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神代兵器の自由意志  作者: ぶくっと醤油
1章
13/32

13 3番機

妖精族 小さい体にふた回り大きな透明で魔法による模様がある蝶のような羽を持ち精霊に1番近いとされている種族 本来魔力によって形成されているはずの精霊と違い下位精霊が羽に魔力を溜め込み肉体を持った生命体 その羽は膨大な魔力が込められておりその用途は多岐にわたる 1番の使用用途といえば飛び回るために使用する筋肉を常に癒し続ける回復魔法が付与されているのを利用した万能薬だろう

そのせいで見つかれば我先にと狩ろうと迫る人間から逃げるために世界樹ラモニアスの幻想空間下層にその身を置いている


今僕達から逃げようと飛んでいる妖精は60センチ程しか身長がないが妖精族からしたら立派な大人だ

そんな妖精が必死に逃げている事からもどれだけ妖精族が人間に恐れているか容易に想像がつく

━━━けど今なんて言った...?龍王?


「アリサ...龍王って...もしかしなくても殺戮だよね...?」

「そうでしょうねぇ...アイツの固有機能にアーマード・ドラゴニックがありましたもんねぇ...」


クレアシオンシリーズ3番機の殺戮が持つ固有機能の1つアーマード・ドラゴニック 僕やリーリエのモードチェンジ・セラフのような体に所々龍のような部位に変化する中途半端な龍化ではなく外骨格として龍の形をした巨大兵器を装着するという規格外っぷり 主が地球という星がある世界にお邪魔した時に遊んだゲームに感化された結果出来上がった代物で「口の中にヒュー〇キャノンモドキを取り付ければ完成だ!」と完成数日前に呟いていたのを覚えている


「確か''龍型戦略級要塞ガブリエル''だっけぇ?神代でも円卓でもないのにドラゴニックしてるなんて...いったい何をやってるのやら...」

「まぁ あの全長65メートルもあるんだから歩いてれば見つかるでしょ」


他愛も無い会話をしながらちょっとした丘を登りきると遠目に上に続く巨大な白い階段が見えた

それが続く先は何も見えない黒い空間 その中に我先にと上る妖精族が大量に見える

世界樹ラモニアスの幻想空間上層《最果ての振動》の核が眠る神殿がある空間に続く物だろう

丘を越えて階段の元に辿り着くと既に妖精族の姿はなく皆上層に避難した後だった


「僕達は人族じゃないのに妖精族ですら見た目だけで人族と判断されるとは...人族そっくりに作ったっていうのも考えものだねぇ...」


そう愚痴りながら階段を上り黒い空間へと体を進ませる

黒い空間を通り過ぎた先には下層と同じような平原が広がっている ただ違うとすれば目の前に巨大な神殿とその前にこっちに背を向けて寝そべっている巨大な黒龍(ガブリエル)と色とりどりの淡い光を放つ球体達


精霊族 大雑把に表現するなら魔力の集合体 核である中心の魔力に意思が宿り周辺の魔力を溜め込み生まれた魔法の概念そのものと言える存在 不純物の一切ない魔力を扱うので初級魔法の威力は下級精霊であっても侮れない力を有している 人族にその途切れることのない魔力光を明かり代わりにされたり その膨大な魔力量から一時的な魔力タンク 攻撃性のアーティファクトにされたりと捕まっては録な生活が送れないため妖精族同様世界樹の幻想空間に逃げ込んだ種族だ だが精霊が認めてくれたなら''契約''を用いて精霊と協力関係を気付くことも出来る その場合人族が無理やり行っていた先述にあった人族が嫌われた理由は勿論精霊一体一体が違う能力の加護やその身を武器に転じる事も可能になり 契約を結んだ精霊相手なら一生を共に過ごす存在として喜んでその行為を自主的に行ってくるのだ つまり捕まえるより契約した方がwinwinなのだ

━━━下級精霊ならともかく上級精霊や最上級精霊となるととてつもない事になるのだが....


