦野さん。『現実リアル』を『仮想ヴァーチャル化』し、『仮想現実ヴァーチャルリアリティ』を『現実リアル』のものにするのです。『仮想ヴァーチャル』ではなくなるのです。この『仮想現実ヴァーチャルリアリティ』と『現実リアル』の往来を個人の自由意思によって、武器を瞬間移動させるのです」


「お、おう……」


この人何言ってるのかさっぱり分からないでござる。現実を仮想化?仮想現実を現実化?何をアッパラパーなこと言ってるでござるか?


「物凄く簡単に説明すると戦隊ヒーローシリーズのスーツが瞬間移動する系の科学技術のことだよ」


「ああ〜」


「そういう説明で納得されると私の立つ瀬がありません」

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