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2コマ落ち

「で、どうするでござるか? この2コマ落ちロロ雑巾」


ボッロボッロ


「2コマ落ちだのロロ雑巾だの言うでないわ。ちくしょう、これだから少年漫画のノリしたギャグコメディものは嫌いなんじゃ…」


この2コマ落ちの間に吾輩達もカタパルトから発進して鎧の上から鎧、武器の上にさらに武器という一風変わったアーマード・アーマーのお試しをしたでござる。いつかの隕石や巨大ロボットに対応するための拡張と装着者の補助だとかで、空を飛ぶにもスラスターでござる。


「取り敢えず文字を元に戻すでござる」


「ならまずは外に出」


ガシャッ!


「ガシャッ? わしを今どこに置いたの?」


「ここカタパルトからしか出れないのよ。はい321」


「ひ、非常口があ」


ドンッ!!!!


「ギャーーーーー!!!!」


「非常口の文字なら走って逃げたわよ」


「自業自得でござるね」


カタパルトから射出されたミッチーは海で土左衛門になってぷかぷか浮いていたでござる。釣り上げて落っことすとがばぁっと起き上がって甦った。流石に神様でござる。


「殺す気かぁ!」


「神様がそんな簡単に死なないでしょ。いいからほらほら、早く元に戻して」


「ちっ…、後で覚えとけよ小娘」


ミッチーが右手を掲げて指パッチンするとその衝撃に神々しい波動が乗り広がっていったでござる。どこのアベンジャーズかな?


「おお、波動が見える。こんなんで元通りになるでござるか」


「神を舐めるでないぞ小僧」


「にしちゃーオッサン弱えなあ」


「お前らがオカシイんじゃ! いや冗談ではなく、お主らは世界の逆説におるのだろう。オリジナルの世界、このコピーされた世界はお互いの立場がどうであれ、本来交わることのない平行世界には違いない。しかしお主らはそうではない」


タイムパラドックスならぬワールドパラドックスとでも言うでござるか。世界の逆説。時空間にパラドックスが生じていると。


「己の内側から食い殺されることは交わるとは言わぬ。だがお主らを理解できないこともある」



「勇気ではないし、愛でもない、ましてや自己犠牲でもない。特別な力、特別な存在だったとしてもそれを隠していれば波乱のない穏やかな一生を送ることが出来ただろう。なにゆえ戦う? 誰を相手にしようとしとるのか分かっとるのか?」


「だって吾が輩ヒーローだもん。ヒーローが逃げたら誰が戦うでござる?」


「やってて腹立つことはあるけどな、なんにもないならそれはそれでタイクツするな」


「確かに私達自身こそ派手で常軌を逸しているかもしれないけど、いずれ歴史に消えるわ。私達の戦いは未来に託す戦いだから、地味でかっこよくないしなんの映えもしない」


地味でカッコよくないならド派手でカッコよくしてしまえばいいでござる。ドンッ!とかさんざん好き放題やってるけど。


「でも致命的な性格でもあるのよ。なんでも出来るから首を突っ込みたくてウズウズするわ」


「吾が輩はきっとロイヤルセブンに合流しなくとも、それがスタンドアローンだったとしても、戦うでござる。せっかくカッコいい力を得たんだから、これを生かさない選択なんてないでござる。変身ヒーローのカッコよさこそ至高」


誰かが傷つくのはもう嫌だから。誰かが傷ついたときに、何にも出来なかった無力な自分を味わうのはもう嫌だから。


「ふん、愚かしい」


「よぉーし言ったなオッサン。神だろうが仏だろうが喧嘩売ったのはそっちだからな。誰が愚かしいだコラ」


「もういっちょボコボコにして太宰府に返品してやるでござる」


「その前にテレビでジャンピング土下座ね。あー、もしもし、太宰府? 道真がおたくをブラックだから帰りたくないって言ってるんだけど…、え? 言うほど働かせてない? 受験シーズンだけ? へぇー…、そう…」


<ぎくっ


聞かなくても分かる、顔に書いてある。まさにそんな顔をしているでござる。レイミさんのスマートフォン片手に半分キレてる流し目に冷や汗が止まらなくなってる道真氏。つまり仕事めんどくさくて騒動起こしてバックレて嘘ついて逃げ回ってたでござるね。そんなバイトがめんどくさい大学生じゃあるまいに。