『龍王様全ての妖精族保護完了しました! これで心置き無く忌々しい人族を討ち滅ぼせます!』

「うむ ご苦労である これだけの精霊が集結しておるのだ 侵入してきた人族は()()強いようだがこの数の前では無力 存分に蹂躙するがいい」


━━━ッブチ

━━━ッゴキ


何かが切れたような音と鈍い戦場では聞き慣れた音が聞こえた気がし...いや絶対した だって背中に悪寒がするもん

そう思いながら後ろを振り向けばどうだろう 顔が引き攣り目元に影が覆った状態でガトリング状態のパニッシャーとかなりの魔力が込められたカタストロフィドライブを構えている2人がいるではないか

━━━...ガブリエルの修理めんどくさいなぁ...


「OK バグルス今なんて言いました?私達が貴方より弱いと仰いましたか?聞き取れなかったのでもう一度言ってもらいましょうか リピートアフタミー」

「たかが3番機風情が調子に乗ってんじゃないわよ 何?そのトカゲ そんな見た目だけの兵器なんて必要ないのよ その土手っ腹にドデカイ風穴開けてやろうかしら!? そうだわ!確か痛覚神経リンクしてるんでしょ!?だったらそのドデカイケツ〇ナにドデカイ魔力槍ぶち込んでやろうかしらぁ!?」

「ぬ...?その声...まっ!!まさか!?」


清楚に見えるリーリエが不穏な言葉に反応したのかアリサとリーリエの声質に反応したのか分からないが

その巨体に似合わぬ速度 ギュンと風切り音を発しながら首を持ち上げ真っ黒な鱗からでも分かるくらい青ざめ滝のように汗を流しているガブリエルが僕達を視界に入れた


「止めたいのは山々なんだけど言い出したのは君の方だから...ご愁傷様」


途端


ドゥルルルルルルルルルル!!!

ズギュゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!


パニッシャーによって舐め回すように貫通跡がガブリエルの心臓部分以外に増やされ

カタストロフィドライブによって顔面と横っ腹に風穴を開けた


慈悲のない高火力の嵐 みるみるうちに体が崩壊していく龍王の姿に精霊達も唖然とし動く気配がない

そして弾幕が止み土埃が去った後に残ったのは体が10分の1丁度心臓の周辺と体を構成する細かな部品のみ

すぐに我に返った上級であろう精霊は悲壮な表情を浮かべているであろう魔力光が殆どない

それは次々と伝播していき皆だんだんと光が失せていく

さしずめ戦意喪失だ

そりゃそうだろう自分たちが慕う王なる者が一瞬で跡形も無く倒されたのだから

だがその後に残りの部分から一目で優男とわかる容姿をした美青年が出てきたことによって精霊達の戦意が再び戻る

しかしその優男 クレアシオンシリーズ3番機 ''殺戮''のバグルス・ヴァンダルシアによって戦闘態勢を解除するように言われ精霊達は困惑したように光量を落としながら戦意を解く


「お久しぶりだね...隊長に...アリサとリーリエ...えっと...先程は偉そうなこと言ってしまい申し訳ございませんでしたぁ!でも動力部だけは残してくれてありがとうございます!」

「うん久しぶりバグルス まさかこんな所で龍王なんてやってるとは思わなかったよ」


誰が見ても綺麗だと思わせるような素晴らしい3回転土下座を披露したのをスルーし最初から疑問に思っていた事を問いた


「どうしてここで精霊や妖精を守っていたの?目覚めてるならせめて1報欲しかったよ...そしたら僕達も何かと楽に動けたと思うし リーリエみたいに相手の手駒にされる心配もなかったし...」

「ゴメン隊長...えっとだね...僕と契約してる最上級精霊からあの子達を守ってほしいと頼まれてね...精霊や妖精を無下にしたくないし かと言って戦うのはあの子達だから被害も出したくないし だからドラゴニックで威圧感を出して侵入者を拒んでいるんだ 流石に最果ての塔の1種って事でいままで1人も侵入者はいなかったけどね それと報告は単純に目覚めてるのは僕だけかと思っていたんだ ほら僕には契約精霊がいるでしょ?」

「それなら僕にだって最上級精霊数人と契約してるよ...」

「っあ」


そうだった!!という表情で僕を見る彼は少々及び腰になっている

及び腰なるのは主によって設定された性格に基づくものなのだが今のは個人的な嫌なことを思い出したような設定された動きではなく人のそれとしか思えないような及び腰だ それだけ感情という物に多く触れている事が分かる

因みに彼の設定はというと...


