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第二話

「はじめまして、由香といいます」


チョウメ、ペッケッスムニダ。ユカラゴ、ハムニダ。


たどたどしい韓国語で挨拶をすると、しかし、大きな拍手が返ってきた。

ここは、韓国・慶安大学の会議場。


韓国滞在一日目。


ここで、日本からの研修生のための、小さな式典が催されていた。

式典というくらいだから、大学側の偉い人も、何人か出席していた。


うまく言えなかったのに、拍手なんて――。


不安の中で、他の日本人学生たちの挨拶を聞く。

みな、それなりに流暢に、時に笑いを取りながら、自己紹介をしていた。


場違い感が、急に押し寄せる。

ここで、うまくやっていけるのだろうか。


だが、由香はすでに、彼らの視線の温かいことをわかり始めていた。

それは、まるで、由香の背中を後押ししてくれるかのようだった。


――きっと、大丈夫。


滞在中に、しっかり韓国語を学んで帰ろうと決意したのだった。



滞在先は、大学寮。

小ぢんまりとしていて古い建物だが、清潔感はあるし、何より、居心地が良い。

夏休みなので学生が実家に帰っており、その期間を利用して、滞在させてもらうのだ。

二人部屋で、由香は庸子と一緒の部屋になった。

もちろん、二人が喜んだのは言うまでもない。


プログラムの内容は聞いていたのだが、想像よりもハードだった。


まず、最初の一週間は、一日中、韓国語の授業を受け、残りの一週間は、韓国の文化体験に参加することになっていた。


韓国語の授業には、由香のような初級レベルの人もいれば、庸子のような中級レベルの人も一つのクラスにいる。それぞれてんでバラバラであった。

きっと韓国人の先生も迷ったのだろう。初日はハングル文字を発音していたのに、授業の後半になると、歌の歌詞や映画の台詞の聞き取りなど、一部の者を除いてついていけない、非常に高度な内容になっていた。


そして、残りの一週間は、文化体験。韓国の伝統的な踊り、楽器、歌、料理、儀式などを習った。


日本のものとは、似ていてもまったく違う文化に触れる日々。


暗くなると、仲間と街へ繰り出す。

お酒を飲みながら、珍しいつまみを食べたり、ちょっと深い話をしたり、かと思えばクラブで遅くまで踊ったりと、日本では考えられない夜を過ごした。


なので、次の日の朝になると、みんな眠そうな顔をして、集合するのであった。


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