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神代兵器の自由意志  作者: ぶくっと醤油
1章
16/32

16 勇者御一行

カーナー大陸 それが俺達が召喚されたという世界だ 人族とドワーフ 獣人族とエルフそして魔人族 自領に住まう種族は他領に住まう種族を嫌い己が大陸の覇者となるべく戦争を繰り広げている世界 だが最初 人族は戦争に参加しなかったらしい そこに魔人族が攻めてきた 報復を繰り返し今となっては人族までもが戦争に参加している始末

悪いのは魔人族 俺達を召喚した人族領最奥に位置するハンニバル王国宰相 フェニル・ルイ・ランドニアからそう教えられた 僕達は勇者で魔人族を滅ぼさねばならぬと

しかし僕達は高校でありながら裏社会で活動していた そのため平常な心 そう正義感など無いに等しい 知らぬ他のために己を犠牲にしろとは都合が良すぎる

国王であるペレヌ・エリヌス・アル・ハンニバル国王からは報酬も授けると言われた 望むなら魔人族の領地を与えると元の世界にも還すとも言われたが腹が肥えている彼の話なぞ信用出来るはずがない

聞いてる振りをしてやり取りし宝物庫に案内されたそこに眠るのは金銀財宝の数々ではなく 神代アーティファクトと呼ばれる最強にして最恐の武器の数々 己が好きな得物を選び部屋と案内された俺達は1度話し合うことにした


「なぁ純銅 俺はあいつに従っても意味無いと思うんだが...」

「確かに胡散臭く聞こえたね だけど本心も混じっているのがまた厄介...」

「幽砕這はどう見る?俺としちゃ助けるのに越したことはないがどうもなぁ...」

「あんな奴に従わなくてもいいよゆー君」

「私はどっちでもいいや〜」

「う〜ん...まず皆従わないでいいね 俺もそれで賛成だ ただ魔人族とやらが悪い奴なのも分かる 俺達は同族だ同じ人間の存続に危機なら手を出してもいいと思う それまでは静観して旅するのもいいんじゃないか?せっかくの異世界だ 楽しんでも損はないだろう それに小手調べとして魔人族とやらがどれだけ強いのか知っておきたい 今の俺たちは数値的にかなり強いっぽい 慢心しないようまずは円卓って所で1回戦線に参加してみよう それから今後の判断をするんだ いいかな?」

「「「「「了解(〜)!」」」」」


王城は豪華絢爛という言葉をそのまま体現したような所でうんぬん億はしそうな調度品や絵画が多く飾られている 部屋の一室一室は広く5人入ってもまだ余裕がある 食堂や大講堂 中庭にエントランス どれも日本では見られない程広く最初は唖然としてしまったがもう呆れに変わってきている


それから食堂で夜食を取り風呂に入って天蓋付きのベッドにダイブした 夜食すら宴会なのではと思う程の量と派手さがあり食べづらい 風呂の湯船は温泉よりも広く巨大な金メッキのライオンがお湯を吹いていて滝壷にいるのではと思う程の水飛沫と音で落ち着かない ベッドはふかふかだが大きすぎて落ち着かない 晶が隣で寝ているので多少落ち着くがこの広さに慣れることはないだろう...





翌朝夜食とほとんど変わらない量と派手さの胃にきそうな朝食を頂いたが既に落ち着けない空間しかない事が分かっているので無理言って「さっそく今日から魔人族とやらを殲滅しに行きます!」と告げれば国王は軍資金として金貨50枚入の袋を渡された 重い 金舐めてたは鉄の方が重いと思ってたけど金の方が重かったよ

金貨50枚 この世界では約1年は過ごせる量だそうだ 高い方から黒曜石の黒貨 ルビーやサファイア エメラルドに似ている鉱石の3色硬貨 金の金貨 銀や鉄の銀貨 銅の銅貨だ 黒貨1枚で2年は過ごせるというのだから恐ろしい 明らかにレートおかしいだろこれ


