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神代兵器の自由意志  作者: ぶくっと醤油
1章
14/32

14 本質

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


謎の移動音を響かせ()()駆ける透明だが目を凝らせばギリギリ見えるのは機首部分に楔形装甲を持ち太い4角柱に機首に向かってピラミッドを合わせたような四角いミサイルにも見える太い胴体から胴体を優に超える大きさの主翼が生えている 機体後方は巨大なスラスターが隅に2機とその上部に2枚の尾翼それらを繋ぐように尾翼から板が繋がっている 双発機によく見られる構造だ 中央は長方形の大穴があり中は格納庫のような雰囲気の空間が広がっている 全体は100メートルもあり後方のスラスターだけでなく主翼の内部からもスラスターが発する高濃度の魔力粒子がジェットエンジンの炎のように吹き出している


永久機関搭載飛翔移動式簡易要塞ベルセルク 主が作り出した数多く存在する簡易要塞1の小型を誇る兵器 他の移動式簡易要塞と違い唯一の飛行型という事で最高速度はずば抜けているのだが逆に旋回性能といった小回りは効かない 神々の1部では''特攻兵器''と呼ばれており自らを犠牲に相手を葬るといったニュアンスから戦神の愛機として用いられていた名誉ある存在 しかし仮にも要塞の名を持つのでその攻撃力は侮れない 空中という事で下部にも武装が可能なため主翼と機体下部には同じく空中移動型の敵を迎撃する装備が充実した側面と同じぐらいの武装が施されている アリサのパニッシャーのガトリングモードを優に超える巨大なガトリング砲が所々に配置されパニッシャーが普通のガトリングガンだとするならこちらは自走砲や対空砲に用いられる183mm 毎分600発と少々物足りないが高貫通榴弾による爆発で火力を補っている

主翼下部の影に隠れる皿のような円柱状の物体は永久機関から生み出されるエネルギーを圧縮し放つエネルギー兵器で下部だけで総数520個 一斉掃射された時はまさに光の檻に閉ざされているような錯覚を覚えるほどで掃射時間は10秒 再充填完了まで5秒と分間火力にもにも優れている 高位の龍種を一発で仕留められないガトリングと違い一瞬で葬り去るので主兵装はこのレーザーで間違いない

ただし主兵装とは言ったが最大兵装とは言っていない

その他にもミサイルや攻撃機 迎撃機 爆撃機 偵察機などの各種戦闘機をはじめとした陸戦部隊の主力である戦車や装甲車などの機甲部隊も積まれており20両1部隊からなる5部隊計100両が常に出撃準備を整えている

兵装や推進装置などの大きさに反して内部は大き過ぎるでもなく小さ過ぎるでもないぐらいの規模であり戦時はそこらに人が溢れていたであろう空間は今は伽藍としており時代の流れを晒している


その中 機体下部にある''工廠''に通じる通路に1人の男が現れる

短く切りそろえられた高潔さ漂う金髪に男でありながら細身で脆い印象を受ける肉体 その顔には柔和な笑顔が浮かんでいるが細く開かれた暗い青が混じった黒瞳にはある種の狂気が滲んでいる


クレアシオンシリーズ3番機 ''殺戮''バグルス・ヴァンダルシア

つい先日獣人族領中央 世界樹ラモニアス内部の幻想空間にてちょっとした言葉のあやでアリサとリーリエに愛機である龍型外骨格の神代アーティファクト''ガブリエル''を木端微塵にされ修理完了期間5日を言い渡されたちょっと不遇な彼


工廠と通路を区切る扉を抜けた先は少々燃料臭いがその中央には下半身から胴体が組み上がっている''ガブリエル''がアームに支えられ鎮座している

目線を上げればその背中を歩くように足を進め微調整しているのであろうドライバーを差し込み回しては顔を顰めてまた回すを繰り返している何故か少々フリルをあしらった真っ白のワンピース姿で作業している少女

艶やかな腰まである銀髪に今は難しい顔をしているが普段はおっとりした翡翠色の瞳 落ち着いており希に妖艶な雰囲気を放つがその身長は12歳程しかない 外見からすればただの少女にしか見えないが大人数十人でも数10ヶ月はかかる作業をたった3日で半分も進めている様子を見ればただの少女とは思えなくなるだろう


