電光石火
「シルバーッ!」
私の声に反応して、シルバーが雷を使って急加速する。
そのおかげで、なんとかレーザーからは逃れられました。
―――ビィィィィッ……ドドドドドッ!
レーザーが通過した地点は爆発し、土煙が舞う。
ゴーレムにあのような攻撃をする個体がいるなんて、知識にはありませんでした。
となると……オークキングと同じ、これまでにはいなかった特別な個体…。
不甲斐ないことに、今の予想外な攻撃で気が散ってしまって、せっかくチャージした電力を霧散させてしまいました。
溜め直すのは……難しいですね。シルバーが避けられるとはいえ、あのレーザーを乱射されては体力と魔力が保ちそうにありません。
先にこちらが参ってしまいます。
「……ふぅー…。本当に、予想以上に厄介ですね」
レーザーは当然のことながら、パンチや踏み付けも当たれば致命傷です。
エレナさんの存在がどれほど有難いことか、よくわかりますね。
―――ですが、不思議ですね。
「それなりにピンチなはずなのですが、落ち着いてる自分がいます」
先程のレーザーには驚きましたが、それほど焦っていません。
むしろ……程よい緊張感に包まれてるというか…。
そうですね。この戦いの経験を糧に、自分はもっと強くなれるという高揚感の方が大きいです。
このダンジョンに潜ってからというもの、私は飛躍的な勢いで強くなっています。
特にBランクの魔物と戦った時などは、それが顕著になります。
強い魔物との戦いで成長することが出来る。これほど喜ばしいことはありません。
マスターをより安全に守れるようになれるのですから。
私はシルバーから降りて、両手に1万Vの電力をチャージします。
「シルバー。足役はもう大丈夫です。地道に削る作戦に移行しましょう」
「ブルル?」
「あのレーザーには十分に注意してくださいね?当たれば即死でしょうから」
それだけ言って、私はミスリルゴーレムへ接近する。
ミスリルゴーレムの拳を回避し、最初にダメージを与えた右足首に雷撃を連打します。
その足を上げて、今度は踏み付けようとして来ますが、後方からライトニングブラストが飛んで来て、ミスリルゴーレムの左膝にヒットしました。
初めて見ましたが、どうやらシルバーが撃ったようです。ちゃんと魔法が使えたのですね。
その衝撃でよろけてる隙に距離を取りながら、右足首へ向かってサンダーブレードを放ちます。
右足首にサンダーブレードが当たると同時に、グラつき始めました。
もう少しで外れそうですね。
右足を地面に付けたミスリルゴーレムは、それを庇う様子を見せます。
「シルバー!少し雷をチャージします。その間にあの足首を外してください!」
「ヒヒイィィィィンッ!」
私の指示に従って、シルバーが全速力で駆けて行きます。
それを無視する訳もなく、ミスリルゴーレムからレーザーが放たれますが、シルバーなら来るとわかっていれば余裕を持って躱すことが出来ます。
レーザーの爆風で揺れる髪を抑えて、全身に雷を纏って、電力を上げていく。
ですが右足首に与えたダメージを考えると、無理に3万Vまで溜める必要はないでしょう。既にシルバーがダメージを与えてくれてますからね。
レーザーを掻い潜り、拳も回避したシルバーが雷を使って急加速して、足首に向かって体当たりしました。
それにより、とうとう許容量を越えた足首から魔力の光が消えて、その下の部位が外れました。
足首が外れたことで、バランスを崩したミスリルゴーレムが膝を付こうとしますが……私は膝を付かせるだけで終わらせる気はありません。
一度3万までチャージしたからでしょうか。思ったよりも、電力が溜まりました。
「2万V・電光石火ッ!」
私は溜め込んだ雷を後ろへ放出し、ミスリルゴーレムの左膝へ……シルバーが何度もダメージを与えた左膝へ向かって、全力で飛びました。いつもよりも、うんと早い速度で。
そのままの状態で、足にも雷を集中させます。
この加速に加え、腕の三倍の力がある足で……貫く!
「1万V・飛翔雷脚ッ!」
ミスリルゴーレムの左膝とぶつかる。
瞬間。なんの抵抗も感じることなく、左膝を貫きました。
―――見様見真似でしたが、エレナさんの飛び蹴りを再現出来た気がします。
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なんだかやっと作品タイトル通りのことが出来てる気がします。




