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最終回 それから これから

 数週間後────


「アォンちかれたもぉん」


「オメーは犬か」


 渋谷交差点のあの一件で全世界に知られるところとなった吾輩の正体と妹君。今の人間としての姿を見られたワケじゃなかった吾輩と違って、妹君は家から出られない日々が続いているでござる。


「まあまあ。しばらくはこの状態だし、いつまで続くかも分からないんだから今日ぐらい良いじゃない」


「ほーん、ともみんは肩持つのね」


「な、なによ」


「別にー? ござるのこと迎え入れるの一番渋ってたのがそういうこと言うんだなーって」


 おっとお?


「ほほう?」


「やだちょっと! 本人の前で言わないでよ!」


「うるせーよお前ら、風呂くれー静かに入れねーのか」


 怒られたでござる。数週間ぶりの休みを取って皆で集まってサロンでお風呂。流石に広いサロンのお風呂も、9人も集まると狭くはないけど少し距離が近くなる。ダリアたんは吾輩にくっつきっぱなしだけど。


「疲れてんのは皆一緒だっつーの」


「それもこれもアンタが隠し事するから」


「アッハイ」


「仕方ない気もします。事情が事情というか、話しただけで理解してもらおうというには複雑というか」


「そうですわ! この方は一切悪くありませんわ!」


「新人は気楽でいいわねえ」


 一番の問題はそこだったでござる。今の吾輩と妹君の本当の両親がカラミティの研究員だったこと、本当の両親がどんな人だったのかということ、人体実験の末にこの人間としての肉体も人間じゃなくなっていたこと、妹君の正体のこと、そして今回の事の発端になったこと。色んなことを隠していた。


「…償っても償いきれないし、謝っても謝りきれないでござる」


「まさか平安時代から因縁があるとは思わないよねぇ」


「ずばりにーちゃんはモテモテ」


「いやあそれほどでもぉ〜」


「「「褒めてない褒めてない」」」


 武蔵野コンツェルン、というか武蔵野のおばあちゃんによる情報規制もなかなか難しく、今回に限っては我が家にマスコミが殺到する羽目になっているでござる。かつて世界中で事件という事件を、人という人を助けて回っていた黄金の戦士が日本にいて、その戦士をお兄ちゃんと呼んだ君はなんだ?ということになって。もう吾輩の正体も知れているも同然の事態になっていた。


「そういや、朋美の先祖のあの二人の巫女はお前とは全然無関係なんだってな。よう味方してくれたな」


「片方はこの世界の人じゃないけどね」


「同化したら記憶も同化するなんて、理屈じゃ分からなくもないけどねぇ」


「仕えていた太陽神も雷牙さん達とは全然関係無かったらしいじゃん? 同情されたのかしら」


 なずなたん`s。記憶の戻る前のことだったにしてもあの二人と同化したのは偶然だったけど、元の力を取り戻すきっかけになってくれたこと、事情を知ってなお一緒にいてくれたことには感謝に尽きないでござる。


「昔一緒になれなかった人とそっくりだったからとは言ってたけどね、それ以上を感じるわ」


「もう一人の吾輩によると、向こうのオリジナルの世界で一緒になれなかった人と俺は生まれ変わりだから何か感じるところはあっただろうって話でござる」


「なるほどねえ。だからアイツ異能力者じゃねえのか」


 もう一人の吾輩、唯一無二の相棒。彼が異能力を持っていないのは吾輩が力を引っ張ってしまったことのせいもあるけど、彼自身が普通の人の生まれ変わりであることも影響していたそう。


