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3話 アルバイト

「ハクこっちこっち!」


「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!バイト初日から山奥なんて聞いてませんよ!」


「仕方ないでしょ今回の依頼が山にの神社に集まってる逸れ魂の返魂(へんこん)なんだから!」


「一成さーん…」


俺は泣きつくように一成さんに助けを求めた。


「もうちょっとだから頑張ろ、ね?」


「うえーん…」


俺は渋々山を登った。それから約30分後にボロボロになった神社に着いた。そこにはいくつもの魂が漂っていた。そのどれもが神社の境内から出られないような動きをしていた。


「ハク見える?」


「はい。境内の中に8個の魂があります。」


「分かったわありがとう。」


そう言うとみちるさんはおもむろに手を突き出した。俺は何をするのかと見ていると、その刹那みちるさんの手のひらが青白く光った。


「ハァ!」


力強く発声すると魂たちが境内から出て天に昇っていった。俺はその光景に見惚れているとみちるさんが俺に説明してくれた。


「聞きたいと思うから話すわね。まず返魂からね。返魂は亡くなった人の魂が正しく成仏できないもしくはされないことで魂が漂ってしまう。それをアタシのような魂魄師が定期的に成仏させているのよ。」


「後は俺が説明しますからみちるさんは仕上げちゃってください。」


「助かるわ。」


みちるさんはもう一度境内に手を出して何か唱え始めた。その間に一成さんが俺に魂魄師のことを教えてくれた。


「魂魄師っていうのは魂魄科に所属してる魂の専門家のことを言うんだ。だから俺も魂魄師だよ。話を戻すけど魂魄師は今みたいな能力を身につけている人もいるけど身につけてない人もいるんだ。役割分担してる感じだね。みちるさんが前衛で俺が後衛みたいな感じ。何か他に聞きたいことある?」


「魂魄師になる訓練?って誰でも受けられるんですか?」


「一般の人が魂魄科に勤める時はそういう訓練もやるんだけど、今の魂魄科に一般の人はいないから詳細は分からないや。」


「一般の人はいないってどういうことですか?」


「みちるさんが分かりやすい例だね。みちるさんは夜野家っていう昔から魂魄師をしてるすごい家系の人なんだ。俺の家も魂魄師の家系だけど夜野家の足元にも及ばないよ。」


「いわゆるエリートって感じですか?」


「みちるさんはそうだね。俺は全然だけどね。」


笑いながら言う一成さんの目はみちるさんへの尊敬と羨望の想いが込められているようだった。


「そんな話どうでもでしょ。ハク、確認してくれない?」


「さっきまでいた魂はもういませんよ。」


「ありがとうホント助かるわ。」


「ていうか俺がいない時はどうしてたんですか?」


「ぼんやり見える人と一緒に行ったり、手応えがあったら帰ってたわ。今までハクみたいに完璧に見える人はいなかったから確証は得られなかったのよ。魂が意志を持っているわけでもないし、自在に操れるものでもないから困ってたのよ。」


「今までいい加減だったってことですか?」


「否定できないわ…」


(日本の省庁にしては雑だし信頼に欠けるけどこれで良いのか?)


「まぁまだ魂に関しては分からないことだらけだから仕方ないんだよ…」


2人とも申し訳なさそうな顔をしてしまった。俺は正直に言いすぎたと反省した。


「帰るわよ。」


俺たちは魂省に戻った。もう日曜日の昼過ぎ、俺が京都に帰る時間が迫ってきていた。


「そうだこれ、契約書書いておいてくれる?」


「魂魄科に所属するだなんだって言ってたやつですか?」


「そうよ。雇用契約書とか全てまとめられているのがその契約書よ。」


「え?」


俺は名前を書いてしまった後に書かれている内容を読んだ。幸いにも省庁ということもありブラック企業のような文言は書かれていなくて安心した。


「そんなヤバいことは書かれてないわよ。」


「そうだよ。高校生だから深夜に仕事させるとかもないし安心してね。例外はあるけど…」


今一成さんが小声で言った言葉を俺は聞き逃さなかった。


「例外って何ですか!」


「い、いやー…」


一成さんは手を顔の横に上げて何も答えなかった。


「みちるさん!」


「何のことか分からないわ〜…」


みちるさんも同じ反応をして俺は本当にここに所属して良いのか分からなくなってきた。


「あの…俺もうそろそろ帰るんですけどその間って俺どういう感じになるんですか?抽象的ですいません。」


「そのことね。それなら安心してくれて良いわ。」


「ど、どういうことですか?」


「同じ学校に魂省に所属してる人がいるからその人と活動してもらうことになるわ。」


「ん???」


俺の頭の中は疑問符以外なかった。


「そのままの意味よ。」


「そのままの意味と言われましても…」


「みちるさん、もうちょっと詳しく説明してあげてくださいよ…まぁ良いや、俺が説明するね。」


「お手数おかけします。」


「別に良いよ。ハクが通ってる高校に神崎琴葉(ことは)って言う女の子がいるんだけど、その子がハクと同じように学生ながらも魂魄科に所属してるんだ。だからこっちに来れない間は神崎さんと活動してねってこと。」


「わ、かり、ました?」???


さっき俺の頭の中は疑問符でいっぱいになったのに、さらに情報を流し込まれて頭の上にまで疑問符が出てきてしまった。


「ぎ、疑問符が出てきちゃってるよ!?」


「は、初めて見た…」


2人は俺の形となった疑問符をいじったり観察したりしている。2人が楽しそうに俺の疑問符で遊んでいるから俺も遊んでみた。その疑問符はフワフワで軽く程よく弾力があり不思議と手に取ってしまう感触だった。


「って遊んでる場合じゃない!新幹線乗り遅れる!みちるさん一成さんまた今度遊びとバイトしに来ます!」


「「またねー!」」


一瞬しか見えなかったが2人は笑顔で手を振りながら見送ってくれた。社会人の人でこんなに仲良くなった人はいなかったから別れを惜しむ自分がいた。駅まで走ってる道中涙が込み上げてきそうになったがグッと堪えた。


新幹線に乗ってる間自分の能力や他人の魂、同じ学校の魂魄師、魂魄科に所属することなど本当にたくさんのことを知った2日間になった。明日からいつもの日常に戻るけど、日常がどう様変わりするのか楽しみだ。神崎琴葉さんについてはまだ関わらなくて良い気がするから考えないようにしよう。そう思い新幹線で眠りについた。

次回もお楽しみに


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