普段は冷静沈着で気品がありその容姿と相まってそこらで黄色い悲鳴が上がるような存在だが同機といる時や動揺すると丁寧語ではなく本来の性格である落ち着きのない青年と化す 貴族のような遠回しで長い挨拶から入る言葉から青年とした少々畏まっているが砕けた話し方になる 動揺した時や焦っている時の微笑ましさといったら子供同士がヒーローごっこをしている時並 殺戮だからといって快楽殺人鬼ではなくS気もない ただの戦闘狂で特にルール無しの対人戦を好み過ぎるだけである しかしその戦闘スタイルは殺戮の名に恥じないもので 極長の太刀を2振り持ち片方は逆手持ちという少々変わったスタイルだが一刀両断は勿論串刺しや細切れ微塵切りといった妙な正確性と剣捌きで5万を超える軍勢に対しても1兵残らず肉塊に還すので殺戮という名を持つ


つまり戦闘以外は普通にいい人というだけだ

それと設定にはないが戦闘跡は僕達のように灰や穴だらけ 体が繋がっていない灰ごと消滅などの神代アーティファクトならではの様子ではなく 確かに死体は全員分存在するのだが全て皮膚は無く肉をむき出しに斬られた傷もない見事な人形をした人のそれだった肉塊や原型を留めていないほど切り刻まれている肉片が散らばっている 殺戮という名らしい殺し方だ

しかしそのせいでバグルスは戦闘域を規定以上拡大するか任務をサボったりした時戦果は死体によって判断されるので罰をくらう時は言い逃れ不可能な悲しい存在でもある


「皆 彼女達は僕と同じクレアシオンシリーズの人達だ 人族ではないから安心してほしい それと戦闘態勢を取ったことは許してくれるみたいだ」


彼本来の喋り方をしているという事は精霊達ととても仲がいいようだ たとえ精霊だったとしても いや精霊だからこそ彼は気品のある貴族のような喋り方になるのだが今の彼からは生まれた頃から一緒にいる友達と話しているかのような気安さを感じる アリサやリーリエと話す時よりも軽い

━━━僕と話す時は気安いどころか素が全開なのだが...


「バグルス 君はこれからもここに残るのかな?契約精霊の願いなんだから残ってもいいよ?」

「何言ってんだよ僕が一番慕っているのは隊長だよ?契約精霊のオルビアも許可してくれたしね なんだかんだ言って彼女は僕を大切にしてくれてるって思ったよ やっぱり精霊は良き隣人家族も同然だね」

「それなら尚更あの子達を守った方がいいんじゃないんですか?」

「隊長の原初魔法でこの空間を時空の狭間と置き換えれば問題ないはずだよ 原初魔法の本質は法則そのものを捻じ曲げる事だったよね?なら時空の狭間を移動させることだって出来るはず」

「いやいやバグルス 流石にミーディアでも時空の狭間の移動と幻想空間の時空間への移動と固定に数回は発動させないとダメなんだよ?いくらなんでもそれは「出来るよ?」...ウーン...」


確かに原初魔法の数回使用は禁物 神の能力を集めた物であって一つ一つはバカでかい魔力がいるけど創造神の権能を噛ませればたった2回で済む話だ それでも魔力量の3分の2は持ってかれるけど...


「幸いここに来る間にある程度回復してるから魔力枯渇にはならないはずだよ まぁ枯渇したら枯渇したでドラゴニックタンクから引き出せばいいだけなんだけどね」

「無茶苦茶だねぇ...」

「無茶苦茶ですねぇ...」

「当然じゃないの?」

「「それはセラフ積んでる機体だけの感覚だよ」です」


そんなこんなで幻想空間を時空の狭間に移動させて獣人族に気づかれないよう《最果ての振動》の核が眠る神殿を置き去りに多少物寂しくなった所を多くの精霊や勘違いをした事を謝りに来た妖精達に見送られ今は全大陸が1つになったカーナー大陸中央 歴戦の戦場円卓のド真ん中に転移した


「ところでバグルス 聞き忘れてたんだけど忘れ物してないよね?」

「しまったぁ!?ガブリエルの予備パーツ置いたまんまだった!」


結果:魔力枯渇起こしました

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