「まったくもって持ってないワケじゃないみたいですけど、測定値はこの町の住人よりも低い値が出ました。鍛えてもまず変身は無理です」


「にーちゃんがしてくれたみたいに少し分けてあげるとか出来ないの?」


「それね、本人からお断りされたでござる。それは俺に必要な力じゃないって」


「なんじゃそら」


「でもいつかは返すつもりでござる。吾輩の持ってる力の幾分かは彼のもののはずだから」


「アンタも真面目ねえ。ま、それがアンタの良いところでもあるんだけど」


 問題は妹君でござる。


「ところで、瑠姫ちゃん、あんまり元気ないって?」


「まあ…」


「記憶が無いとはいえ、兄と慕ってた奴が実は元は旦那だったなんて知ったらそりゃあなあ」


「事件の後に平安の頃の話もしたでござる。…もう妹君とは会えなさそう」


 そうなんでござる。事件の後、妹君の前世とも言うべき頃の話をした後、吾輩は家に帰っていない。話したとき吾輩を見る目はどうして黙ってたの?私のこと騙したの?っていう目だった。吾輩は逃げるようにして目が泳いで、なんの弁解も出来なかった。吾輩としては何にも知らないでいて欲しかった。黙っていても露見したときに辛いことは分かっていたけど、黙っていなくても知れば結局同じこと。まさか過去に自分が殺されていたなんてこと…。


「本当に、償っても償いきれないし謝っても謝りきれないでござる。いっそこと、吾輩はいなくなってた方が良かったのかもしれない…」


 吾輩が身も心も、記憶すらも削って彼女の延命に全てを捧げていたことも知られるところとなった。今彼女が辛いのは殺到するマスコミよりも吾輩の責任によるところが大きい。長い溜息が出る。自分自身分かっていたこととはいえ、実際その状況になってみると予測以上に自分も辛い。





 ぐぃぃぃぃぃぃ!!!






「ふぐぉぉぉぉ?!」




 痛い痛いいたィィィィ!おもくそほっぺたつねられたでござる!


「リ、リエッセさん?!」


「二度とそんなこと言うんじゃねえ」


「なら吾輩はどうすればよかったでござる。どうやってもショッキングな事実を」


 俯いたところで髪を掴まれて無理矢理立たされた。


「いって…!」


「ちょっ、ちょっと! お待ちくださいまし!」


「新人はすっこんでろ! タケ、オメーはそんなに瑠姫が信用ならねぇか! オメーの考えたとおりに事が運ばなかったのはしょうがねえだろ! それならそれで! どうしてメンチ切って正面向かって話してやらねえんだよ!! アイツがお前に言って欲しい言葉はそんなんじゃねえだろ!!!」


「話したじゃないですか! 全部話しましたよ! 昔から今に繋がるまで全部話しましたよ! それでこれなんですよ!」


「オメーがどうしたいのか話してねぇだろ! 事情だけ伝えてオメーの正直な気持ちなんも話してねえだろ! オメーがどうしたいのか! これから何したいのか! 瑠姫にどうして欲しいのか! オメーが一番隠してんのはオメーの気持ち自身だろ、武将!」


 ひとしきり言い終わるとリエッセさんは手を離した。どうしたらいいのか分からないダリアたんはおどおどしえ困っていたけど、他の皆はまっすぐ吾輩を見ていたでござる。


「吾輩が、俺がしたいこと一応はあるんだ」


 ぽつり、ぽつりと零れる。


「皆と出会って、久しぶりに会って凄い懐かしさを感じたとき、同時に幸せも感じていて。ああ、俺は幸せになりたかったんだなって。俺が欲しかったのは幸せだったんだなって。これが俺の欲しかった幸せなんだなって」


 皆と再会する前も幸せなんだけど、それとはまた別のものを感じていた。


「でもわがままかなって思ってたんだ。俺がしてきたことは綺麗なことばかりじゃない、周りに言われるみたいな神様でも仏様でもましてや聖人君子でもない。それこそ知れたら居場所が無くなることもしてきた。その俺が幸せになりたいだなんて間違ってんじゃないかって、ずっと思ってきた」


 誰かのために戦うことを言い訳にして逃げていただけなのかもしれない。そのこと自体が間違っていて、本当は誰かを助けたいんじゃなくて、本当は助けたいのは自分自身だったんだ。誰かを救ったら自分のことは誤魔化せるとその時は本気でそう思ってたんだ。自分のことは二の次です、自分以外の人が大切なんです。それで通用してたからこのままでいいんだって。


