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初めての仕事 5

〜前回のあらすじを1文で?〜

容疑者の男爵に家から証拠とともに無事に帰ったリース。


「却下だな。」


 リースは魔法導師最高責任者室で報告を終えて、ペア免除の許可を得ようとしたらフードの上司の男はそう言った。


「なぁ!?けれど、私一人で・・・」


 約束した通り、一人でやった・・・そう言おうとしたが、


「一人でだぁ!?本当に一人でやったのか!?

 お前、”めんどくさがり伯爵”に助けられているじゃねーか。

 伯爵に逃走の時間稼ぎをさせておいて。

 そもそも、敵に捕まるってどんだけのドジだよ!

 しかも、向こう側にいた被害者の男に逃走を助けてもらって。

 あの男が暴れたから、魔法省おれらが騒ぎに乗じて介入できた。

 しかし、あの男、何者だ!?あの暴れ方、相当の腕前があったぞ。偵察隊ですらその後の行方が分からないぐらいにだ。」


 ・・・・フードの上司の男は報告書を机にバンバン叩き、荒い口調で言った。


 これがこの上司の素か・・・。

 それよりも、すべて自分でやったと思い込んでいたリースにとっては、フードの上司の男の報告内容に驚愕していた。


 フードの上司の男は、そんなリースを見て満足そうな笑顔を浮かべた。そして、両肘を机の上に置き、両手を顎の下にし、フードから見える口元が意地悪そうに笑って言った。


「誰がペアは必要ありません!だ!? 何が、一人でやれます!だぁ!?

 少なくとも2人の男性に助けられていて・・なあ?小娘。」


 ・・・とどめだった。



**



 伯爵邸。伯爵は自室のソファでくつろいで、顔がほころばせて本を見ている。

 そこへ勢いよく扉を開けられ、伯爵が少し驚き振り向くと、扉の前に息を切らせて怒ったリースがいて、伯爵に向かって怒鳴った。


「”めんどくさがり伯爵”のくせに、なぜ私の邪魔をしたっ!?」

「あのままだと、危険だったでしょ?」


 伯爵は飄々と答えた。協力したことを否定しない。


 確かに一人では危険だった。それはリースにもわかっている。しかし・・・


「それでも一人でやらなきゃ意味がないんだ!そんなことわかってるでしょ!?」


 リースは伯爵に対してずっと思っていたことを、勢いのまま叫んでいた。


「そもそも、なぜ世話を焼く!?

 私は一人でも平気だ!!母がいなくなってから、そう覚悟して生きている!!

 家族でも親戚でもない伯爵が後見人になってもらっただけでも申し訳ないのに・・・これ以上世話を焼かせたくないんだ!!」


 思いのはけを言ったリース。伯爵はそれを無表情で黙って聞いていた。

 リースは生まれて初めて思いのまま叫んだせいか、しばらく息を切らして(うつむ)いて黙っていた。


 いっそ泣きたいけど、ここでは泣けない。

そんなの誰かの前でやっても、何もならない。無意味だ・・・。

弱いところも見せたくもない・・。


 そんなことを思いながら涙を堪えるのに必死に俯いていたので、リースがふっと見上げて気づいたときには、伯爵が立ち上がっていて、リースの方に真剣な顔をして近づいていた。

 その光景に驚いて、後ずさりしこねたリースの腰近くの体に手を当てて、伯爵はリースの顔を近くで見つめて、静かに語るように言った。



「リース。僕は、自他ともに認める”めんどくさがり伯爵”だよ。

 ・・・ただしね、君のためなら、めんどくさいなんて、一度も思ったことがない。」



 真顔の深い目で見つめて、やさしく包み込むように語る伯爵の言葉。


 ・・・今まで見たことない伯爵・・・。


 驚きと照れで、リースの顔が赤くなる。


  ーーーーーーーーーっ!!!


 何か言ってやりたいが、頭が回らず、パクパクと口だけが動く。


 やばい、思考が・・・・・。


 あまりにも照れくさくて後ずさりしたら、後ろに置かれていた本にぶつかって落としてしまった。


 リースはふいに落ちた本に目を落とす。

伯爵は、あっまずい、という顔を浮かべる。



 落ちた拍子に見開いた本の中身は、リースの幼い頃の写真だらけ。




 ・・・・・・タイトルは”㊙︎リースの激かわ写真集・第一弾 伯爵以外閲覧禁止”








「・・・・っ、この変態伯爵ーーーーー!!!!」


 リースの顔が真っ赤に眉間にしわをよせて伯爵に向かって叫んだ。





サブタイトル:初めての仕事、おわり。

読んでいただき、ありがとうございます!

次回:無理やりのパートナー(仮) の予定です。こちらも読んでいただければ幸いです。

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