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神代兵器の自由意志  作者: ぶくっと醤油
1章
7/32

出撃! 後編

敵の外見は一言で表すなら九尾

全身は黒く赤いスパークを放ち 明らかに強靭な四肢 凶悪な程鋭い犬歯に爪

極めつけはその代名詞と言えよう巨大な九つの尻尾 それぞれが独立し先端から火魔法が発動時している


「行くぞ!」


レイの一言で駆け出す 僕は相手の攻撃を抑えるため一足先に距離を詰めている


「« フラッシュ»!」

「てぇぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


ミラが光魔法の主に光源として使用されるフラッシュで相手の視界を潰した

この隙に僕は一瞬で懐に潜りドレッドノートで心臓部分の魔石を貫く


「やった!レヴィちゃんす「まだです!」」

「...再生したとでもいうのか...?」

「いや自分の考えでは魔石は複数あると思います あの図体なら腹部にあると思います!」

「違う僕が抑える!目を狙え!もう一個は右目 こいつは魔眼持ちだ!」


魔眼 魔物の心臓 魔力を供給するための核となる魔石が眼となり特殊な効果を持つ魔石

目撃例は人間の方が多いが魔物にも希におり 特に強大な魔物や烈種と呼ばれる同種の中でも特に強い魔物が持っていることが多い しかも魔物は()()()()()なので魔眼持ちの魔物は特に厄介なのだ


「ミラはフラッシュで目を!ミディアは左から 自分は右から ボルドが目を破壊してください!」


素早い判断と行動力 このパーティーは強くなれる

ミラが黒九尾の眼前でフラッシュを行使し視界を潰す

ミディアが黒九尾の右足の腱を レイが左足の腱を切り機動力を削いだ

そこに僕が顎に向かってドレッドノート用の盾である破砕用槌盾塔 ウェールズでシールドバッシュをぶち込みスタンを取る

すかさずボルドがミラの風魔法により加速し右目の魔眼を砕く

一瞬の出来事が嫌に長く感じられる中パキンと魔石が割れる音が響き僕以外我を取り戻す

━━━いや 僕は最初から呆けてないからね?


「や...やったの...?」

「あのAランクのブラックフェリアを倒したの?私達が?」

「お...おぉ...やったよ!やったんですよ自分達が! 腕試しでダンジョンに来たつもりが圧倒的格上の魔物を倒しんだよ!」

「...ミスト殿に感謝...」

「「「ありがとうございます!」」」

「え...えっと...取り敢えず解体しましょ?」


魔物の素材はランクが高ければ高値で売れ 上質な武具が作れるのは常識

だがこの黒九尾«ブラックフェリア»はかなり上質らしく武具にすればかなり高性能になるとの事

最初から相手の動きを抑えてた僕が最大の功績者となり多く貰えるとの事だがそんなのより僕の武具の方が優秀なので肉だけ頂いていく事にした 皆売ったり防具にしたりと会話が弾んでいるようだ

なのだがさっきから感じる異様な空気 正面にある重厚な扉から()()()()()()()の気配を感じる

どうやら会話を終えたようでボルドが先陣を切るようだ 頼もしい


「...己の欲でこの部屋に来た...なら俺が先に行くのは義務...」


単に申し訳ないだけだったようだ


黒く変色している重厚な扉に向こうは薄暗い大部屋だった

周囲には何も無く単なる大部屋だった ()()()()()()()()()()()()()