クレアシオンシリーズ1番機 ''破壊''ミストヴォルディア・レヴィディオラ

神代アーティファクトのみで構成されたクレアシオン部隊の隊長でどれかに特化し反する性能は低いという1部の状況下でのみ真価を発揮する他のメンバーと違いどの状況でも安定した機動を行うバランスの良い存在で不得手とする場面が無いことから最初の神代アーティファクトにして最後の最高傑作と呼ばれるほど

その性能は最高傑作と呼ばれるに恥じないもので創造神しか使う事が許されない神々の権能を納めた原初魔法の使用権を唯一得ている未来永劫究極に位置する彼女


創造神の息子である主の趣味と趣味と実用性がベストマッチしたが故に製作された隊長は助手兼護衛ということで小物から兵器まで多種多様な物を作る技術と直す技術両方を仕込まれており隊長専用の工廠であれば''ガブリエル''を優に超える大きさと精密性だったとしてもたったの2日で直せるというのだから驚きだ


「いつ見ても主殿にロリコン気質があるのかはたまたギャップ萌えを狙った結果なのかそれとも両方なのか僕には分からないよ...」

「''地球''とやらの性癖表現だっけ?主はよく遊びに行ってたね 技術レベル的に実現出来ないのに空想上でありながら精密に捉えられている理論 そこから生まれる娯楽 アニメとかゲームとか僕にはよく知らないけどアーマー〇・コアだっけ?あれのオーバー〇ウェポンは個人的に感動したよ」


━━━因みに主は妹萌えだよ そんなあまり聞きたくなかった事をサラッと暴露しているがその手は常に工具を指に挟み数千億を超えるパーツを寸分の狂い無く組みあげられていく パーツを組み上げ取り付ける素早さと大胆でありながら間違えること無く決められた場所に戻るパーツ達 常人には到底真似出来ないそれは本当に戦闘兵器として造られたのか疑いたくなるレベルだ


「バグルス今何時だっけ?」

「丁度7時だよ リーリエがご飯できるから連れてきてだってさ」

「もう7時?集中するとあっという間に時間が過ぎてくねぇ...もうちょいで動力部が終わるからそれから行くよ」

「なら僕も待ってるよ 1人で戻ったら何言われるか分かんないし 隊長とならあの2人と違って気楽に話せるし それにガブリエルは僕の愛機だからね」

「ははは...バグルスも大変だね...なら少し付き合ってもらおうかな ド直球に聞くけど''4番機''の反応はあった?」


4番機 ''消滅''と呼ばれているクレアシオンシリーズで現在たった一人欠けている巨漢だ

その巨躯な体格と常に厳つい顔をしているせいで人付き合いが全くない奴だった

彼は特に戦闘特化で同じクレアシオンシリーズで最大火力を誇るアリサの必殺技の直撃を受けても数値上3分の1しか削れない頑丈さが取り柄だがそれでは''消滅''ではなく''不落''や''鉄壁''と呼ばれるだろう

彼の''消滅''と呼ばれ恐れられていた固有機能【エネルギーディスパージョン】

正確には分解しているだけなのだがエネルギーを生み出す存在は片っ端から分解してしまうので生き物の細胞すら分解してしまう扱いが難しい機能だ 欠点といえば触れていない状態では発動出来ないだけというクレアシオンシリーズとしてはあってないような欠点と呼べない欠点しかない

斬った相手の肉片や血すら分解するので斬ったというより元からなかったという方が納得出来てしまう程一瞬で目視できなくなってしまうので''消滅''と呼ばれるようになった 世界には位置エネルギーや相対エネルギー 電気エネルギーなどどのような物であっても 目に見えない物であってもエネルギーを持つのでそれを噛ませれば実質世界そのものが攻撃範囲に入ることになる

主によれば性能だけでなく戦闘技術をも詰め込んだ完全な戦闘兵器なので1体1で適うものは存在しない

たとえ戦神であっても

━━━ぶっちゃけると戦神をパクって改造しただけだったりする


「全く反応なしだよ 必ず何処かに居るだろうけどまだ凍結状態だろうね 確かリーリエは魔人族に強制的に解凍させられたんだっけ?なら魔人族も僕らのことを探してるはず 完全解凍でなくともその戦力は国家規模だからね」

