初めての仕事 1
序章から約7年後・・・
ここは魔法導師などが多く勤めている国の機関・魔法省の建造物の中。
その外装内装ともに中世の城を思わせる威厳のある廊下を、一人の十代後半の少女が堂々と歩いていた。その外見は、黒髪のショートカット、細身の体に、顔は目は鋭いけれども、お人形さんのような可愛さがある。
「あれ、リースだぜ。」
廊下で談話していた少年たちが通り過ぎる少女を見て、話題を少女のことに変えた。
「ああ、あのいじっぱりのリースか・・。顔に似合わず可愛くないよな〜。頑固すぎて。」
「あいつ、まだペアが決まっていないんだぜ?」
「本当か!?まあ、優秀でもあのいじっぱりさだとペアはごめんだぜ。」
そういう話をしている。
リースと呼ばれた少女は気にせずに歩いて行った。
内心では、私にはペアは必要ないと言い張って。
リースは暗い廊下に差し掛かった部屋の両扉の前で立ち止まった。扉の上には「魔法導師最高責任者室」と書いてある。ノックをして、重い両扉の右扉を開けて入っていった。
「失礼します。新人のリースです。」
「ああ、入れ。」
リースが中に入ると、広い部屋に大きな机があり、机の向こうにフードを被って口元だけしか素顔が見えない男性が座っていた。男性の机の上には仕事内容と思われる書類が多く、フードを被った男性は少しうんざり気味そうだった。
「お前だけだぞ。ペアが決まっていない新人は。いい加減に・・。」
「私にはペアなど必要ありません!」
リースははっきりと述べた。フードを被った男性は少し驚いた様子だった。
「・・何かあったら、どうする気だ?」
「私は一人でやれます。よって、ペアはいりません。」
リースの目から、その意思は固そうだ。フードを被った男性はしばらくリースを見つめて、書類にサインをした。
「・・・いいだろう。試しに一人でこの任務をこなしてみろ。」
そう言ったフードを被った男性はニヤっと口だけが笑っていた。
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