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そして物語は動き出す

 とある日。

 今日もヨノセは森で剣をふるっていた。

 あれだけ高くにいた太陽も、今は朱色に染まっている。 


「今日はこの辺で終わりにするか。」


 髪から滴る汗をぬぐい、ヨノセは呟いた。


「あれ、、、?」


 視界が歪んでいく。色がだんだんと抜け落ちて行って、モノクロな世界が廻りだした。


「っ、!!」


 森に閃光が満ちて、光が消えた後には何も残らなかった。



 ー----------------------------



 目を開けると、そこは真っ白な空間だった。


「お目覚めですか?」


 雪のように清らかな声が鼓膜を揺らす。

 はっとなって声のほうへ振り返ると、そこには美しい女性が立っていた。


 腰まである美しく青い髪に蒼玉のような青い目。

 伝説の神話に出てくる神々のようなー-って、あれ


「創造神サファイア?!」


 驚いたあまり足が一歩後ろに下がる。

 そんな様子の俺に目の前の伝説の女神は微笑みながらうなずいた。



 あまりまわっていない頭を何とか再稼働させながら状況を整理しようと試みる。

 ー-でも、いくら考えてもただの庶民である俺に創造神が訪ねてきたのかわからない。

 その考えを見透かしたかのように創造神サファイアは言った。


「あなたは確かにこの世界で最下級と位置づけられた庶民という立場です。

 しかし、あなたはそのことに絶望せず、努力を続けました。

 その心の強さが、強さを求める渇求(かっきゅう)が、あなたの強さです。

 ヨノセ・ラノセント。あまたにこの力を与えましょう。            」


 そう彼女が告げた後、俺の体が白く光った。


「?!」


「ステータスを確認してみてください。」


 おそるおそる、ステータスとつぶやく。


 ー--≪ステータス≫  ー------------------


 ヨノセ:ラノセント 称号『創造神の加護を受けしもの』


 Lv:  20 ( 8000 / 12000 )


 HP: 50000 / 86400

  MP:  4000 / 80300 


 スキル 虚無・創造( Lv1 )

 身体強化・小 ( Lv3 )


 実績  努力を続けるもの ( 強化ボーナス大 )


 優しきもの ( 運・大アップ )


 強者 ( 身体の向上率大 ) 


 剣の天才 ( 剣の太刀筋補正大 )


 創造神の加護を受けしもの

 ( 強化ボーナス:超 )

 ((身体能力補正:超 )

 ( 水属性の属性適正付与・消費精神力半減 )


 ー--------------------------


「ん、?」


 さっきから異様に体が軽い。そしてこのスキルはなんだ?

「虚無・創造」のスキル説明を見る。



「 虚無・創造 ランクSSS 消費魔力;虚無・創造したものに依存する

 Lv;1(ヨノセ・ラノセントの両手のみに限定)


 【詳細】

 ヨノセ・ラノセント専用クリエイトスキル

 手で触れたものをこの世から消し去ることができる。

 また、この世に存在するものを作り出すことができる。

 しかし。現段階では死者の蘇生は不可能。             」






 なんだ、このふざけたスキルは、、、

 手で触れただけで消せるってのだけでもすごいのに、精霊と契約しないと使えないスキルや属性適正以外のスキルまで使える、、、?


 まさに神のスキル、これが俺の強さ...


 確かな高揚と相反しながらも、人の身を超えた力に感じる不安。

 条件を達成するともらえるといわれる実績もたくさん増えている。


「俺にこの力が扱えるのか...?」





 思案するヨノセを創造神サファイアはかわらずその温かい瞳で見つめていた。

 この方はきっと、変わってしまったこの世界を変えてくれると信じてー--


 その思考を中断させるような出来事に、サファイアの目が戸惑いで揺れた。


 神界神界(しんかい)からファリーを見ることのできる虹水晶が赤く染まっている。

 ヨノセをこちら側へ呼び出すため先ほどまで見ていたのはココノ村ーヨノセとルルの住む村。


 そして、その村が赤く、燃えていた。


 ヨノセをちらりと見る。彼はまだステータスを覗いている。

 それを確認してもう一度虹水晶を見ると、赤々と燃える家の中に盗賊のような人間がいるのが見て取れた。


 サファイアは迷う。

 盗賊なんて指先一つ動かすだけで葬れるがなんの力も持たない村人には脅威だ。すでに何人もの村人が物言わぬ死体となっている。


 だが、自分が干渉することは、難しい。

 自分の魔法はファリーに干渉するのに特定の条件を満たさなくてはならない。正直、ヨノセをここに呼んだだけで手いっぱいだ。



 そして、なにより。ヨノセに伝えるべきかがわからない。


 伝えた場合、ヨノセは村に行きたがるだろう。しかし、80人以上いる盗賊を相手にあのスキルを使いこなせることはほぼ不可能に等しい。せっかくの逸材が死んでしまうことは避けたい。  


 しかし、伝えずどこか遠くの地に送ったとて、どうせいつか真実を知る。その時、優しい優しい彼は自分を責めるだろう。なにより、彼の願い願い(本質)とずれてしまう。




 迷ったすえ、サファイアは言った。


「ヨノセ、ココノ村が襲われています。

 そちらへ転送させますので、」


 ー--どうか、生きて帰ってきてください。


「なんだって?!」


 サファイアは賭けた。ヨノセがあのスキルを使いこなせることに、その強さの根源に。



「また会いましょう、さようなら。」


「ああ、ありがとう。」


 焦った表情のヨノセが白い光とともに消え、その場には祈るように手を組むサファイアだけが残された。





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