「おいオッサン、言いてえことは分かるよな?」


「いやー、その、ほら、ね? お主らもめんどくさいことの1つや2つくらいあるじゃろ?」


「「ああん?!」」


「ひぃっ」


この後むちゃくちゃ正座させたでござる。


―――――――――――――


「それでどうでしたか、彼らは」


「わしの若い頃にそっくりじゃ。生前のわしも中流階級のくせにでしゃばったもんじゃわい。あやつらならあのままで良かろうて」


「嬉しそうですね」


「秋の月は酒が進むのう」


―――――――――――――


ストを起こしたミッチーこと菅原道真を太宰府天満宮にクーリングオフして武蔵野本社に帰ってくるも、まだ夕暮れ。日付が変わるどころか夜にもなってないでござる。張り切ってキャリーバッグ引っ張って出てきただけに引っ込みがつかないでござる。


「ということでお世話になるでござる」


「いいよーいいよー。ござるくんなにげに初宿泊だよね」


完全に死んだ設定となっていたサロンのちょっとした宿泊施設の部分。施設といってもそんなに大きなものではなく泊まれても五人くらいな程度。


「今日も凝ってるねー。やっぱり力が強いとなりやすいのかな?」


今日のオイルは柑橘系。リーシャさんにぐにゃぐにゃにされてここ最近の疲れを取る。そういえばアロマオイルのマッサージ、かなりギリギリで際どいでござる。ほぼ全裸でぬるぬる。というかこんだけ肌を見せることになるなら最初に言ってほしかった…。


(他の普通のお店を知らないからなんとも言えないけど…)


「入るわよー」


「少年よ」


「あ、リーマン魔術師さん」


トモミンの後に続いて入ってきた人物は意外な登場でござる。いつぞや一回だけお見舞いに行ったきりだった。すっかり元気になったでござるね。


「退院おめでとうございますでござる」


「うむ、退院早々にこんな時間まで残業だったがな」


「お疲れでござる」


「これで私も晴れて武蔵野の人間だ」


「なるほど、それでここに案内されたと」


シオンさんにブッ飛ばされて死にかけた上に、取り敢えずのケジメとしてサード・アイをクビになり、レイミさんに拾われたこの人。隣のベッドに寝るも落ち着かない様子。そりゃね、初めて入ってシャワー浴びて腰巻きタオル一枚で女の人にぬるぬるにされるんだからそりゃね、緊張もするでござる。


「しかし…、女性にここまで肌を見せることになるとは…。こういうことは先に言って欲しいものだ」


「半年前の吾が輩がいるでござる」


「しかも個室かと思っていたらベッドが複数あるではないか。せめて子どもっぽいガールではなく、艶かしいレディだったら良かっ」


ごきっ


「アァオ!」


「ごめんなさーい、オイルで手が滑りました―」


「レイミさんでもまだ23だし、皆若いですよ?」


初耳でござる。それに意外でござる。それなりに歳上だと感じてたし一番年長者に見えるのに。てっきり既に20代後半かとゲフンゲフン。


「若い女の子あちこち揉んでもらえる、いいことじゃないか」


「入りまーす。奥さんにチクりますよ」


「勘弁してくれ」


「カレンさん、軍曹!」


「残念だったな、今の俺は少佐だ」


「僕もいるよー」


「啓治さんもとい刑事さん!」


8時だヨ! 全員集合!


「いやだから僕にはホランドっていう立派な名前がだね。ちなみにフルネームはホランド・ネザーランド・ロランドって言うんだ。オランダ生まれのフランス人だよ」


「ランドランドうるさいわよ。いいから早く寝なさい! そしてこのシオンにマッサージしてもらえることを光栄に思いなさい!」


「cv.遠藤綾さんでお願いします」


「呼ばれてなくてもジャジャジャーン! やっほーいにーちゃん久しぶりー!」


「誰でござるか、スーさんにハクション大魔王教えたのは」


「チビ共はしゃいでないでベッド行け。ばーちゃんが見せるアニメが古いんだよ」


「オレら文字虫を捕まえて回ってただけだからあんま仕事してねえけどな」


なんだか凄いメンツになってきたでござる。世界征服出来そうでござる。ロイヤルセブン改めロイヤルナイツでもやるでござるか。吾が輩のマグナモンで。

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