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デンドンデンドンデンドン

「あの彗星、どうにかしなきゃね」


「いぃぃぃぃ?!」


まなみさんが指差した空には既に尾を引き始めた彗星が見えるでござる。いつかの隕石落としで懲りずに今度は彗星?!


「ちょ待てよ? ここ夢の中でござる。なーんだ心配ないじゃん」


「確かにここは夢の中だけどあの彗星は私の目を通してここに映してるわ。まぎれもない本物よ」


「私の目を通してって…、じゃあまなみさんは…」


「相手に好きなように夢を見せるとは言ったけど私も寝てるなんて言ってないから」


?!


「じゃ、じゃああの彗星マジで…?」


「そうよ、紛れもない本物の彗星よ」


あかんあかんあかん! この間の隕石のときだって2発あった上に、一発目はアメリカ海軍まるごと借りてたし二発目はハイパーモードしてた吾輩とリエッセさんでやったっていうのに! 今の吾輩は生きてんのか死んでんのかも分からないし、リエッセさんはおばか痴女巫女×3と吾輩の罠に掛かったまんまだしどーしろとぉ?!


「短かったな…、吾輩の人生」


「諦めるの早っ」


「いやーまさか吾輩こんなに弱いとは思わんかったでござる。来世になったら本気出す」


「ついさっき女の子を家に誘ってもう諦めるの?!」


「だって地球ごと吹っ飛んだらィ㌔も死ぬもないですしお寿司」


「ちょっとちょっと待ってよ! せっかくギリシャまで来たのに観光もしないで死んじゃうの?! 交通費弁償してもらうわよ! 言っとくけどカラミティはサード・アイと違って幹部は交通費出ないんだからね?!」


「お財布事情が切実ゥ。…じゃあそのカラミティの幹部さんがどうして敵の吾輩を助けてくれてるでござる?」


「だだだ誰が助けてるもんですか! ただちょっとその…、檻に閉じ込めて置きたいなって思っただけよ! べつにあなたに惚れたってことじゃないんだから勘違いしないでよね!」


………檻? 檻って||Φ|(|´|Д|`|)|Φ||こんな感じの? 元祖ツンデレみたいな言い方してるけど檻に閉じ込めて置きたいってなに? ツンデレじゃないよねこれ。ツンツンで病んでるってツンヤミかな? ツンヤミってなんでござる?


「…吾輩単体の力じゃ超再生はめっちゃ遅くて超と呼べるレベルじゃないから、内蔵ごと腹をぶっ飛ばされたらとっくに死んでるはずだからてっきり助けてくれてるものかと」


「正直カラミティなんかどうでも良かったの。居場所さえあればそれで良かったから。でもあなたがくれるんでしょ? 新しい居場所」


「無理でーす、死にまーす」


「だから諦めないでよ! ヒーローでしょ?!」


「たまには仲間を信じてみるのも一興でござる」


「仲間?! あなたの仲間なんか年がら年中発情してる戦闘凶の露出狂しかいないじゃない! あんな奴ら信用しろって言うの?!」


「うーんまあそう言われると言い返せないでござる」


みんないっつもミニスカートばっかりだしデニムと思ったらホットパンツだし、シャツは着てても着てないのと変わらないみたいな着崩しだし。初めてお風呂一緒になったときだって吾輩のおtntnガン見してばっかだったし。


