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実戦経験アリの人

中国のある山中。


「なんで初飛行機搭乗シーンとか中華なホテルに感動するシーンとかないでござるか」


「自分で空飛べる人が空を飛ぶ乗り物に乗ってるところやっても仕方ないですから。余分なシーンをやってる尺がないとも言います」


「切実ですなあ」


軽装甲車で荒い道を突っ走り、例の写真が撮影された村に向かっている。既に村人は他の村に引っ越しさせているから廃村になっているそうだ。


「運よく助かった村人には口止めをしてあったんですが、先日の上野公園で無駄になってしまいましたね」


「しかしこの件に黒幕がいたとして、どういう考えであんなことをしたんでござるか。アレじゃ野生の欠片もないワンコでござる」


「驚くべきは花見客の順応性です。あんなワケの分からないことが起きておきながらパニックになるどころかさらにばか騒ぎするとは、流石は日本人、未来に生きてますね」


「酔っぱらいばっかりなのが救いだったでござる」


内心、軽装甲車を運転できる秘書さんもどうかと思った。この人はデスクワークじゃないでござるか。今もいつものスーツ姿ではなくいわゆる迷彩服にブーツという軍人ルック。


「人民解放軍から借りられたのはたったのこの一台のみ。中国当局は本当にやる気があるんでしょうか」


「死者が出ているなら仕方ないでござるよ。本当なら山火事とでも称して焼き払いたいだろうところを抑えてもらってるんだから」


走り続けて三時間、ようやく廃村に到着した。軽装甲から降りて様子を伺う。人の気配はおろか生物がいる気配はない。荒れ果てて家だったであろう建物は崩れ、家畜を飼っていただろう小屋は見る影もない。


「は~、トイレトイレ」


「緊張感を持ってください」


「三時間も硬いシートに揺られてたらトイレだってしたくなるってもんでござる」


そばの木陰で用を足していると奇妙な足跡を見つけた。それは熊という大きさではなく、例の未知の生命体という大きさではない。細い木なら簡単に倒してしまいそうな大きさの足跡だ。


「これは……?」


息子をあるべき場所に戻して足跡を辿る。その辺をうろうろしたあと村に入っている。家屋や小屋を壊したのはこの足跡の持ち主でござるか。


「秘書さん」


「プロではないのに見つけるのが早いんですね。まあ、この大きさじゃ当たり前ですか」


「これについて何か連絡は?」


「いいえ、何も」


村の真ん中あたりで地面を目で追っている秘書さんのそばに寄る。資料にない足跡だ。


「足跡はまだ比較的新しいもののようです。この大きな足跡の他にある小さな足跡は例のワンワンのものでしょうが、こちらは消えかけています」


小さな足跡はまだらで不規則、数も多く決まった動きをしていない。つまり群れを成してこの村を襲ったのだろう。


「獰猛な方のワンワンはもうほとんどが処理されていますから気を付けていれば問題ではないでしょう。……増えていなければ、の話ですが」


「問題はこの大きな足跡の持ち主。ゾウやサイの類いではなさそうでござる」


大きな足跡をよく見ると、進行方向側に穴が五つ空いているものがある。


「まさか爪を立てた時刺さったでござるか」


「そう考えてもおかしくはないですね。装備を持ってきてよかった」


装甲車からガチャガチャとなにやら物騒な物を出してきた。拳銃、ショットガン、スナイパーライフル、マシピス、マイン、手榴弾、RPG、ロケットランチャー、ナイフ。どこに積んでたでござるか?


「え、秘書さんそれは…?」


「私物です」


んー、ん?んん?私物?


「失礼ですが、前職とかあったり?」


「ある国の軍人を経て多国籍傭兵部隊からのPMCをして武蔵野に引き抜きでした。秘書の傍らでスパイを消す仕事をしています」


戦う秘書(゜∀゜)キター! これで勝つる!


「秘書さん吾輩ん家でメイドやらない?」


「は?」

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