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牛丼

牛丼よ。君は昔から労働者の喜怒哀楽を見てきた。疲れた体にスタミナを与えてくれた。


牛丼は、決して気取った食べ物ではない。肉が貴重だった明治時時代から、肉体労働者が食べた、安い食べ物だった。もっとも、当時はモツやらレバーやらがコッテリ煮込まれたものだったらしいが。


吉野家も、コンビニが浸透する前から深夜営業を行っていた。であるから重宝したと、学校の老師が仰っていた。


これは、やはり常に労働者目線で営業している証ではなかろうか?


客側も従業員側も仕事の苦労が、伝わりやすい(これはもっぱら筆者の偏見であるが)。かつてのワンオペの問題からもそう思えてしまう。


でも、味は一級品である。なんせ肉の調理が上等だ。肉を柔らかく煮込むのは、素人では中々難しい。そして、牛丼にしか出せない、スタミナの強さ、旨味がある。


豚丼も確かに旨い。かつては牛丼が一斉に姿を消したため、豚丼しか食べられなかった経験から、味にも慣れている。しかし、出汁ベースにするには、淡白で、スタミナはつきにくいと感じる。


豚肉なら、もっと厚切りにした奴を、ホロホロになるまで煮込んだ料理が美味しいと感じる。


しかし、牛丼は、牛肉がそもそもコッテリとしているため、薄肉でも日本人には丁度いい。そして、繊維質の肉には旨味が詰まっているため、良い出汁が出る。これが玉ねぎの甘みとプラスされるんだから、いいこと尽くしだ。


牛丼は生活に密着しているから、私の感想も陳腐なものとなってしまうが、旅行に行った帰りの夕食は、いつも牛丼だった。気取らないけど、美味しい牛丼の思い出。


駅に着くと、もうあたりは真っ暗。昔、駅前にあった牛丼屋で、牛丼を買い、母と姉で食べた。


いつもと同じ発泡スチロールを和風にした器にタッパーしてある牛丼。しかし、これがなんともおいしかった。平日に食べるものとは一味違うと感じられた。


楽しい行事は終わり、なんだかぽっかり穴が空いているような気分。そんな中、牛丼の美味しさが、心の隙間を埋めてくれた。そうだ、元気を出すんだ!そんな気分にさせてくれた。


旅の思い出がスパイスとなったのか、よく分からないけれど、出汁が染みたごはん。甘く煮込まれた玉ねぎ、そしてホロホロの、脂身も美味しい牛肉。


凄く元気がでてくる食材が見事に疲れを取ってくれたんだ。きっとそうだ。


これからも、日本人に食べられ続けるであろう牛丼は、僕よりもセンスのある感想を抱く人が多くいるのは確かだ。しかし、僕が思うに、牛丼は、心が疲れているときに、より美味しく感じる食べ物なんだ。


働いてみて、実感しています・・・。

牛丼の思い出は、また後日書きます。

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