「死んじゃう前提なら魂引っこ抜くわよ?!」


「え?!」


「魂ごと夢の中に逃げれば誰にも邪魔されないで永遠に夢の中で生きてられるんだから!」


「ま、死んじゃったときのことは死んじゃってから考えるでござる。ほら、着いたからお茶でも淹れるよ」


「呑気!!!」


「おせんべいある?」


─────────────



「終わったわね…」


「あー無理無理、あれは無理」


「リエッセさんも巫女ちゃん達も帰ってこないし」


「おまけににーちゃんはガレキの下でどこで死んでるかも分からない」


「私達が力を合わせても直径200キロメートル以上は確定してる彗星なんか砕けるワケないわ」


「…………ごめんなさい、ごめんなさい」


ちょうど主人公が新しく女の子を作ってる頃、サロンではリエッセを除くほか6人が集まって諦めていた。ナレーションは私、リーマン魔術師がお送りする。


「だーもういつまで体育座りしてメソメソしてんのよ! 椅子の上で体育座りすんな!」


「ごめんなさい…、ごめんなさい…」


「だぁーから泣くなっつってんでしょうがぁ!!」


「ござるくんも今回は相手悪かったのよ。天災とまで呼ばれたお兄ちゃんがいたなんて」


「ねえ、あなたお兄さんなんなの? 失踪してからは一度も姿を見せなかったのがなんでまたここに来て彗星なんか…」


彼女、ファントムこと天ノ宮ともみんはゆっくり紅茶を一口飲むと思い出すのも嫌だというほど眉間にしわを寄せて話し始める。


「いやだからともみんって呼ばないっでって何度もry…。はあ…、まず天ノ宮に私以外変身できるレベルの異能者がいないのはお兄ちゃんが私以外を皆殺しにしたから。失踪したのは、失踪する前に小さな国を滅ぼした理由と同じ、人間の嫌な部分を見てショックを受けたからよ」


「み、皆殺し…?」


「稀代の天才と呼ばれてたお兄ちゃんだけど、腐敗したある小国の政府を取り締まるミッションで何かあったみたいなの。…私にも話してくれなかったわ」


天ノ宮家長男、天ノ宮神一郎。かつて天才と呼ばれた男は天災と呼ばれるようになっていた。失踪直前、小国を滅ぼし尽くし死者10万名以上、生存者0名。直後日本に現れ妹以外の強力な異能者を皆殺しにする。のちに失踪。天ノ宮家は神一郎を歴史から葬り去ることとなった。


「ところで酒ないのここ?」


「あんた成人したばっかなのに飲みまくってるでしょ。肝臓壊すわよ」


「ロシア人の肝臓は4つあるのよ」


「いいな〜」


「そんなおっかないお兄ちゃんがなんで悪者なんかと一緒にいんのさ」


「それは…知ってたらもう言ってるわよ」


「だよねえ」


「とにかく地球ごと滅ぼそうっていうのは分かったけど」


現在地球の大気圏に突入しようという彗星によって人類は滅亡の危機にある。この彗星は大彗星と呼ばれる直径50キロメートルサイズを遥かに上回る直径200キロメートルである。表層こそガスや氷かもしれないが核は岩石だったりする。残り1万キロを切った今では世界は大混乱に陥っている。


「まあ人類滅亡は無いかもしれないけど原始時代に戻るくらいはあるかも〜?」


「いや死ぬでしょ」


「というかあんなもんどっから持ってきたのよ」


<ぴんぽーん


おや、誰か来たようだ。こんな非常時にお客さんとは珍しい。


「ほら早く行きなさいヒツジ!」


私はヒツジではない執事だ!


「よお…、お前ら…。こんなとこにいたのか…」


「ちょっとあんた何したの?! ボロボロじゃない!」


入ってきたのは機械の体のあちこちから火花を散らすほど損壊しているオリジナル世界の戦野武将だった。確か彼は異能力者としてはほぼ無能力で戦闘も出来ないはずだったが…、何故かひどく損壊している。足など片方無くなっているではないか。


「た…、助けてくれ…」


「は?」


「人質に取られた…! リエッセが…! 俺のリエッセがあの彗星の核にいるんだ!」


「はああああ?!」


「ちょっと待ちなさいよ! あんたのって、オリジナルのリエッセでしょ?! 何がどうなってそうなんのよ!」


「神一郎だ…」


神一郎…。ともみんの兄という男か。


「ヤツが攫っていったんだ…。お前らが降伏するなら助けてやる、そうでないなら一緒に死ねと…」


「お兄ちゃん…そこまで人が憎いだなんて」


「信じられないクソ野郎ね」


「ともみんの前で言い過ぎだよシオン」


「いいのスカイ…本当のことだから。こんなことするんじゃ本当に人でなしだわ」


しかし本当に神一郎とやらは本気なのだろうか。カラミティも我が古巣サード・アイも世界征服が目的であって滅亡ではない。こんなやりかたをしたら両者から狙われることになる。それに疑問も残る。確か聞いた話ではオリジナルのシューティングスター、リエッセは妊娠していてヒーロー業も産休していたとかのはずだ。妊婦を彗星に埋め込むなどということ自体疑念があるが、さらに言うといつどこでどこから地球目前まで隠蔽したのか。


「…やるか!」


「は?」


「やるかってあんたまさか…」


「そうよ、そのまさかよ」


これが私のお嬢様である。やれやれ、頭痛の種は消えないな。


「あの石っころぶっ壊すわよ!」


もっとも私はただの魔術師だから参加しないから楽なものである。


「何言ってんの? あんた艦長よ」


艦長…、え? 艦長?

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