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ミスリルゴーレム

頭部の赤い一つ目を怪しく光らせて、こちらを見下ろしてくるミスリルゴーレム。

さて、どう戦いましょうか?


ゴーレム種を倒す方法はただ一つ。

胴体の中心に埋め込まれているコアを破壊すること。


しかしミスリルゴーレムの大きさはアイアンゴーレムとは比べものになりません。

アイアンゴーレムは十メートルにも満たないのに対し、このミスリルゴーレムは目測で三十メートルくらいはあります。

核の位置までは余裕でジャンプして行けますが、下手に飛び込んでは返り討ちにあいそうです。

一撃で核まで破壊出来るなら良いですが、装甲の硬さも一級品でしょうし、止めておいた方が良いですね。


アイアンゴーレムですら、まだ一撃で仕留められませんし。


「となりますと、まずは……」


ミスリルゴーレムの各関節を見つめる。


手首。肘。肩。首。

足首。膝。股。腰。


よく目を凝らして見ますと、ゴーレムの身体はこれらの関節ごとに魔力の光が漏れてるのが見えます。

ゴーレムはこの特殊な魔力によって部位が繋げられていて、不格好ながらも人型を形成しています。

魔力はそれなりにデリケートでして、一定のダメージを受けると繋ぎ目としての機能が停止して、身体から外れて使い物にならなくなります。


最初に狙うべきは、当然下半身ですね。

その後は首以外の上半身をバラせば、ゴーレムは抵抗することは出来ません。ただの硬い人形と化します。

そうしてから核の破壊、ですね。


マスターとエレナさん無しではキツいですが、やれないことはないでしょう。

それくらい今の私は強いと断言出来ます。シルバーもいますので。


「シルバー。ちゃんと責任は取ってくださいね?さもなくばキツいお仕置きではなく、“死ぬほど”キツいお仕置きをします」

「ヒヒイィィィィンッ!?」


シルバーに一言釘を刺し、フロアの壁に沿って移動を開始します。


「まずは安全策で行きますか」


移動しながら3000Vの電力を込めた雷の玉。ライトニングブラストを股関節へ向けて連発します。

それをミスリルゴーレムはこちらへ振り向きながら、拳の連打で素早く全て打ち消しました。

見た目の割に動きは俊敏ですね。空気抵抗を無視しています。


股の関節さえ外すことが出来れば、その下の部位も一緒に外れるのですが……やはりそう簡単にはいきませんよね。

そして予想していた以上に装甲は硬そうです。


「では足首と同時に狙いましょうか」


引き続き壁に沿って移動しながら、さっきと同じ威力でライトニングブラストを、股関節と足首へ連続で撃ち込む。

しかしミスリルゴーレムは、これまた見た目に反した素早いパンチとキックで全て迎撃してみせました。


……予想以上に厄介なようですね。Aランクは。

ですが、戦っているのは私だけではありません。


「ヒヒイィィィィンッ!」


―――ドーン!


フロアを半周したところで、シルバーがミスリルゴーレムの左膝に向かって突進しました。

ミスリルゴーレムは私の方を向いていたので、背後のシルバーに膝カックンをされた形です。

と言っても、多少膝が曲がった程度で、地に膝を付くようなことは無かったですが。


「ヒヒイィィィィンッ!!!」


しかしシルバーはそれで終わらせるようなことはせず、そのまま身体から電気を放出させました。

ミスリルゴーレムがそれを無視出来るはずもなく、シルバーに拳を振り下ろそうとしましたが、私がそれを許しません。


今度は首に狙いを定めて、5000Vのライトニングブラストを放ちました。

ゴーレムは頭部を失えば、周りを視認出来なくます。そちらの方が致命的な為、ミスリルゴーレムは庇うようにして腕で防ぎます。


その間にシルバーは膝を思い切り蹴って距離を取り、今度は私が接近します。

安全圏でライトニングブラストを撃っても防がれてしまいます。

かと言ってディスチャージのような範囲攻撃では効果は薄く、魔力の無駄遣いになります。


危険ですが、接近戦で勝負する方が良いでしょう。


「5000V・雷撃」


両手に雷を纏わせながら飛び、すれ違うようにして右足首に雷撃を連打する。

終いに1万Vのライトニングブラストをほぼゼロ距離で撃ち込んで、爆発の余波を利用して一気に距離を取ります。


しかしミスリルゴーレムはそれを見逃すことはせず、拳を振り下ろして来ました。

空中にいるので、あの大きい拳を避けるのは難しいです。


「シルバー」


言うよりも早いか、呼ぶと同時にシルバーが私を背に乗せて助けてくれます。

地面が殴り付けられた余波でなびく髪を抑えつつ、ミスリルゴーレムが次にどう動くか注視します。


追撃の手を緩めるつもりはなく、さらに拳を振り下ろして来ました。


「シルバー。しばらく足になってください」

「ヒヒイィィィィンッ!」


光速でフロア内を駆け抜け、次々と降ってくる拳を避けるシルバー。

その間に右手に雷を集中させ、チャージを開始します。


先ほど雷撃とライトニングブラストを右足首に打ち込みましたが、手応えはそこそこという感じでした。

同じ攻撃をあと二、三回繰り返せば関節を外すことが出来そうです。


しかしそれでは時間と魔力が掛かり過ぎます。せっかく私を信頼してくれたマスターを裏切りたくないので。

マスターが私をここに残してくれたのは、突然Bランクの魔物が出て来たとしても、今の私なら余裕を持って勝てると信じてくれたからでしょう。

ですが……私はそれだけの信頼で満足する気はありません。


相手がAランクであろうと、例えSランクであろうとも……私はその尽くを、いずれ一人で倒せるようになってみせます。


「今はシルバーがいないと危ない私ではありますが……必ず…!」


これはその為の通過点に過ぎません。

ですので……


「辛勝は、許されないのです」


―――1万6000……1万8000……2万…。


霹靂神よりも長い時間、雷を溜め込み続ける。

1万Vまではすぐにチャージ出来るようになりましたが、そこから先はまだまだ時間を要します。

いくらアマシスタ様に作られた身なれど、やはり下級精霊の私では一苦労のようです。


「ブルヒヒイィィィィンッ!」


ミスリルゴーレムは拳だけでなく、大きな足で踏み付ける攻撃までして来ますが、それもしっかりと避けるシルバー。

ですがシルバーの体力と魔力も無限ではありません。

早く溜めなければなりませんが……焦っては余計に時間が掛かります。


「すみません、シルバー…。もうしばらく、走り続けて、ください…」

「ヒヒイィィィィン!」


―――2万7000…………2万8000…………2万9000…………3万V……よし、なんとかここまでは……ッ!?


3万まで雷をチャージ出来たところで、嫌な感じがしました。

ミスリルゴーレムを見てみると、赤い瞳が眩しく光り輝いていました。


その光が点となって凝縮し……レーザーとなって解き放たれた。

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