「瑠姫に黙っているのも辛かったけど、俺がそれを我慢出来るなら瑠姫は幸せでいられる。本気でそう思ってたんだ」


「だけど、瑠姫ちゃんが欲しかったのはそんな幸せじゃなかった」


「瑠姫とは長い付き合いだから目を見れば何を言いたいのかよく分かる。『どうしてそんな風に自分を傷つけるの?』『どうして自分は幸せじゃなくていいなんて思うの?』。ずっとそういう目をしてた。一番辛かったのは『あなたが幸せじゃなかったら私も幸せじゃないんだよ』って」


「そっか…」


「ルキもボク達も同じだったんだね」


「え?」


「タケ、アタシと結婚してアタシが幸せになるときはオメーも幸せになってもらうぜ。なあ瑠姫」


「え?!」


 まったく頭が付いてこない俺の後ろからドアの開く音がした。バスタオルも巻かないで泣きながら立っていた。その目は俺を戒めるものと、受け止めてくれるものとがないまぜになっている目だった。


「瑠姫…」


「私も謝らないといけないの、ごめんねお兄ちゃん」


「謝るって…、それは俺の方がしなくちゃいけないことだろ…」


「そうじゃないのよ」


「は?」


「瑠姫ちゃんねぇ、タケくんが記憶取り戻したときと同時に瑠姫ちゃんも昔の記憶取り戻してたんだってぇ」


「は?! え?! そんなこと一言も…! そんな素振りだった何にもなかったのに…」


 なにがなんだか分からない。瑠姫は何も言わずに静かに泣いたまま入ってきた。立ち上がった俺にまっすぐ対峙した。俺が記憶を取り戻したのはリエッセさんがスイッチになっていた、俺達の人間としての本当の両親の手紙に仕掛けていたトラップを開いてしまったからだ。あの手紙のトラップは俺の記憶を開いた者が知る事のないように無限回廊に放り出されて生きては帰ってこれない仕掛けだった。出る手段はそのトラップを仕掛けた者の任意で解放する以外にない。つまり俺だ。だからそんな、瑠姫が記憶を取り戻しているなんてことが起きていたら察知出来ないはずがない。なのになぜ俺はそれを知らないでいた?


「たぶん、あなたの人間としての本当のご両親があなたには黙っていたんだと思います。本当のご両親は知ってたんですよね、むかしのあなたのことを。…武蔵野家とルージュ家の術師で鑑定したところ、あなたが仕掛ける以前にもう一つ仕掛けがありました」


「いつの間にそんなことを…。いや待ってくれ、もう一つ仕掛けってなんだ」


「メッセージがあります」


 カレンさんがそう言うと右手を前にかざした。中空に浮かんだ映像は今は亡き二人の姿をだった。


『このメッセージを聞いているということは、きっと私達は生きてはいないだろう』


『だからもう会うことは無いと思って聞いてね』


『私達のこの手紙は私達の憎しみだけを抽出して呪いを掛けてあるが、それはひっかけなんだ。お前のことだから気付かないで呪いによるトラップにしか目がいかないだろう』


『同時にこのメッセージは第三者にしか分からないようにしてあるわ。もちろん、カラミティ以外の者ね』


『この手紙のトラップはもう一つが本体なんだ。きっとお前のことだから瑠姫に本当のことなんか知っても話さずにいるんだろう』


『本当のことがバレてもきっとあなたは自分を押し殺して、どれだけ自分が大変なことになっていたかなんて話さないでしょう? だから勝手ながらあなたが素直になれる機会が巡ってくるようにしたの』


