数の暴力と理不尽
そして拡声器をサブマシンガンに持ち変えたテロリストが威嚇なのかその辺にバラまいているでござる。
「なんだそこのセイウチは。ニッポンはセイウチがマック食ってるのか」
「だから海洋生物でまとめるのやめてくださいでござる。誰がデラックスだ誰が。吾が輩はあそこまでドスコイ体型じゃないもん」
「くそったれがうぜーんだよハゲ。さっさと家に帰って糞して寝てろゴミクズ」
「ちょっ、姉上!」
空気の読めない姉上。巻き込まれて激おこでござる。いやでもせめて口に出すのはやめて欲しかった。
「なんだ、そこの女。抵抗するなと言ったはずだ。なんならお前からみせしめにしてやろうか?」
「上等だよやってみろよ」
「言ったな。自己責任だ、死んでも恨むなよ」
席から立ち上がりテロリスト相手にメンチを切る姉上。それに乗っかっちゃうテロリストさん。ああもう、吾が輩の周りは危ない人ばっかり……。
「死ねえ!」
テロリストが姉上をみせしめに殺そうとサブマシンガンを発砲する。マガジン一本を消費する連射だ。
「オラオラオラオラオラオラ!」
「フン、口ほどにもないわ」
「ひいいいいいいい!」
連射される弾丸をなんと素手で弾き飛ばし、涼しい顔をしている姉上。その光景に怯えるテロリストさん。間違っても手を引かれていたおばあちゃんではない。
「姉上、やはりそこに気付くとはサ○ヤ人か……」
「誰が宇宙人だコラ」
いやいや人間やめてるでござる。普通の生身の人間が素手で弾丸を弾き飛ばすなんて出来ないからね?
「お姉ちゃんすごーい」
これお姉ちゃんすごーいで済ませていいのかな。いや、そんなことはない(反語法?)
「なっ、なんなんだお前は!」
「ピチピチのかよわい女子大生だよ。なんか文句あんのか?」
「うっ、嘘だっ!」
そうだそうだ、かよわいは絶対に嘘だー。
「嘘じゃねーよ。なんなら学生証見せようか?この後映画観ようかと思ってたから持ってきてるんだよ、学生割引の為になー」
この時の空気は気迫というより、恐怖を肌で感じ取っていたと言った方が正しいのか。姉上の顔がみるみる内におでこからツノが生えキバが生え鬼の形相へと変貌していく。テロリストさんが何人いるのか知らないけど、怒らせちゃいけない人を怒らせてしまったでござる。つまり姉上の最強最凶最恐最狂無双伝説キタ━(゜∀゜)━!
「おら、割引目当ての学生証だ。そうだな……、昼飯も映画も邪魔されたことだし………テメーの命も割引してやろうかああああ?!あああああん?!」
「ヒイイイイイイ!」
「なんパーセントだ? 10%か? 20%割引か? 50%割引か? それとも100%割引かあああああ?!ちょっとツラ貸せやコラアァァァァァァ!!!!」
「マ、ママァァァァ!」
100%割引ってそれ死んでるでござる。泣き叫び逃げ惑うテロリストさん、脅迫する姉上。これじゃどっちがテロリストか分からんでござる。
「タケ」
「ういっす!」
「バッグから髪留め」
「ういっす!」
「ちょっと暴れてくるわ」
「ういっす!」
急いでバッグから髪留めを探し手渡す。その間0.5秒。渡された髪留めで下ろしていた髪をまとめあげポニーテールにする姉上。なぜこんなに手渡すのが速いかって?吾が輩は死にたくないしトラウマに苛まれるのはゴメンでござる。