エレナ、辱められる
区切り良くする為、今回も短いです。
「……う〜ん…。ぅん?」
仮眠状態からおはようございます。起きてから目を開けるのに時間が掛かるタイプのカガリです。
何かに頭を乗っけている感覚があることに気付き、寝ぼけている脳で寝る前のことを思い出す。
……俺、枕なんて持って来てたっけ?
なんかスベスベでモチモチで、思わずスリスリしたくなってしまうくらい肌触りが良い枕に頭を乗っけている感覚がある。スリスリ……
「ッ!?」
「う〜ん?なんだぁ、この枕ぁ…(寝起き掠れ声)」
俺の寝起きは何故か目を開けるのが億劫で、いつも手探りでスマホを探していた。今回その感覚で枕の正体を手探りで調べる。
こんな肌触りの良い枕なんて敷いた覚えはないぞ?
サワサワスリスリと手と頬を使って正体を探っていく内に、だんだん脳が覚醒して来たので、いい加減目を開けて枕を目視してみる。
薄目で確認すると、綺麗な色白い人肌のような枕が目に入った。
こんな人肌みたいな色した枕があるんだな〜っとぽふっと顔を埋めてみると、どこか生暖かさを感じて、さらには良い香りもする。
なんて上質な枕なんでしょう。これでもう少し柔らかければ満点だった。
「すぅーーー……はぁ〜…」
「☆$☆♡☆!?#%&!♪ッ!?!?!?」
思いっ切り猫吸いの如く吸ってみると、枕がビクビクと痙攣するかのように動き出した。
そこでようやく寝惚けて上手く働いていなかった脳が動き始めた。
これはただの枕じゃない、と。
……俺。今どんな枕に顔を埋めてる?
恐る恐る寝返って天井を見上げる。
するとそこにはダンジョンの天井とは別に、顔を耳まで真っ赤に染めて目をぐるぐるさせている俺好みのエルフが……
「……………おはようございます…」
「……ぷしゅ〜…」
寝起きの掠れ声で目覚めの挨拶をすると、帰って来たのは何かがショートした音だった。
――――――――――――――――――――――――
改めておはようございます。土下座中の変態です。
「うっ、うっ……カガリくんに辱められた〜…」
「ごめんなさい、マジでごめんなさい。ホント〜に、ごめんなさい…」
実際には涙一つ流していないが、顔を覆って壁際で泣き真似しているエレナさんに誠心誠意を込めて謝る。
鳴が何を考えてるのかわからない、機械的な表情で横から見下ろして来てるのもあって精神的にもキッツい土下座です、はい。
「カガリくんは女の子を平気で辱める変態さんだったんだ…」
「はい…。ごめんなさい」
「カガリくんはボクの初めてを奪った最低な男の子だよ…」
「はい…。ごめんなさい」
「……って!そこは否定するなりツッコムなりしようよ!?寝てる間に膝枕したボクの自業自得な部分もあったんだからさ!」
「ごめんなさい。女性の献身を咎める男にはなりたくなくて…」
献身は言い過ぎかもしれないけど。
むしろ俺の方が寝不足なのは自業自得なはずなのに、それを癒そうとしてくれた女性を咎めることなど出来ようか?
答えは否である。女性の優しさは素直に受け止めるべしって、義父さん言ってたし。
物にもよるだろうけど。
しかし女性からの膝枕なんてご褒美以外の何物でもない。しかも相手は超美人なエレナさんだ。
世の男性は皆羨むこと間違いなしだろう。……喋るとちょっと残念だけど…。
なのでご褒美をくれたエレナさんには感謝の心と辱めてしまった謝罪の心を向けている。
感謝の言葉はさすがに言い難いけど…。
「……そ、そう…。それで、どうだった?ボクの膝、枕…」
「めっちゃ気持ちよかったです」
だが聞かれたら素直に答えてしまうのが俺である。
「コラー!( "ºДº")ノ `-' ) ペシッ」
「いてっ」
しかし素直に感想を言えばこれである。これはちょっと理不尽では?
「もう二度と膝枕なんてしてあげない!」
「あ。それはそれで助かります」
「なんで!?少しは残念がってよ、傷付くよ!」
「いや、鳴からの視線が痛いので…」
「?」
首を傾げる鳴を横目に、エレナさんの膝枕を自分から断った。鳴に嫌われるような行動は避けたい…。
もう手遅れな気がしないでもないけど。
……………でも欲を言えば、またあの魅惑的な生足を枕にして顔を埋めたいと思ってしまうのは、思春期男子の性なんだろうな。
俺ってば最低ー。
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