ヤンデレラ
「だーもう!お前ちゃんと見とけよ!なんのためにデカイ個室に入れたと思ってんだよ!」
「いやいや、吾が輩に言われましても困るで早漏」
「あーあ、せっかく同じ部屋にしたのにー」
ナースコールして一時間後、いつものメンバーが揃っていた。
「むしろ吾が輩が色々聞きたいでござる。シオンさんがファングだったとか四神剣持ってるとか銀座の事件に巻き込まれたことになってるとか」
これで吾が輩が顔を合わせたロイヤルセブンのメンバーはシューティングスター、ファントム、バーニングローズ、ファングの四人になったでござる。
「……ござるくん、ここだけの話。四神剣は全てあなたを含めた私たちロイヤルセブンが持ってるの」
「ダニイ?! 世界征服でもするつもりでござるか?」
「ちなみに朱雀はカレンが持ってるわ」
「いえーい」
「玄武はライブん時に来てたヘブンズ・ミスが持ってる。その内会う機会があったら見せてもらえ。って今はそんなことはいーんだよ!あのバカ探さないと保護者のアタシがバーチャンに怒られるっつの!」
いやいえーいでピースじゃなくて。まさか伝説の神剣を吾が輩たちだけで牛耳っているとは驚きでござる。
「なんで吾が輩に青龍なのかは分からないけど、なんで吾が輩の正体がバレているはずのところをバレずに済んでいるのか分かったでござる」
「ぶっちゃけ私たちも正体はバレるところにはバレてるのよ?でもそれを世界中で人助けすることと代わりに隠蔽してもらってるの」
「ほおほお」
「ついでに超法規的存在にもなってる。いつどこで何をしても、全てロイヤルセブンの名の元に許可され罪に問われない。ちょっとハワイで泳ぎたくなって飛んでって不法入国しても怒られない」
「ハワイでござるかー」
なにそれしゅごい。
「だーもう!お前ら呑気に喋ってんなよ!おいござる!心当たりくらいないのかよ!」
「ありまてぇーん。いや真面目な話、昨日今日くらいの付き合いしかない人の行方なんか心当たりないでござるよ」
「くっそー。病院にいるときくらい大人しくしてらんねーのかよあのオテンバ。ああそうだ、レイミから書類預かってる。置いてくから目ぇ通しとけよ」
ウェ?
「返答は退院してからでいいって話なんだが、武蔵野学園で用務員やらねーかってさ。人が足らねーんだと」
「だが断る」
「いや即答かよ、つかアタシに言うなよ。じゃあこの書類は返しとくわ」
「じゃあ私たちはシオン探しにいくから。ござるさんは脱走しちゃダメですよ?」
ふとカレンさんが顔を近付けてくる。
「脱走なんかしませんでござるいやあの顔が近……」
首筋の一番下、鎖骨の近いところにマシュマロのような柔らかい感触。生暖かい人肌の温度。ぬるりと唾液のぬめり。熱く熱く、淫靡な唇を感じて紅潮する肌。
「うひっ」
鎖骨を舐められて感じる。痛いくらいに吸われて感じるとか吾が輩ひょっとしてドエ……。
ジュワッ
「ぅあっっっつぁ!!!!!!!」
「ふふっ。レイミさんもシオンもキスマークしたって言うから私も。焔のキスマーク、簡単には消えないから…♪」
自分のことをマゾだと思った時期が吾輩にもありました。鎖骨に焼印をされてばっちりくっきりキスマークの形が残ったでござる。まさかの根性焼き。
「私の好きなひとを傷付けるならそれが例え仲間でもユルサナイ…。私はバーニング・ローズ。獄焔の薔薇。消し炭にしてでも引きずり出す」
(((ヤンデレこわー……)))
左の鎖骨を押さえながら息を飲む。こりゃーまたしても修羅場の予感でござる……。