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※彼女は籠絡作戦中です

キリよくする為短め。

あと除雪で腰痛い…。3センチしか積もらないって予報だったのに……天気予報の嘘つき…。

おはようございます。土下座中の変態です。なんかデジャヴだ…。


今朝目を覚ますと、何故か俺はエレナさんを抱いていた。

この前の膝枕事件より酷い状況を、先に起きていた鳴に話を聞いてみたら、眠った状態でエレナさんを抱き締めだしたと言う。


これはもう事件です。犯罪です。裁判所で裁かれるレベルのセクハラです。

なので地面に頭を擦り付けて、全力の土下座をしています。


なお当の本人は……


「……………」


無言で朝ご飯の野菜たっぷり鍋を食べています。起きてからずっとこの調子である。

さすがに怒ってるようだ…。


そりゃそうだ。好きでもない男に抱き枕にされて、怒らない訳がない。

どうしよう…。こんな雰囲気でダンジョン攻略が進むのだろうか?出来ない気がしてならない…。

こういう時はどうやったら許してもらえるんだ?


当然だが鳴も鍋を食べるのに夢中で、助け舟を出してくれる気配はない。

いくら俺の精霊でも、俺が悪かったらフォローなんてしないのが鳴のスタンスっぽいしな…。


「ねぇ。いつまでそうしてるの?カガリくんも食べなよ。じゃないと倒れちゃうよ」

「……はい」


とりあえずエレナさんの言葉に従って鍋を食す。

味が良い感じに染み込んでて美味いはずなのだが、緊張でほとんどわからない。


エレナさんを横目で確認すると、やはり普段の快活な性格はなりを潜めて、無表情で怒ってるような雰囲気を感じる。

……も、もう一度ちゃんと謝った方が良いよな?


「その……本当に、ごめんなさい…」

「別にもう気にしてないよ。だから謝らないで」

「……………」

「……………」


気まずいって!せめて笑顔で言ってくれよ!?

こちとら女性経験皆無なんだよ!誰か助けてー!


「……ねぇ。カガリくん」

「はいっ!」


今度は向こうから話し掛けて来て、思わず姿勢を正す。

どんな罵詈雑言が飛んで来てもいいように覚悟を決めていると……


「ボクね。初めてだったんだ。男の子に抱かれるの」

「……はい」


言い方がアウトな気がするが、そこをツッコムようなことはしない。

これはハグ。ハグの方の抱くね。


「普通さ。好きでもない男の子に無理矢理そんなことされるのって、凄く嫌だと思うの」

「はい。仰る通りです…」

「でもね……」


エレナさんは器を置いて、俺の方に歩み寄って来る。

そして彼女はそのままの勢いで、俺を抱き締めて来た。


「……………は?」

「カガリくんに抱かれるのは……い、嫌じゃなかった、よ?」


上から抱き締められてる形なので、エレナさんの表情は見えないが……声色から察するに、たぶん真っ赤だと思われる。

いや待て。鳴が見ている前で何故いきなりそんな大胆な行動をしてるんだこの人は?


見ろ!鳴もなんで急にって顔を……いやしてない。笑顔で鍋に集中している…。

空気的な物を読んで、空気になることに徹してるのか?

やめて!逆に精神に来る奴だから!?いっその事いつもみたいに機械的な表情で見つめてくれた方が良い奴だから!


「だから、ね?もうお互い気にしないようにしよ?」

「……は、はい。わかりましたので、離れて頂けると…。鳴もいますし」

「え〜?ボクの時は抵抗しても離してくれなかった癖に〜?」

「それはマジでごめんなさい…。もう許して…」


「パパとエレナさん、イチャイチャ?」

「してない!」


ここで割って入って来るな娘よ!?


「イチャイチャか〜。カガリくんってボクの理想の男の子だしぃ、そういう関係はやっぱり有りだよね〜」

「ああもう!冗談も程々にしろ!?」


いつもの、いやいつも以上におふざけモードに入ったエレナさんを引っ剥がした。

彼女の顔を見てみると、耳まで真っ赤だった。


……恥ずかしいならこんな仕返しの仕方するなよ…。


とはいえ悪い空気は無くなったので、一先ずは良しとするべきか?

エレナさんもあのままの雰囲気ではいけないと思って、身体を張ったんだろう。


……そう思うことにしよう。俺に気でも出来始めたのか?なんて邪な考えは振り払え。


思春期男子の悪いところだよな、これ…。

性格が合わなくても、やはり見た目が好みな女性にハグされた上に、あんなことを言われたら意識してしまう。

思春期よ。早く過ぎてくれ〜…。

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