日本庶民にとって居心地の悪い王城を出れば街の大きさが否応でも分かる 常に活気で溢れ通る者は皆笑顔 路地裏も掃除が行き届いているのかゴミがなく不審者もいない 多少貧民と思わしきみすばらしい布切れで身を包んだ人がいたが俺らは誰でも救おうと思うテンプレ勇者様ではない


この国で1番主要とも言える大通りは常に活気に溢れておりそこらの出店からいい匂いか漂ってくる 人が多いが暗黙の了解なのか大通りの中央以外歩く人がいない 出店に用がある人は自然と中央から抜け出している

監視する人がいなくても交通ルールが出来ているのはいい事だ


「うっま おい幽砕這!純銅!装道!この焼き鳥うめぇぞ!」

「な!?マジか!俺にも1本くれ克!」

「ほぉ...タレが何か分からないけどピリ辛なのがまたいい...」

「どれも美味しそうだねゆー君」

「いいところだな やっぱり俺ら日本人はこういうのでなくちゃ...っ!?」

「んれ?どしたのゆーっち」


誰かに見られていた 明らかに視線を感じた 視線を感じた方向を見ても誰もいない ただ自分たちを撫でる()()()だけが通り過ぎていく


「今...誰かに見られてた明らかに俺たちを見てる奴がいる 監視か...?それともお約束?」

「誰かに見られてたって...そんなにガンつけられたのか?俺には何も感じなかったが...」

「バーローあいつは暗殺者だぞ?裏社会のエキスパートだぞ?視線には敏感に決まってるだろ いつ死ぬか分からない仕事してんだからな」

「克は確か阿賀野家の分家だったね 本家は彼みたいに視線に敏感な人が多かったのかい?」

「あぁ殆どがそうだったぜ 常に警戒して気配を探ってるんだ しかも視線には特に敏感さ」


誰もいないのに見られている 今も全身を舐め回されるかのように視線を感じている まるで値踏みされていかのように全身を 密集地では埒が明かないので急ぐことにする


「皆 ここだと誰に見られているのかよく分からない 探るために速く国を出よう」

「そうね むやみに人を巻き込むわけにもいかないわ それに同じ人間ならゆー君相手に勝ち目は殆どないものね」

「そだね〜」

「装道に純銅 抱えてやろうか?」

「「大丈夫です!」」


それからしばらく人目を縫って走りたまには路地裏を挟んで国を隔てる門へと着いた 人目を縫って走った 迷路のような路地裏を掻い潜った 全力で走った なのに常に視線が全身に付きまとう まるで貼り付けてあるかのように 空いている門に()()()が吹き込み流れにつられて俺らも国を出た

珍しく首都そのものが国であるハンニバル王国は外門を抜ければすぐに別の国となる

右に雑木林が 左に草原が 日本ではお目にかかれない雄大な自然 視線さえなければ見惚れる程の美しさ


「...っまだ視線を感じる...いったい何なんだ この気味悪い視線は いったい何処にいる...」

「...! ゆー君この街道の先に誰かいる ずっとこっちを見てるよ」

「うっしゃ!ジロジロ見られてたんだ 喧嘩なら受けてたつぜ な!」

「「「お〜!」」」


さとるの言う通り街道を曲がった先 ちょうど雑木林に隠れて見えなかった位置1人の女性がいた

短い艶のある髪に貴族のような刺繍の入ったドレス 動きやすいようにスカートの丈が膝の皿までしかない 色白い肌以外緑色1色で統一されている その見た目は森の妖精とでも体現すべき美貌を備えている

その右手に肩まで渦巻く風を纏った目を凝らさないと見えないほどの薄いガラスのような向こう側が透けて見える弓を持っていなければだが

その女性は閉じていた眼を開き緩やかな動作で右手を胸元に添えれば口を開く


「初めまして勇者御一行 円卓に向けて国を出た矢先に失礼だと思うけどこっちも仕事でして 少しお話させてもらえる?」


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