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1話
空が広い。
初めて魔法学園の門の外に出たときの感想だった。
思えば七つのときに引き取られてから九年ぶりになる。
十五という節目の年。
誰かの妻になって子を生むか、このまま学園にとどまって魔法使いになるかという選択を突きつけられ、周りの女の子が魔法を捨て母になる道を選ぶなか、ひとり後者の道を選んだ。
しかし、母になることを諦めたわけではない。
いつか自分の子をもち、自分の魔力を伝えていきたい。
あれから一年間、師のもとで魔法を学んだ。
伸ばし途中の髪が、風になびいた。
髪を伸ばし始めたら自然と身なりを気にするようになり、最近ぐっと女の子らしくなったと自分でも思う。
魔法使いでいるだけで、人生を終わるつもりはない。
魔法使いでありながら、女でいることを諦めたくはない。
あたし、アシュレイ・エルサザムは、一人旅に出た。