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VSダクネス3

派生スキルのことを技と表記するようにします。

技は英語にするとスキルですから、個人的にはややこしいですけど、派生スキルの方がたぶん相応しくない言い方ですしね…。

なので普通に技って言う形にします。

闇の衣で兜まで作り終わったダクネスが、地面を踏み壊しながら突っ込んで来る。

スピードはない。重いって言ってたから、その分鈍足になってしまっているようだ。

それでも陸上選手くらいの早さはしてる気がするが。


「鳴!叩き潰して隙を作る。その後は頼んだ!」

「お待ちください!マスター!?」


鳴の制止を聞かずに突っ込み、ハンマーを大きく振り上げてスキルを使用する。


「ハンマースタンプ!」


ダクネスの頭部目掛けて、ハンマー振り下ろす。


―――ゴーーーンッ!


見事にクリーンヒットしたハンマースタンプ。

上からハンマーで容赦なく叩き潰すシンプルな技だ。相手を地に伏せさせるのに便利らしいのだが……


「効かねぇなぁ、そんな中途半端な攻撃。ちょっとの衝撃しか響いて来ねぇぞ…?」

「マジかよっ」


しかしダクネスはしっかりと立っており、兜のスキマから覗く赤い瞳で睨み付けて、爪を振り被った。


「マスター。避けてください!1万V・ライトニングブラスト!」


後ろにいる鳴の言葉を聞き、上へ飛んだ。

ライトニングブラストがダクネスに直撃する。

ダクネスはライトニングブラストに引き摺られる形で押されて行くが、すぐに両の爪で抱き潰すようにしてかき消した。


「鳴の雷を受けて効かないとかあるのかよ」

「効かねぇ。この闇の衣で作った鎧、『ダークメイル』は硬さと高い魔力耐性を持っているんだ。お前らみたいに中途半端な火力しか出せないような連中には、さぞ面倒なことだろうよ」


確かに面倒だ。エレナさんの紙にもそういう情報は書いてあった。

だけど俺の攻撃はともかく、鳴の雷までほぼ無効化するだなんて思わないって。


どう戦えば良いのかと悩んでいると、鳴がある疑問をぶつけた。


「……でしたら、最初からそれを使えばよろしかったのでは?そうすれば私に羽をボロボロにされることも無かったでしょう。それをしなかったということは、そのダークメイルは体力をかなり消耗するのではないですか?」

「ほう……勘が良いねぇ。ガキンチョ…」


鳴の指摘に対して、ダクネスはそれを素直に肯定する。

それは知らされていなかった弱点だが、エレナさんも知らなかったことなんだろう。仲間内でも秘密はあるもんだ。

しかしそうだ。こっちには女神様知識を持った鳴がいるんだ。この世界の物やスキルを熟知してる彼女がいれば、攻略法は見い出せるはず…!


「マスター。恐らく私に期待を寄せてくれているのかもしれませんが、今回はあまりしない方がよろしいかと」

「えっ?」


鳴は申し訳なさそうな顔で、そんなことを言う。


「あれは確かに体力の消耗が激しいです。ですがそれだけ性能はしっかりと保証されており、それ以外に弱点らしい物はありません。ダクネスの体力が尽きるまで耐久する以外、私たちに方法は無いでしょう」

「なんですと?」


まさかの耐久戦!?


「そういうこった。精々俺の攻撃から逃げ延びてみろ!」


ダクネスが爪を振るい、斬撃を飛ばして来る。


「マスター、下がってください!5000V・サンダーウォール!」


鳴が前に出て雷の壁を作り、相殺した。

続けて地面に両手を置き、雷で二体の蛇を形作った。


「1万V・サンダースネーク!」

「すご!こんなこと出来たの!?」

「エレナさん対策で作った新技です」


「へぇー!面白い魔法の使い方すんじゃねぇの」


面白がってるダクネスに雷の蛇が素早く巻き付き、雷が激しく迸る。

本来なら大ダメージどころか、即死級のはずだ。

しかしダクネスはこれすらも平然とした様子で立っていて、力ずくで蛇の拘束を振りほどき、両の爪で二体の雷の蛇を引き裂いた。


「拘束するのも無理ですか」

「当たり前よ。硬いだけが闇の衣の売りじゃねぇんでな。ほら、次は何してくれるんだ?」


「ヒヒイィィィィンッ!」


挑発するダクネスの後ろからシルバーが駆けて来て、そのままの勢いで後頭部に後ろ蹴りを放った。


―――ガーーーンッ!


鈍い音が鳴り響き、ダクネスをよろめかせる。だがやはり効いてる様子はない。


「鎧に棘付けて対策取ったが、賢いテメェには無意味だったか。いい蹴りしてるよ、お前。だがな……ちょっと衝撃が来るだけで、全く効かねぇんだよ!」


シルバーにダクネスの爪が襲い掛かる。

しかし爪は避けたシルバーだったが、そこから斬撃を放たれてその身を大きく引き裂かれた。


「シルバーーー!?」

「ヒヒイィィィィンッ!?」


「シルバー!戻りなさい!」


鳴が雷帝の下僕を使い、シルバーはそこへ吸い込まれるようにして消えて行った。

その時のシルバーの顔は、凄く悔しそうな顔をしていた。


「よしっ、まずは一匹。よーくわかったろ?俺に攻撃しても全て無駄に終わるってのがな」


「くそっ…。鳴!シルバーは?」

「安心してください。雷帝の下僕の中にいれば、時間は掛かりますが自然と治癒されます」


鳴の言葉にほっと一安心する。

良かった…。一先ずは安心してよさそうだ。


「さぁて。次はどっちにしようかな、とと…!?なんだぁ?鎧の重心が偏ってたか?」


ダクネスが俺たちに向かって踏み出そうとした時、急にふらつき出した。

なんだ?実はシルバーの攻撃が効いていたのか?


「? おかしいですね。あの様子ですと、まだ体力は底を尽いていないと思うのですが…」

「……………もしかして…!」


俺はさっきのシルバーの蹴りを振り返り、ある可能性を思い付いた。


「もしそうなら、硬すぎるのも考えものだな」

「マスター?」

「鳴。俺はこれからアイツにとことん攻撃しまくって、隙を作りに行く。確実に攻撃が決まる、大きな隙だ。それまでに出来るだけ多くの電気を溜め込んでくれ」

「そんな!?危険です、おやめくださいマスターっ!私たちの攻撃が一切通らないような鎧を着てるのですよ?どうやって隙を作ると言うのですか!?」

「大丈夫だ、鳴」


鳴の頭に手を置き、しゃがんで視線を合わせて言う。


「俺を信じてくれ。シルバーが残したヒントを無駄にしたくないんだ。アイツの無念を晴らす為にも……頼む」

「……はぁー。そうなるといくら言っても聞く気ないですよね?マスターは」

「悪いな。大事な家族を二人も傷付けられて、無駄だなんて貶されたまま終わらせたくないんだ」


俺はハンマーを構えて、ダクネスに向き直る。

どんな強者であろうと、等しく弱い部分。どんなに守りを固めても、どうしてもダメージの蓄積を抑えられない部分。

そこを突けば、勝機はある!


「あ〜くそ。なんだったんだ今の?闇の衣に問題はねぇみてぇだし」

「ダクネス。もう一度聞くけど、俺たちを殺す気なんだよな?」

「あ?当たり前だろうが。勇者やその他の障害となり得る連中は皆殺しだ」

「そうか…。わかった。俺も腹を括るよ。俺は……俺の大事な家族を守る為に、アンタを殺す」


俺は初めて、人に明確な殺意を込めて言い放った。

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