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焼き印

「行っちゃった」


「こりゃーまた血を見るかもな…」


「カレンさん恐すぎワロチ」


激おこのカレンさんは火傷というキスマークを残して病室を後にした。根性焼きじゃないんだからマジカンベンしてほしいでござる……。


「取り敢えずお前はまだ寝とけ。こっちのことはこっちでなんとかすっから」


「シオンさんもそんなに動けるはずはないでござるよ。手加減するだけの余裕はなかったし、鎧を砕いて吐血するほどの一撃を叩きこんでますしおすし」


「へえー、やるじゃない。でもねござるくん、私たちも超再生くらいできるのよ?」


「えっ」


「私たちの方が戦姫として長い分、あなたよりもずっと速くね」


なんと……。


「アタシらなら腕の一本や二本くらい簡単に生えるぜ?」


ピャー


「お腹に穴空いたくらいじゃ休暇にもならないわ」


あ、分かった!この人たち人間じゃないでござる!


「お前はシオンを止めただけよくやったよ。表向きサード・アイの事件ってことで魔術師やシオンの暴走は伏せてある。絶対に喋るなよ?」


え、ああ、そうですか。母上に銀座の事件って言われたから何か起こったことにしたのかと思ったら吾が輩達が知っていることは全て揉み消すんでござるね。


「魔術師といえばあのビジネスマン魔術師さんは無事なんですか?」


「おお、なんか転がってたおっさんだろ? 魔術以外はまったくの普通の人間なのに無事に生きてたぞ。半年は入院してなきゃいけないらしいけど」


「それは十分無事じゃないです本当にありがとうございました」


少しホッとしたでござる。敵にも関わらず吾が輩を庇ってくれた、味方よりも常識があって話が分かる融通の効く良きおっさんでござる。お礼も言えないまま死なれたのでは寝覚めが悪いというもの。


「じゃあ私たちもそろそろ帰るね。シオンは探さないとだし、カレンは止めないとだし」


「あーあー、またバーチャンに怒られるんだろうなー……」


トモミンがリエッセさんの肩を叩いて慰める。病室を去る二人の背中がいつもより大きく感じた。ビジネスマン魔術師が転がってたの知っているということは、やっぱり吾が輩は助けられたんでござる。


(先輩諸氏にはまだまだ敵わんでござる)


一週間後、再検査を受けて特に異常なしとのことでめでたく退院の運びとなった。ただ、担当の女医さんに一つだけ釘を刺されたでござる。


「ンッフッフッフ、面白い身体してるんだねキミ。本当は私の気の済むまで隅々を調べてみたいんだけどどう?」


「遠慮するでござる」


「そう?とにかく絶対に他の病院でレントゲンやMRIの類いはやっちゃダメ。心臓に何かくっついてるって本当だったのね。他でやってバレたら大騒ぎだから気を付けてね、もしどうしてもって時はウチに来なさい」


とペンでビシッと差された。まあ車でならそんな遠い距離ではないからかまいませんが。


「ねえねえ、お兄ちゃん。最後女医さんとなに話してたの?」


「変な事件だったから退院しても油断しないでね、だそうでござる。LIME渡すから何かあればすぐ連絡するようにって」


「あらあら、この子ったらまたナンパしたのね」


病院からの帰りの車。今日は珍しく母上が運転手。こんなときくらい後ろに座ってもバチは当たらんでござろう。


「違います、ナンパじゃないです」


「お兄ちゃんバンソーコー剥がれかけてるよ?貼り直してあげる」


「あっちょっそこはいいでござる!」


「いいからいいから。こんなときくらい妹に甘えなさい!」


「いやマジでやめ…!」


そこには消えないキスマークが! 大き

いバンソーコー貼って隠してるのに!


「そおい!……お兄ちゃーん、コレハナニ?」


「いやこれには深いワケが!」


「ちょっとー、後ろで騒ぐのやめなさい」


「おかあさーん、お兄ちゃんがまたキスマークつけてるー。しかも前科二犯の唇と形違うよね? ね? ね? どういうことオ・ニ・イ・チャ・ン?」


「あらあら、お盛んねえ。でもちゃんと避妊は付けるのよ?」


「ちょっ母上!妹君の前で何言ってるでござるか!」


吾が輩なんにも悪くないもーん!

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