4 ステータス...?
煌びやかな太陽の下
目の前に広がるは石造りの家々
行き交う人々は皆笑顔で大きな賑わいを見せている
素晴らしい街なのは否めないのだが行き交う人は殆どが武装しており大半は首輪が嵌められている獣人族やエルフを連れているのが些か嫌な点だろう
「うん!やっぱりちゃんとした物を食べるのがいいよね むっぐ...うっまぁ」
誰に言うのでも無く言葉を発するのは腰まで届く銀髪におっとりとした翡翠色の瞳 キメ細やかな白い肌に艶かしい肢体を持ち 白い布地に青いラインの入ったワンピース
何処か妖艶な雰囲気を持ちながらも優しげなオーラを放つまるで造形美とも思わせる彼女の名はミストボルディア永遠の18歳 人ではなくアーティファクトです
今何処にいるかって? 人族&ドワーフ領の第1防衛ライン 城塞王国ラキュースの王都ディゴラスです
第1防衛ラインと言うだけあって巨大な石造りの外壁が左右に広がっているおり建物や露店ですら石造りというなんとも頑丈そうな(普通の人ならば)所でございます
その城塞王国の中で1番有名な食事処ラティッサのテラスで1人優雅に食事をしております
アーティファクトだから1人でも寂しくないもん!
因みに今食べているのは卵とレタスのサンドウィッチとトマトとニンジンのスープ
うん!美味しい! 移動中は干し肉しか食べてなかったのでつい口元が綻んでしまう
おや?あちらに見えるは狼人族の奴隷さん どうやら説教を受けているようです 穏やかじゃないですねぇ
「う〜ん...流石荒くれ者が多い冒険者 公衆の目なぞ気にしないのね」
獣人族は主に西方面の通称森獣連合というエルフと獣人族の国に住んでおり その国土の殆どが森という自然豊か所々なのだ 奴隷となるエルフや獣人族は戦地に赴いた者(主に男)を捕らえた場合が多いので愛玩用ではなく肉壁や囮という場面で重宝されているらしい まぁ運悪く捕まった女の子の殆どは愛玩用となってしまうのだが...
「さてとお腹は膨れたし周りは穏やかじゃないからそろそろ出ますか」
これから僕はある所に向かうためすこし速めに歩いていた
因みに荒くれ者が多いがためなのか僕のことを下卑た目で見てくる者もチラホラといる
いちいち絡んでこないのはまぁいい事だろう
でも目的地に着いたら絡まれるよなぁ...なんせこれからの生活のために荒くれ者達の活動拠点に行くのだもの
さて やって来たのはいいのだがやはり酒臭い 昼間から飲みまくってるなぁ...
現在居るのは冒険者ギルド 外は石造りだったが中は木造とまぁまぁな建築技術が伺える
冒険者ギルドの中は右側全体が酒場 左手前が受付カウンターでその奥に依頼ボード
受付に行くのにいちいち飲んだくれを回避するというめんどくさい行いをしなくてもよさそうだ
と 思っていた時期が僕にもありました
「なぁなぁ嬢ちゃん ちぃっと俺達と遊ばね? いい店教えっからよ な?」
おや?入るなり八方を欲望丸出しな男共が囲んできたではないか
誘ってきた禿頭で厳つい顔のマッチョな男がリーダー格なのだろうか
出来れば問題は起こしたくないので出来るだけ穏やかに断るべきだ
「すいません 今はそういった余裕は無いのでお断りさせて頂きます」
「ん?いやいや明らかに余裕ありそうじゃねぇか 俺に誘われたのが嬉しくて照れちまったのか?ん?」
丁重にお断りしたのだが男は諦める所か僕の肩に触れ無理矢理にでも連れていこうとしているのが分かる
いくら僕が人間でないとしても体格差があると抑え込まれてしまうので先の事を考えて相手の手首を握っておく
「お?なんだ?手を握ってくれるなんてやっぱ嬢ちゃん嬉し━━━っがぁ!?」
グギっと痛々しい音が響く 男が僕を脇に担ごうと手を伸ばしてきたので握っていた方の腕を握り潰した
「っぐ...テメェ...俺の手を握り潰すなんて調子こいてんじゃねぇぞ...」
「なんでしょうか?僕はただ誘拐されそうになったから潰しただけです」
周囲の男共が顔を驚愕の色に染めている なんたって貧弱そうな女の子が屈強な男の手を握り潰したのだから
「見た目が弱そうだからってあんまり調子乗ってんじゃねぇぞ 僕は子供の時から円卓の最前線で何度も死線をくぐる抜けて来てんだよ」
「っひい」
僕を中心に辺りに背筋が凍るような寒気が漂う 神代アーティファクトという神の作り出した兵器の中でも最初のアーティファクトにして最後の最高傑作である兵器の殺気だ
これをまともに当てられれば戦えない者なら一瞬でショック死に至る
まともに当ててないのに尻餅を付いて後ずさってる辺り実力はそんなに無い事が伺える
よく今まで生きてたものだ逆に関心物だろう
「そんな訳で今後一切関わらないで下さいね?」
「は...はい!」
内心で━━ヤベぇ素が出ちゃった...と焦りながらもさっきの殺気が嘘のように霧散していく
あまりの恐ろしさに失禁してる男がいる 荒くれ者といえどそこら辺はどうかと...