「そか なら今後魔人族領での行動は控えた方がいいね それじゃ他に何か面白そうな事とかある?ガブリエルの修理が終わったら1度人族領に向かおうと思ってるんだけど」

「人族領かい?なら最近奥の方 人族領統一国の神王国オムリスタで大規模な召喚術が起動したみたいだよ」

「大規模な召喚術?それって聖獣とか神獣とか魔獣とか召喚できる【サモンコントロール】?」

「いんやもっとでかい方だと思う 魔法陣の中に時空干渉式と一方的召喚式が3詠唱も入ってたからね あれは正当な召喚術じゃなくて肉体的反動がデカい禁術に近い方だと思うよ?僕は召喚術とか魔法陣の形しか分からないから」

「一つだけ心当たりがある 別世界には【勇者召喚】なんて召喚術があるらしいよ?なんでも時空干渉式が8詠唱もある大規模魔法らしい 魔法なんて魔法式を改変すればいくらでもオリジナルが出来るから何が起きるかなんて想像出来やしないや それにしても勇者召喚かぁ...なんか神代を思い出すね 王族の圧政を逃れて魔人族に寝返った英雄達と戦ったっけ...今度は寝返らなきゃいいけど...」


神代でクレアシオンシリーズの他に武器型のアーティファクトが製作されたのは神々の尖兵である天使にすら対抗出来る力を持つ英雄や一騎当千と崇められ敬意を表されていた者達を圧倒するべくして造られたのかのが始まりだったりする


「裏切ったのなら裏切ったで即始末すればいいんじゃないかな?幸い僕らがトドメの連続必殺技で作っちゃった円卓は見晴らしがいいせいで実力だけが物を言うからね 人間相手なら1対1じゃ油断がない限り引けは取らないと思うし」


余程油断しないではなく油断しないと表す辺り彼の戦闘への欲と礼儀と心得は誰よりも一線を画す 正々堂々それが彼のいいところだ どんな卑怯な手段を使っても正面から受け止める 卑怯と罵ることなく相手を讃え攻略する彼は如何に戦いのなんたるかを骨に刻んでいるのかが分かる 一種の愛とでも表現しようか


「そだね 注意すべきは勇者本人とその補佐役を担う誰かだろうね ()()()()()以外はCランク程度と見て間違いない 勇者とその補佐役聖女と賢者はAから上なのは確実だと思うよ1つ思う所があるとしたら精神的な耐久力じゃないかな ''地球''で稀にある神隠し?とかは大体召喚系魔法で転移させられたやつだし 平和ボケだらけのあの惑星でまともに戦える人なんて軍人でもない限りいないでしょ」

「ふーむ...それもそうだね 僕らのように常に死と隣り合わせの世界なら殺人なんて当たり前ではなく必然でも最初は抵抗があるのもまた必然 それを小さい頃に感じたことの無い者は強い抵抗を見せるからね」


僕ら兵器には心理など無いに等しい 自由意志によって個々の性格は以前より大きく変わったが兵器としての性なのか敵に関することには等しく冷徹になる 揺さぶりをかけられたとしても飄々と返されるだけ

だが生命を持ち生きる者は誰もが自分だけの心理を持っている 平和主義者ならば争いを嫌い仲間と手を取り合う 至上主義ならば己が至上としている事以外は絶対的な否定を取り逆ならば素直に受け止める 中でも平和主義は争いを嫌うばかりに殺戮衝動を心に隠し殺す事 死ぬ事を恐れている それを視認できる形が平和ボケだ

生命の本質とは程遠いそれを地球の人々は常識と捉えている


「彼奴の反応という手掛かりもないし一先ずは【勇者召喚】で召喚された人達を観察でいいかな?」

「それもそうだね 反応がないって事はまだ目覚めてないって事だし 行き先で偶然見つけるなんていう偶然も無いに等しいからねぇ」

「だよねぇ...ここをこうしてっと...うし!待たせてごめんね終わったから行こうか」

「へいへーい リーリエに怒られなきゃいいけど...」

「その時は僕が口添えしておくよ」

「流石隊長!あざます!!!」

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