「あれは...人なのかしら...?」

「...あの少女から武器の気配を感じる...」

「あの女の子から...?何処かに装備しているのか...?それにしてもこんな下層で鎖に繋がれて死んでいるなんて...なんて可哀想なんだ...」

「やっぱりダンジョンは恐ろしい所だよ...ねぇレヴィちゃんもそう思わ...レヴィちゃん?」


恐ろしいと思った 運命とは自由の中の奇跡なのか それとも運命とは最初から定められた道なのか

目の前の()()を見た瞬間そう思った

見間違えなどしない 神代初期に製造されてから僕と300年も共に戦い続けた2番機

苦笑いするしかなかった いや笑顔だったかもしれない

それほど高揚していたから


「ははは...なんでこんな所で寝ている(機能停止している)かな...アリサ...」

「アリサ...?もしかしてこの女の子ミストさんの友人だったのかい...?」

「そんな...こんな所で死んでるなんて...」

「...本当に死んでいるのか...?」

「「「え?」」」


鋭い 今の彼女は主の指示を待つただの兵器だ 僕のように自由意思を持たない単純な兵器


「ミストさん...心中お察しするわ...」

「その必要はありません 今叩き起しますから」

「レヴィちゃん!?」


僕は四肢に繋がっていた鎖を断ち切り彼女を地面に落とした そして1番機である僕と主にだけ許された目覚めの詩(起動式)を放つ


「目覚めよ 戦場に舞い降りし殲滅の覇者 その名を刻みしは忠誠の誓い人である 汝は戦争に殲滅を持って殲滅を齎し終焉へ導く 破壊の名の元に命じる 起動せよ アリサ・ヴォルデモリッション!」


アリサ・ヴォルデモリッション 対神用兵器として僕を元に製造された2番機 腰まで届く金髪に鮮血のような赤いベレー帽をかぶり目は全てを見通すような碧色 黒いシャツは胸下からはだけておりミルクのような皺のない肌が見えている シャツの上から黒い上着を羽織っている 赤と黒のマーブルのスカートの丈は短いが黒ニーソとブーツで太腿があまり見えていない 所謂絶対領域

僕同様普通の少女にしか見えないが性能は対神で言えば僕より上 防御を捨てている分殲滅に必要な攻撃力と機動力は()()()()()()トップに入るだろう


「起動式を確認 破壊の名の該当検索 確認 主命に代わり部隊長の指示を実行承諾いたします」


元はクールなのだろう彼女は今とても機械的で人ではない


「クレアシオンシリーズ2番機 アリサ・ヴォルデモリッションに命じます 我が自由意志を模倣後起動しなさい」

「了承」


僕は右手を彼女に額に当て僕の自由意思を複製 譲渡する


「自由意志のデータを確認 自己判断プログラム中枢を主命から自由意志に変更します」


彼女が物から者へ アリサに変わっていく


「おはようアリサ ぐっすり眠れた?」

「いいえ そんなに眠った感じがしません...隊長は私を起動しに来たのですか?」

「答えはNO そっちのパーティーの人達とここに偶然通りかかって何かあるか探ったら偶然見つけたの」

「そ...そうだったのですか...」


さて 親友も復活した事だし皆...あれ?なんで唖然としてるの?


「よ...蘇った...ミストさんはもしかして死者を復活させられるのですか...?」

「そんな魔法聞いたことがありませんわよレイ それよりさっきの詠唱どこかで...」

「お...おっふ...レヴィちゃん凄...」

「...気配が変わった...?」


僕達が神代アーティファクトと知らないから皆蘇らせたのかと困惑しているがボルドさんだけは心做しか落ち込んでいる

いやいや アリサは神殺しの兵器なんだから落ち込む必要なくない?っあ 知らないのか...


