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ゴブリンコロニー戦1

翌日。ただいまエレナさんの案内で森の中を進み、ゴブリンのコロニーへ向かっている。どうも篝です。

昨晩は攫われてる女性を早く助ける為にも夜のうちに奇襲を仕掛けるべきか話し合ったが、血の気が多いらしい夜行性の魔物が寄って来ることも考えて一晩待ってから救出に向かうことになった。


本当は冒険者ギルドがある町などに報告して討伐隊を組むべき案件らしいが、エレナさんが「ボクたちなら余裕っしょ!」と言ったので、この俺たち三人だけでやることに。

それは俺も思ったし賛成だ。女の子が可哀想な事件は早く片付けたい。


「ボクが発見したコロニーは、不格好だけど木造建築が建てられてたよ。普通は洞窟の中を住処にするはずなんだけど、もしかしたらリーダーは少しばかり賢いのかもね」

「でもエレナさんからすれば?」

「ザーコ」

「メスガキ…」


しかし早く救出したいという思いで焦ったり、変に緊張を抱くのはよろしくないだろう。

すっごく心配だし女性を早く助けたいが、急いては事を仕損じるという。

だから平常心を保つ為に、いつも通りの会話を交わす。


「鳴はどう思う?木造建築を建てるゴブリンって」

「エレナさんと同じ意見です。大したことはないでしょう。少なくともダンジョンで戦ったミスリルゴーレムやヒヒイロカネゴーレムのような脅威はないです」

「そうか。お前が言うなら安心だ」


鳴の女神様知識にも問題はなし、と。

それじゃあ安心して討伐出来るな。


「と、もうすぐコロニーだよ。ここからは足音を消して、声も潜めて慎重に行こう」

「「了解」」


エレナさんの言葉に従って、姿勢を低くして慎重に進んで行く。

やがてボロボロで隙間だらけだが、大きな柵が見えて来た。円形で囲んでるっぽい。


「ゴブリンが一丁前に柵ですか」

「僕なら一撃で粉砕出来るけどね」

「だろうな。貴女地面も壊せるもん…」

「さて、まずは女性の救出だけど……どこにいて、何人いるかまでは把握出来てないんだよね。聞いた声は一つだったし、もしかしたらその人だけかもしれないけど」


隙間から中を覗くと想像してたよりもかなり広く、数え切れないほどの大量のゴブリンと木造の大きめの建物が十数個も確認出来た。こっちも粗末な作りで、俺でも軽くハンマーでぶっ叩けば壊れそうなくらいボロボロな建物だ。

しっかしマジで広い。これだけの広さ、数を考えれば女性一人だけだなんて考えづらい。

そのことを踏まえて、女性の安全の為にもバレずに探し出して救出するのはなかなか骨が折れそうだ。


「私が探して来ましょうか?私はこの通り子どもサイズですので、スニーキングには適しています」

「頼んでも良いか?」

「はい。では行ってきます。可能なら救出もして来ます」


鳴が俺とエレナさんと別れて、侵入出来そうなところから女性の救出に向かうことに。

残った俺たちはその間に、上位個体のゴブリンを確認することにした。


彷徨いているのはゴブリンやそれよりちょっと強い程度のホブゴブリンがほとんどで、剣と槍を持ったソルジャーや弓を扱うアーチャーなんていう珍しいらしい個体が少数見つかった。

残念ながらキングは見つかっていない。群れのボスなんだし、そりゃそうだよな。

コロニーの一番奥に他よりかは幾分綺麗な建物があるし、恐らくそこにキングがいるのだろう。


「うーん。攻め落とすならキングがいる場所からが良いんだけど、さすがにアソコは警備が厳重だね」

「飛んでキックするお得意の『とりゃあー!』じゃダメなんですか?」

「それじゃあアソコにいるかもしれない女の子を巻き込んじゃうよ。ゴブリンキングが自分の傍に攫った女の子の一人や二人、置いとかない訳ないし」

「うわぁ…。早く助けてやりたい」


鳴が戻って来るまで迂闊に動けない俺たちが、ただ歯噛みして待っていること数分。

それは突然聞こえて来た。


「いやーーーッ!」

「「ッ!?」」

「離してっ!お願い!?」


中から、女性の声が聞こえて来た。

慌てて覗き込むと、産まれたままの姿の女性がゴブリンどもに捕まっているのが見えた。


「もう嫌ぁ…!これ以上私を汚さないで!?ゴブリンのなんかもう嫌だッ!」


「ギャッギャー!ギャギャギャ!」

「「「ギャーギャッギャッギャッギャ!」」」


どうやら女性は逃げ出そうとして失敗したらしい。

そりゃそうだ。武器もなしにこの数に囲まれたら、逃げ出せるはずがない。


泣き叫ぶ女性の声に興奮し、それを馬鹿にするように笑うゴブリンども。

それを見た瞬間に怒りが湧いて、自分の眉間にしわを寄っていくのを感じた。


「カガリくん。気持ちはわかるけど、今は…」

「わかっています。わかっていますけど…」


今手の届くところに、助けられる人がいる。

それなのに見ていることしか出来ないという、この歯痒さ。なんてイライラする感覚なんだ。

頭ではわかっているが、今すぐにでも周辺のゴブリンを一掃してやりたい。


「大丈夫。メイちゃんが他の女の子を助け出すか見つさえしたら、すぐに助けに行こう」

「……そうですね…」


あの人には申し訳ないが、もうしばらく耐えてもらうしかない。

俺は渋々エレナさんに了承したところで―――空から雷が降って来た。


―――ビッシャーーーン!!!


「「え?」」


雷は女性の周辺にいたゴブリンにピンポイントで降り注ぎ、一瞬で真っ黒焦げにして絶命させた。

しかもそこには、バチバチと雷を発している蛇のような存在がいた。


「あ。あれって確か、鳴の……」


サンダースネーク。エレナさん対策で作ったという、鳴の魔法だ。

どうした!?返事をしろ、ス〇ーーーーークッ!

スニーキングと聞くと真っ先にこれが思い浮かびます。何回失敗してこれを聞いたことか…。

(アクションゲームは得意だけどスニーキングゲームは苦手な作者)


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