『すまんな武将』


『私達のことを恨むのならどこまでも恨んでくれていいの。それであなたが本当の気持ちを伝えて、本当に幸せになれるのなら、私達は犠牲になるわ』


『この手紙をしたためた後、私達はどうなっているか分からない。』


『ただそれでもあなたが幸せでいられるよう、私達は願っているわ』


『お前はいつも自分を押し殺して他人のことばかりを考えている。それは現実逃避であり優しさでもある。しかし私達の前ではそうあって欲しくなかった。お前も普通の人間のように、子どものように素直に生きて欲しかった』


『天真爛漫で、わがままで、破天荒で、無邪気で可愛い私達の子どもたち。せめて私達だけでいる間だけでも素直に泣ける居場所いたかったの』


『成長したお前達の姿を見られないことは残念だ。だが、今がそのときじゃないか?』


『自分の幸せを得て、人の幸せを得て、許せなかった自分を許せるようになって、心から喜び、怒り、哀しみ、泣く。それが人らしいってものじゃない? 大切な人がいるならなおさらのこと』


『ずばり! お前は考えすぎなんだよ!』


『もちろん後先考えずに行動すると後が大変なのは確かにそうなんだけどね。そのとき欲しい言葉ってそういうことじゃないのよ。これも分かってるわよね? でももう誰かを幸せにするために自分を犠牲にする必要はないのよ?』


『私達は家族として幸せになれなかった。だからこそお前達には幸せになってほしい。だから隠し事は無しだ!』


『私達のことは瑠姫ちゃんの記憶にも含めてあるわ。どうあがいても逃げられないわよ、うふふふ』


『お前が全てを犠牲にしてでも誰かを幸せにしたかったように、俺達もお前達を全て犠牲にしてでも幸せにしたかった。だから幸せになってくれ、武将』


『私達の最期のお願い、聞いてくれるわね? 絶対、絶対幸せになってね?』


『お前が素直になって泣ける居場所は用意しておいた。後はお前次第だ…。頑張れよ、息子よ!』


『私達はいつでも貴方の、あなた達の味方だからね』


 メッセージが終わると、二人の姿は湯煙の中に消えていった。まさか俺と同じことを考えている人達がいたとは思わなかった。そして本当に自分達の命を犠牲にしてまでこの時間を作ってくれた。本当に頭が上がらない。俺達に虐待する頃には既に気が狂っていたに違いない。なのに最期は俺達を庇って死んだ。最期は正気に戻っていた。もしかしたら虐待すら演技だったのかもしれない。それこそ気が狂う思いだったのだろう。何が演技で、何が演技でないのか。どちらが正気でどちらが狂気なのか区別も難しかったろうに。そこまでしてでも愛されていた。


「俺はね、今まで犠牲にしてきたものの大きさや尊さから自分が幸せになるなんて間違ってるんじゃないかって思ってた。今まで歳も取れずに死んでいった人達がいるのに俺だけ幸せになる資格なんて無いって思ってた」


 自分が愛されていたことを知ったら涙が止まらない。いや頭では分かっていたんだけど、それを認めてしまうワケにはいかない、いかなかったと意地を張ってただけなのかもしれない。


「俺、やっぱり幸せになりたい。俺が幸せになりたい。間違ってても間違ってなくても、俺はやっぱり幸せになりたい」


「うん」


「でも俺は守れなかった。生前守る守るって口ばかりで結局守れなくて、どうしても守れなくて。認めたくなくて転生までして。追いついてきた運命には結局追いつかれたし、結局今回も守れなかった」


「うん」


「それでも俺はやっぱり幸せになりたい。どんなに辛くても、どんなにみじめでも、俺は一緒にいたい。瑠姫」


「うん」


「こんな俺でもいいですか? こんな…、姿も記憶も別人になってしまった俺でもいいですか? いつも隠し事ばかりで何にも言えなかった俺でもいいですか?」


「うん」


「今はもう、貴女とは別に愛する人がいる、でも貴女がかけがえのない人には変わりなくて、どちらも大切だからどちらかだけなんて選べない。中途半端な俺でも幸せになっていいですか? こんな俺でも幸せになっていいですか?」