「隊長 この人達何者ですか?まるで私の事知らないようですけど」

「あぁ...うん まずアリサに紹介するから待って まずそこのイケメソがこのパーティーのリーダーでレイさん

そこのデカ乳...桃色ツインがレイさんの妹のミディアちゃん そっちの赤髪の男性がボルドさん そちらのエルフのお姉さんがミラさん」

「「なんか違う!!」」

「...簡潔でいいと思うが...」

「あらあらお姉さんだなんて嬉しいですわ それでそちらのご親友さん?はどういったお方ですの?とても不思議な感じがしますわ」


不思議なのは合っている 人であって人でないそれが僕達なのだから


「彼女はアリサ 僕の親友で何百年も共に戦った戦友です」

「「「「何百年!?」」」」

「どうも 破壊のミストボルディア隊長統括のクレアシオン部隊副隊長 殲滅のアリサ・ヴォルデモリッションと申します 以後お見知りおきを」

「破壊のミストボルディア?殲滅のアリサ?隊長?クレアシオン部隊?もう訳わかんないよぉ...」

「クレアシオン...クレアシオン...破壊...殲滅...っまさか神代の通称ゴッドイーターと呼ばれていたあのクレアシオン部隊!?」


おや?流石エルフ 神代で1番名を轟かせたクレアシオ部隊を知っているとはなかなか博識


「破壊 殲滅 殺戮 消滅 穿壊 5つのコンセプトに沿った人が集まり 数々の戦場をその圧倒的な力で蹂躙し 敵を跡形も無く消し去り 何人もの神をも殺したとされる神代の最強の部隊クレアシオン...でも今は神代から何千年も過ぎてるから生きているはずないわ...」

「ひとつだけ訂正する 5つのコンセプトに沿った人が集まったのではなく作られですよ」

「作られた...?」

「隊長といたなら見ましたよね?あの巨大な破壊用大重槍ドレッドノート あれは隊長用の神代アーティファクトで隊長は破壊のコンセプトを元に...いや最初の神代アーティファクトにして最後の最高傑作である存在 私は隊長を元に殲滅のコンセプトに沿って特化して作成された 私達は神代アーティファクトの先祖と言うべきクレアシオンシリーズなんです」


流石に皆唖然としすぎである 顎外れるんじゃない?特にデカ乳野郎


「クレアシオンシリーズという神代アーティファクトがあるとは何処かで聞いたことがありましたわ...でも今まで見つかった神代アーティファクトから皆武器だと思っていました...まさか人型のアーティファクトだったなんて...でもそれならミストさんのあの急な戦闘スタイルの変化や魔物を指で抑える程の力も納得です...」

「神代アーティファクトの先祖...自分達はいつの間にか神のような存在に出会っていたのですね...」

「レイさん 僕達は主が作り出した物であって主にような存在ではありませんよ」

「主だってボルド...レヴィちゃんが神様の事主って...未知との遭遇もいいところだよ...」

「...神代アーティファクトも一種の武器...いや兵器 俺もう死んでも悔いはない...」

「っちょボルド!?死んじゃダメだよ!?まだ死んじゃダメだからね!?」





「ところでアリサさんは殲滅特化と言っていましたがどのような能力をお持ちなんですか?」

「隊長あれ使ってもいいですか?」

「いいんじゃないかな?久々にヒャッハーしてもいいんじゃない?この先のボス部屋で」

「は〜い」

「「「「緊張感がない!?」」」」


この先ボス部屋要注意 と立て札があったが分かりきった事なのでスルー

ボス部屋前に来るアリサが両手を少し前に出す


「格納庫起動 殲滅用重剣機パニッシャー展開」

「あれ...?レヴィちゃんのよりかは小さい...?」


アリサ専用兵器の殲滅用重剣機パニッシャー

赤いボディに漆黒の刀身 僕が数人入りそうな巨大なドレッドノート程ではなく両手に収まるサイズの大剣

名前のような殲滅に向いているような面影は一切見受けられないのだが...


「じゃ 入りましょっか隊長」

「扉開けるよ〜」

「「「「緊張感がない!?」」」」


アリサが刀身を正面に水平に向けボディに付いている取っ手を掴んでパニッシャーを動かさない

まるで()()()()()()()()かのように


「解放〜」

「ヒャホォォォォォォイ!!!!」

ドゥルルルルルルルルル!!!

