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合流

どうもカガリです。オレンジ色の宝石みたいなゴーレムを倒して、鳴がいるフロアまで戻って来ました。

……だがすぐに、とんでもない光景を目にした…。


「なんじゃこの残骸はー!?」

「ミ、ミスリル…。ミスリルだよこれ!?しかもこんなにたくさん!なんで?」


山のような量の鉱石らしき物を目にして、エレナさんが興奮した様子で言う。

ミスリル……ゲームだと終盤の手前辺りで手に入る武具に使われてるイメージだ。こっちの世界だとどういう扱いなんだろうか?


……いや!それよりも鳴だ。この感じだと、もしかしたらミスリル製のゴーレムが現れた感じじゃないのか!?

なんかエレナさんがAランクの魔物でミスリルゴーレムがいるみたいなこと言ってたし、それの可能性が高い。

早く見つけて、怪我してるようならポーションを飲ませないと…!


「パパ。エレナさん。おかえりなさいませ」

「鳴…!」


慌てて探し出そうとするが、そうする前にミスリルの山から鳴がシルバーの背に乗って出て来た。

……見た感じ、怪我はしてなさそうだった。


「シルバーが突然出て来た謎のボタンを押したせいで、ミスリルゴーレムと戦うことになったのですが、そちらも何かあり……」

「鳴ーっ!」

「むぎゅ」


シルバーから降りて来た鳴を、無事だった喜びのあまり即抱き締めた。

良かった…。本当に良かった〜…。ミスリルゴーレムは俺とエレナさんが戦ったゴーレムと同じAランクって話だったから、気が気じゃなかった。


「無事みたいで本当に嬉しいよ…。こっちでもヤバいゴーレムが出たからさ。この残骸を見て、嫌な予感してたんだけど……杞憂そうだな」

「パパ…。はい、私は大丈夫です。ですが、少々疲れてしまいました。それもこれも、シルバーが悪いのですが」


「シルバーテメェこらー!?鳴を守るどころか、迷惑掛けてんじゃねぇぞ!」

「ブルル…」


しょんぼりとして、涙を浮かべて首を下げるシルバー。

……これはもう既に鳴からお仕置きされた後かな?


「……嘘でしょ…。ミスリルゴーレムはAランクだよ、それをメイちゃんとシルバーの二人だけで倒したの?」

「? はい。かなり厳しい相手でしたが、なんとか倒すことが出来ました」

「えぇ〜…。まさかここまで強いとは……正直見くびってたよ」


恐ろしいものでも見るかのように、エレナさんが言う。

この間までオークキングにも遅れを取ってしまうくらいだったのに、この短期間で凄い成長してるなぁって、俺も思う。


うちの子、まだ産まれて一ヶ月経ったか経ってないくらいなのに、最近ずっと成長期ですわね。


「ところでパパ。ヤバいゴーレムとは?そちらはミスリルゴーレムではなかったのですか?」

「ああ。サイズは小さかったけど、すげぇ厄介なゴーレムだったんだ。なんの素材かはエレナさんもわからないみたいでさ」


「そのゴーレムは、これで出来てたんだけど…」


エレナさんがバッグから例のオレンジ色の宝石みたいなのを出す。

するとそれを見た鳴が、目を見開いた。


……どうやら。女神様知識にあったようだ。


「それは……ヒヒイロカネでは?」


「ヒヒイロカネ?」

「ヒヒイロカネっ!?」


俺とエレナさんはオウム返しするが、反応が違った。

正体を知ったエレナさんは、手元を震わせて食い入るように見始めた。


「ここ、こここ、これが……ヒヒイロカネ…?御伽噺に出て来る、あの…。しかも、かなり手に入ったんですけど…」

「なんか凄い物なんですか?」

「凄いなんてもんじゃないよ!ミスリルも貴重な鉱石だけど、ヒヒイロカネは幻って呼ばれるくらい超貴重な鉱物なんだよ!?」

「そ、そうなんですか…」


なんでもヒヒイロカネというのは、この世界の英雄の御伽噺によく登場する鉱物で、強力な武具の素材になるんだとか。

御伽噺だけの話ではなく、現実でも存在するらしいが……ヒヒイロカネが取れる鉱山はかなり少ないらしい。

しかも回収出来る量も微々たる物で、コップ一杯分も取れれば多い方だとか。


……ちょっと待てい。俺たちが倒したヒヒイロカネのゴーレムの大きさから考えて、それってとんでもない量が取れたってことになるんじゃ…。

どうせなら武具の素材にしたいが、売ったらおいくら万円になるんでしょう?下手したら万じゃ利かない?