いや主な原因は僕なんだけどね...?
そんな訳で気を取り直して額に汗を浮かべている男共の間を通り抜け受付へ向かう
動じてはならない 気にしたら負けって言葉があるらしいし
受付を担当しているのは栗色のショートヘアーと瞳にツリ目でなんだか隙がない綺麗な女性
なんだか強そう
「要件」
この受付嬢さんド直球である
「登録」
打ち返す
「C」
「え?」
「CよC」
「ランク?」
「そうよ」
なんということでしょう 試験も受けずにCランクだというではないか
この世の冒険者は国に属さない非政府組織で冒険者であればどの国にも基本入国可能である
だが規定がありS、A、B、Cの上位ランク以外のD、E、F、Gの下位ランクは他国に入る事は出来ない
冒険者のルールとして先程のランクによる入国制限の他にもいくつかある
1:栄誉や大きな功績がない限り国からの個人への援助は無し
2:冒険者同士の殺し合いなら罪には問われぬが一般市民を殺害した場合全財産の没収及び強制的に処刑
3:死亡した際 ギルドは一切の責任を負わない
この3つが冒険者の主なルールである 非政府組織でありながら国の中に施設を置かせてもらっているため国に対してのルールが主だ
で
「なぜC?」
「さっき手首を潰した男 あれBランクなの それに固有魔法で常時肉体と骨が名ありの職人が作った鉄防具並に硬化されててAランクでも怪我を負わせるのが困難 Bランクトップ」
ド直球女性かと思ったけど単に要らない言葉を切り捨ててるだけのようだ
「いままでBランクでも傷を負わせた奴はいないし Aランクでも傷を負わせた奴は少数 でも回復魔法ですぐ塞がれるから返り討ち 貴女はそいつの骨を一瞬で折った後殺気だけで戦闘不能にした 職業上ルールも含めCが妥当」
「な...なるほど...」
「カウンター端にある台に魔力注いで」
そんな実力がないと思ってたら随分とお強いそうで...
神代ではあの程度一般市民ですら持っている実力だ 新代暦基準だとSランクは神代では下級騎士並程なのでは?
この世の戦闘の質がかなり落ちたのと周りから見れば自分の力は如何に異常なランクに居るのかと驚きを隠すのが大変だ
ん?神代の上級騎士や僕がどれだ強いのかって? 敵とぶつかって大陸中央の円卓が生まれたと言えば分かるかな
それは置いとくとして
試験無しで上位ランク入りした人は勿論いないらしい 下位ランクなら珍しくないそうなのだが...
冒険者の証はカードで右側に現在のランク 左側にはいろいろ機能がある
1:ステータス表示
2:魔物の討伐履歴
3:次のランクになる条件
4;現在利用している施設欄
以上の4つがギルドカードの機能だ
「出来た 不要な詮索はしない 受け取って」
「ありがとうございます」
今すこし気になる事があるので酒場の端の席でポツンと気配を消します
「さてさてステータスって神代には無かったよね もしかして主が追加したのかな?ちょっと見てみよっか」
ステータスなる物は自身の出身や年齢などの基礎情報から剣術や得意系統の魔法などの技能に数値化された身体能力を表情させるという 見るのが楽しみ
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名前:ミストボルディア・レヴィディオラ
種族:ワルキューレ
性別:女
年齢:不明
出身地:神域(工厰)
攻撃力;不明
防御力:不明
機動力:不明
魔法威力:不明
魔力耐性:不明
魔力値:不明
技能:原初魔法・異空間格納庫(109個格納中)・魔力操作・魔力変換・飛翔・モードチェンジ(ハザード)・モードチェンジ(セラフ)・意思凍結(解凍中)・リミッター解除・自己修復・槍術・盾術・砲撃術
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え?
やはりこれからも投稿は不定期ですがなんとか投稿していきたいと思います お楽しみ頂けましたら次回もぜひ見てください