レイス
19時までなろうサイトがメンテナンスで書く時間が無かったので、今回はかなり短いです。
すみません…(土下座
「ふわぁ~…」
おはようございます。すっげぇ年上のエルフからプロポーズされた篝くんです。現在、休憩所の先を進み中。
夕食後にシルバーに人参を十本ほどやった後、休憩所の外で長時間ツインホーンベアーの肉を煮込んでいた。おかげで寝不足だ。
でも仕方がない。ダンジョン攻略は基本的に長丁場になることが多いから、完全に攻略しようと思うと食料問題が着いて回るらしい。
だから下準備に時間が掛かる物は早めにやっておいた方が良い。
「もー。だから寝た方が良いって言ったのに…。大きな欠伸なんかしちゃって」
「すみません。どうしてもエレナさんに熊肉を食わしたかったから」
「だから嫌だって!」
まぁエレナさん曰く、もっと奥へ進めば食える魔物も出て来るとのことだから、そこまで気にする必要はないと思うけどな。
でも「熊肉嫌ー!」って言うエレナさんにはぜひ食わしたいので、今晩は熊鍋の予定だ。食わず嫌いは良くないぞ。
「それよりも気を引き締めてね?今まではフロアごとに魔物が湧いてたけど、ここからは通路にも魔物が湧くからね」
「あー。確かに今まで通路は安全でしたね。休憩所が境界線になっていて、だんだん難しくなるって感じですか?」
「そうだよ~。その上、魔物のランクも上がるから要注意ね。カガリくんたちなら楽勝だと思うけど」
てことはここからはD、Cランクの魔物が頻繁に湧くようになるのか。
今のところCランクとはまともに戦ったことないから、俺の力がどれくらい通じるのか試してみたいな。
リザードマン以降はDランクの魔物すら遭遇しなかったし。
「もしCランクの魔物と出会ったら、俺に任せてくれませんか?実は戦ったことないんで、どれだけやれるか試してみたいんです」
「いいよ〜。まぁ負けることはないんじゃないかな。オークキング倒してる訳だし」
Cランクの魔物と遭遇出来ることを祈りながら進む。
エレナさんから、洞窟を照らしてくれてる水晶は壊すとただの石になることを教えてもらったり、昨晩振る舞った料理のレシピを教えたりしながら。
……そうしてしばらく平和な時の中を歩いていたのだが…。
「パパ。魔物に遭遇するどころか、魔物がいるフロアに辿り着く気配すらないですが、気のせいでしょうか?」
「ブルルッ」
鳴の指摘にシルバーが同意するように頷く。
うん。俺もなんか違和感を感じていた。
もう三十分くらい歩いている。今までは十分も歩けば次のフロアに着いていたのに、洞窟という似たような光景が続く中なのもあって、ずっと同じところをグルグルしてるような感覚だ。
「エレナさん。これも休憩所を越えた影響ですか?」
「うーん…。確かに変かもだね~。通路がこのくらい長いことはあるにはあるよ。でも魔物が一匹も出て来ないのは、違和感しかないなぁ」
「気づかない内に、なんかの罠を踏んだとか?」
「……一旦ちょっと戻ってみよっか?」
少し思案したエレナさんはそう提案する。
言う通りにして来た道を戻ると、なんと五分もしない内に休憩所の前まで戻ってしまった。
「これは……一体どうなってんだ?」
「なるほどね~…。そういう事か……これは幻惑魔法だね」
「幻惑魔法?」
「うん。Fランクのレイスっていう幽霊みたいな姿をしたアンデッドが使う魔法でね。幻を見せたり、方向感覚を狂わせたりする魔法だよ。それで無意識に同じ場所をグルグルさせられてたんだね。これが本当に厄介でね~…。レイスは気配が微弱でわかりにくい上に、幻惑魔法は魔法使いじゃない限り攻撃されたって気付きにくいから、Aランク冒険者でもこの魔法に掛かっちゃうんだよ…」
「はぁ?それって結構ヤバくないですか?エレナさんでも対抗出来ないとか」
いつの間にそんなのから攻撃を受けていたんだよ。なんとかして見つけて、早くやっつけた方がいい奴だろそれ。
しかしエレナさんは落ち着いた様子で首を横に振って否定した。
「ところがどっこい、そうでもないんだな〜。え〜っと……カガリくん。ちょっとここの壁を思い切りハンマーで叩いてみてよ」
「え?どうしてそんなことを?」
「いいからいいから。騙されたと思ってやってみてよ」
「はぁ…。わかりました」
エレナさんに言われた通りに、指定された壁に向かって思いっ切り、回転も加えながらハンマーを横薙ぎに振るう。
―――ドゴォーーーーーンッ!!!
すると自分でもビックリするくらいの衝撃が周辺に響き渡り、地震のような揺れを発生させた。
……さすがに加減すべきだっただろうか…。ダンジョンって崩れたりしないよな?
やり過ぎたか?と頭に手を置いていると突然、叩いた壁から半透明の幽霊が出て来て……そのまま煙みたいに霧散して姿を消した。
「えっ…?何今の」
「今のがレイスだよ。あの魔物は知性がほとんど無くてね。幽霊の体質を活かして壁の中に隠れて、イタズラ程度の幻惑魔法しか使って来ないんだ~。しかもかなりデリケートみたいで、ちょっとの衝撃ですぐ死んじゃうんだよ。だから討伐難易度はFランク」
「じゃあ何も全力でぶっ叩く必要はなかったんじゃ…」
「ボクをこんな気が滅入る場所でグルグルさせてた罪は重いんだよ、カガリくん」
め、目からハイライトが消えた…。
嫌い嫌いとは言っていたが、Fランクの魔物にブチギレるくらい嫌いなんだな…。
ともあれ無事に進めるようになったので、改めてダンジョンの奥へと進んで行った。
おやすみなさい
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