「500歳になるまでには見てみたいな〜って思ってたんだ」

「人間の俺からすると、凄いパワーワードだ…。ちなみに手に入れた分で、どれくらいの武具が作れるんです?」

「えっと…。御伽噺だと、だいたい拳大サイズで作られてたから……たぶん凄いいっぱい!」

「ざっくりしてんなー…」


でもここにいる全員分の装備をヒヒイロカネで作ることが出来るんだろうなってのはわかる。


「ルミナリアに戻ったら、早速作ってもらいますか」

「あ〜…。たぶんそれは無理かな…」

「え?どうしてですか?」

「ヒヒイロカネに限らず、ミスリルやその他の貴重で加工が難しい鉱石を扱える職人は、全員王都に住んでてね。それだけだったら王都に行けば良いだけの話なんだけど……」


エレナさんが大きく溜息を吐く。

……なんか、凄く嫌な予感…。


「今こういう貴重な鉱石は『全部魔王軍との戦争に勝つ為にー!』って、見つけたら即国に献上するようにっていうのが、人間の国全体のスタンスなんだよねぇ…」

「……それって、全部?」

「全部。だから鍛冶師に頼もうにも、そんなことしたら国にしょっぴかれるし、強制的に戦争に参加させられちゃうね」

「バカが仕切ってんのか?」


何割かは必ず国に売ってくれって言うならわかる。

でも献上って意味わからん。しかも全部。それって無償で寄越せって言ってるようなものじゃないか…。

魔族を人じゃないからって自分勝手に滅ぼそうとしてる奴らって、そこまで根が腐ってるのか。やべぇな国の上層部…。


しかも私的に使ったら捕まるわ、赤い紙発行ものだわって……話を聞くだけでも頭痛くなってくるな。


「じゃあこれは隠し持っときましょうか。魔族に戦争仕掛けるバカにやるくらいなら、バッグの肥やしにしといた方が良いでしょうし」

「えっ?」

「えっ?どうしました?」


エレナさんが驚いた表情で、見つめてくる。

俺なんか変なこと言ったか?


あ。もしかしてエレナさんって、戦争には割と乗り気…?

いや、それだったらこんな所にいないで、戦場にいるか?


「パパ。人間の民の間では、戦争を仕掛けたのは魔族側という認識ですよ」

「……マジで?」


鳴から衝撃的な事実を聞かされる。


知らなかった…。女神様からは人間が魔族を滅ぼそうとしてるってことしか聞いてなかった。

まさかそういうことになってるなんて……これって国全体を道具として使ってるってことか?

本気でやべぇな、国の上層部。救いようのないバカばっかじゃん…。


「……ううん。ボクは知ってるよ。エルフは森に済んでるおかげで、色々な情報を聞くからね。全員って訳じゃないけど。だけどまさか、人族のカガリくんがそのことを知ってるなんて思わなくて」

「あ。そうなんですね。それはよかったです」


「……これはやりやすくなったかも」


「はい?なんか言いました?」

「“ううんっ!なんでもなーい”。話はこれくらいにして、ちゃっちゃとミスリルも回収しちゃお」

「……そうですね。そうしましょうか」


彼女の言葉に違和感を覚えたが、とりあえずミスリルを回収することにした。

……時々、彼女の言葉に対してこういう違和感を感じることはあったが、特に不都合がある訳じゃない。

気にしないようにしよう。そう強く思い込んだ。

確か人の民の間では魔族が加害者扱いなのを、篝は知らなかったはず…。

間違ってたら教えてください。修正します。


あと初期の鳴の強さを示す文章をちょっと下方修正しました。明らかに強過ぎる文面だったので…。

他にもありそうですし、見つけたら適宜修正しようと思います。


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