「「「え...?」」」

「...し...死んでいる...」


扉を開けた瞬間アリサのパニッシャーが変形 刀身が縮みボディから6連の回転式の銃身が飛び出だす

独特な機械音をあげて攻撃するのはガトリング砲だ

扉を開けた向こうにいる...一瞬だがおそらく熊だったのであろう魔物が一瞬でミンチになってしまった

容赦のよの字もない程の惨殺っぷり それに反して久々にパニッシャーしたのだろうアリサはスッキリしたのか満面の笑みだ 流石殲滅殺すのに躊躇いがない


「これが私の殲滅たる所以です わかりましたか?」

「「「は...はい!」」」

「...素晴らしい...」


1人感動しているが他はきっとこう思っただろう「怒らせたらヤバイタイプだ...」と

ダンジョンボスを瞬殺(ミンチに)してしまった僕達は奥の転移陣でダンジョン入口へ

街までは行きと同じで馬車で帰った 途中の森で魔物の集落を発見したがアリサによって一瞬でパニッシャーしてしまったのは言うまでもない 皆魔物に同情していたのは何故だろうか


街へ着いた時には既に夕刻

ギルドの前で解散した僕とアリサはまだ時間があるのでアリサの冒険者登録のためにギルドへ


結果

Cランクでした

なんでも僕が殺気で怯ませた男が弱っちぃ少女にいとも簡単に倒された復讐なのかいきなり襲ってきたのだ

しかしこの隣の殲滅の神代アーティファクト 何故か僕に好意を抱いている

好きな人が襲われたら好く人が取る行動は?

YES 彼は全治3年 四肢全てに2つずつの骨折に肺と腎臓の破壊 肝臓の半機能停止と神経の断裂

死なない分常に痛みと動けない事による苛立ちが襲う嫌なタイプ


「C」

「えっと..?」

「その躊躇いと容赦のなさCランク」


との事だ ホントに不運な男である

その後少しお高めだがお風呂 ご飯 快適な睡眠の約束された宿で2人部屋お風呂完備のお高い一室

一番風呂を頂いた僕は白のネグリジェに身を包んでベッドに身を沈めている


「僕も目覚めてから間もないのにもう親友が傍に居る 他の奴は何処にいるんだろう?殺戮のバグルス 消滅のマグニウス 穿壊のリーリエ 懐かしいなぁ...」


僕は昔 神代を思い浮かべている 僕も含め皆目に輝きはなく 体中血に濡れ 服は所々裂け 屍の山に腰を下ろし

その口には無機質な笑みがあり

主の命にだけ生きる人形が今では己の意思で生きる人ならざる者

意志とは判断力 今生きている事が何を表すのか 意思を持った僕にはもう分からない


「隊長〜ふふふ ふっふふふふ...可愛い...ふふ」


寒気がする 湯冷め?ちゃんと身体は拭いたのに?魔法で髪も乾かしたのに?

いや違う...これは警鐘だ 本能が逃げろと警鐘を鳴らしている

本能には従う これは意思持つ者の本質 こと危険な事に関しては本能ほど確実なものは無い

そうと決まれ逃げ...


「逃がさなよ隊長?」


ガシッっとベッドから降りようとした僕の腰に色白の腕が絡まれる

僕はベッドの端に腰掛けている状態 立とうにも立てない


「あ...アリサ?何をしているのかな...?」

「隊長が可愛いですから...一緒に寝ましょ?」


寒気がした さっきよりも強い

脳内のミニミストが3人全力で警鐘を鳴らしている 音が止む隙すらない っあまた1人加わった


「っちょ!━━っうわぁ!...アリサ?なんで僕を押し倒してるのかな...?」

「ふふ...ふっふふふふふ」


警鐘の音が更に加速する ミニミストが一気に4人加わった

両手首が頭の上でアリサの片手に押さえつけられている

もう片方の手が何故かクネクネしている 今から何をされるのだろうか...いや予想しなくてもシチュエーション的に分かる 感情は力を倍増させる さらにアリサの名は殲滅 力に関してはクレアシオンシリーズトップ 逃げることなど不可能!


「今までは主の命が最優先でしたけど今は主はいない...しかも自由に生きれる...今日でやっと私の悲願が叶う...」


アリサの空いている手が下にズレていく...


「ちょ...アリサ?僕達はそういう存在じゃ...」

「問答無用!今日から隊長は私のモノ!私も隊長のモノです!」

「ちょっおま!アァーーーーーーーーーーーー!!!」


その夜 ちょっとお高い宿のお高い部屋から少女の悲鳴が聞こえたとか聞こえなかったとか

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