「うん」


「もう一度、俺と一緒にいてくれますか? もう一度、俺が貴女と一緒にいたいから…」


「はい…!」


 抱きしめ合って、二人一緒にのぼせて、二人揃ってぶっ倒れた。


 結局のところ全部ブチまけたでござる。今回の騒動のこと、今回の騒動の発端のこと、自分達のこと、その他いろいろ今までのこと。情報統制に東奔西走、四苦八苦していた武蔵野のおばあちゃんには申し訳なかったけど。意外だったのは世間の皆がそれほど混乱しなかった。誰かが吾輩達のことをまことしやかに噂にしていたみたいで、あの噂本当だったんだ、で済んで、各種マスメディアはさーっと蜘蛛の子を散らすように家に押しかけて来なくなった。数週間ぶりに家に帰ると父上殿母上にしこたま怒られた。本気の怒り方だった。まさか畳の上で正座させられてマジの説教を喰らうとは思わなかった。なぜか母上はしばらく吾輩のベッドで一緒に寝た。寝顔に少し涙が浮かんでいるのを見てしまって、罪悪感でいっぱいになった。


 今はいつも通りの日常が帰ってきて、いつも通りの武蔵野のエージェントとしての日常、武蔵野学園の生徒兼用務員としての日常を送っている。


「一番納得いかないのは学園の皆でござる。皆してあぁそう?ってどんだけー」


「タケ…、ひょっとしてまだ気付いてないのか?」


「へぇ?」


「あの学園、異能力者しか合格出来ねーようになってんだよ」



「へぇぇぇぇぇぇ????????」


 なにそれ聞いてない!


 ずきゅんどきゅん! ついでにばきゅん!


「あ痛って」


「誰に会いたいって?」


「いやそういうボケではなく」


 紛争への武力介入、暗躍する犯罪組織の撲滅、国家の陰謀阻止。相変わらずこの世界は争いごとが絶えない。唯一変わったのは吾輩達に懸賞金を掛けられたこと。一人でも倒せたらそのサイドの主張の容認と資金援助。有効期限は10年間。※ただし迫害を除く。


「さあ! 始めようか! 殺し合い大好きな馬鹿どもがよお!!!」


「殺せあああ!!! 倒すなんて甘っちょろいこと言ってねえで全員ぶっ殺せあああ!!!!!1!!!!!!」


「はあ、吾輩の単位掛かってるから手加減容赦一切無しでござるよ。早いとこ片付けて学園に戻らないと」


 肩の荷が降りた今、吾輩は胸を張って生きられる。もう隠し事はない。やましい気持ちもない。全てをブチまけた吾輩にはいつでもそばにいてくれて、いつでも手を繋いでいてくれる人がいる。


「お兄ちゃん、今日の晩御飯なに?」


「今日はラーメン半チャー餃子セットでござる」


 げしっ


「あたぁ?!」


「アンタ私がアイドルってこと忘れたの?! カロリーオーバーじゃないの!」


「ふ、そのくらいでカロリーオーバーなんて」


「シオンちゃん甘いもの好きだもんねぇ」


「隠れて夜な夜なプリン食べてるのバレてるわよ」


「ぐっ?!」


「ボクは成長期だから問題ないしー」


「お子様は気楽でいいわねえ…。私はもうダイエットしなきゃなのに…」


「オメーらアタシより体重あるもんな」


「「「「「「えっ?!」」」」」」


「しばくぞ」


 変わり映えのしない日常。この日常がいつまでも続きますように。


「さて、一丁行きますか」


 見ていますか? 俺は今、幸せです。全てを知っても一緒にいてくれる人達がいる。これからする苦労を知っても一緒に苦労してくれる人達がいる。嬉しいときも悲しいときも、楽しいこともつまらないときも一緒にいてくれる人達がいる。離れ離れになってもう一度一緒になりたいと願った人が隣にいてくれる。見てくれていますか?


「見ててください、俺の変身」


 吾輩は今幸せです。









「変身!」


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