表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/84

鳴の閃き

左膝から下を失ったミスリルゴーレムが、地面に倒れる。

まだ電光石火の電力は残っています。


追撃を仕掛けるべく壁を蹴ろうとしましたが、そこでミスリルゴーレムの顔が180度回転してこちらを向いていたので、横へ飛びました。

瞬間。私がいた壁にレーザーが放たれました。


あと少し早く追撃に出ていたら、焼き殺されてましたね。

危ない危ない、です。


「ふむ。空中でも自由に方向転換する術を身に付けるべきですね」


魔法で無理矢理、方向を変えることは出来ますが、今やれば消費魔力量がバカになりません。

同じ魔法でも少ない魔力で、空中を駆けるようになりたいです。


足を失ってまともに動けなくなったミスリルゴーレムが、私とシルバーにレーザーを乱射して来ます。

それを避けつつ、二人で首に向かってライトニングブラストを撃ちますが、普通に腕で防がれてしまいます。

やはり腕も外す必要がありますか。


「もう一度、電光石火をしたいところですが…」


さすがにそれは甘えですね。レーザーの良い的になります。

近付いて攻撃しようにも、ミスリルゴーレムが倒れてる分、レーザーの着弾距離も短いでしょう。避けるのも一苦労しそうです。


というか今でもそのレーザーのせいで、近付くのも困難な状況です。


「でしたらやはり、すぐにでも首をもぎ取りたいですね」


狙うなら一撃でやりたいところですが、これまたかなり厳しいですね。

左膝の時とは違って、首にはダメージが蓄積していませんから。


「ではどうしますかね?」


引き続きレーザーを避けつつ、フロアを見渡しながら考えます。あの嫌な首を取る方法を。

レーザーでボロボロになるフロア。地面と壁が破壊されて、凸凹しています。

エレナさんみたいに躓かないよう、気を付けなくては。


そこまで考えたところで、壁の一部が小さく剥がれ落ちたのが目に入りました。

瞬間。とある情景が浮かび上がりました。


『とりゃあー!』


地面を蹴り壊す、エレナさんの姿が。

それで一つ作戦を思い付きました。


「1万V―――」


これは賭けに近いです。ミスをすればレーザーの餌食となるでしょう。

しかしそれでも、やらないより全然良いです。


それにもしこの作戦を思い付いたのがマスターだったら、迷わず実行するでしょう。

私を……家族を守る為に、と。

それが出来る実力は、まだマスターにはありませんが。


「電光石火!」


先程よりも速度は落ちますが、それでも十分です。

私は飛ぶ。天井へ、ミスリルゴーレムの真上へ向かって。


そんな私に向けてレーザーを放とうとしますが、それを隙と見たシルバーが光速で駆け抜けて、ミスリルゴーレムの頭に横から体当たりしました。

おかげで軌道が逸れて、余分に魔力を使って回避する必要が無くなりました。ナイスアシストです。


シルバーが作ってくれた時間を最大限活かすべく、天井へ向かいながら足に雷をチャージしていきます。

電光石火を使いながらでは難しいですが、そちらに使えなかった分、なるべくこちらに集めるつもりで。


やがて、天井の眼前まで迫りました。

そこからさらに足りない分を補うようにして、回転も加えて天井を蹴り放ちました。


「1万5000V・飛翔雷脚ッ!」


―――ドゴーンッ!……ビシビシビシビシ…!


硬い。罅が入るだけで、壊すことには至りません。マスターの力でまともに壊せないだけあります。

ですが、問題はありません。

悔しいですが、私には出来ないことはわかっていました。


むしろちゃんと罅を入れられたことに喜ぶべきでしょう。

喜びませんが。


「ヒヒイィィィィンッ!?」


ミスリルゴーレムから距離を取っていたシルバーから、悲惨めいた嘶きが聞こえました。

見るとミスリルゴーレムから、今度こそレーザーが私に向かって放たれようとしていました。

どうやら私に注意を呼び掛けていたようですね。


シルバーが慌てて邪魔に入ろうとしますが、腕に阻まれてるせいで間に合わなそうです。

しかしそれで良いのです。初めから、これが狙いでしたから。


もう一度1万Vの雷を纏って、レーザーが放たれるのを待ちます。

そして放たれると同時に電光石火で躱し、天井にレーザーを当てさせました。


するとレーザーで天井が爆発した後、瓦礫となって崩れて、ミスリルゴーレムに落ちて行きました。


―――ドドドドドドドドッ!!!


いくつもの瓦礫がミスリルゴーレムに直撃していきます。

あれだけ硬いんです。ダメージは相当でしょう。

それに少しの間ですが、まともにレーザーの照準も合わせられないでしょう。


「これで……ほぼチェックメイト、ですね」


全身に雷をチャージしていき、電光石火の準備をする。

一辺倒は芸がありませんが、一番の有効打がこれしかないので仕方ありません。


瓦礫の雨が止み、ミスリルゴーレムが顔を上げてレーザーを放とうとしてきます。


「残念ながら、もう遅いです」


2万Vの電光石火で駆け抜ける。レーザーを撃つよりも、こちらの方が僅かに早いです!


「1万V・飛翔雷脚ッ!」


ミスリルゴーレムの首に、回転も加えて全力で蹴り放ちます。

膝の時とは違い、かなり抵抗を感じましたが……無事に首を外すことに、成功しました。


「やり、ました…」


さて……後は残ってる四肢を外して、じっくりと装甲を剥がしていき、コアを破壊するだけです。

さすがに疲れて来ましたが、もうひと踏ん張りです。

次回はカガリ&エレナペアに移ります。


面白かったら下へスクロールして、いいねと高評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