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VS大量の魔物

ちょっと短めです。

大岩が大量の魔物たちを轢き潰してくれたが、それを免れて生き残ってる奴がまだまだいた。


「ナイスー!メイちゃん!君って雷みたいに速いんだね〜。スピードだけならボクよりある……へっ?」


鳴は感心しているエレナさんを空中でポイ捨てするように投げ捨てて、空いた手に雷を溜め始めた。


「ちょっ!?メイちゃーん!?」


ポイ捨てしたエレナさんの悲痛な叫びを無視して、鳴は溜め込んだ雷を魔物たち目掛けて放出した。


「300V・ディスチャージ!」


放たれた放電が眼下にいた魔物たちを一掃して、鳴は安全になった地面に着地して俺を下ろしてくれた。


「助かったよ鳴。おかげで轢き潰されずに済んだ…」

「はい。パパのお役に立てたのなら、私は嬉しいです」


くぅ〜!健気可愛い!そして頼もしい!

どっかのドジっ子エルフとは大違いだ。


「「「ギャッギャーーー!!!」」」


「パパ。まだ魔物が残っています」

「そうだな。……てか、想像してたより多いな…」


大岩と鳴の雷でだいぶ減ったが、それでもまだ半分くらいは残ってそうだった。

数は圧倒的に不利。だけど油断さえしなければ問題ないだろう。


「来ます。援護はお任せください」

「わかった。頼んだぜ、鳴!」


魔物たちが一斉に、前と上から飛び掛るようにして襲い掛かって来る。


まずは俺が飛び出して、前から来る魔物たちを横薙ぎにハンマーを振り回しながら蹴散らして行く。

鳴が言った通り、Eランク程度の魔物しかいないから一撃で仕留めることが出来る。


「300V・サンダーブレード!」


前から来る魔物に集中してると、上から飛び掛って来てる魔物たちの良い餌になってしまうが、そこを鳴がフォローしてくれる。

後ろから雷の斬撃が飛んで来て、それらを両断した。


「サンキュー!鳴」

「はい。パパは安心して、そのまま目の前の敵に集中してください」

「本当、鳴は頼もしいね〜」


「コラーーーッ!!!」


―――ドゴーンッ!


引き続き魔物を蹴散らそうとすると、目の前にいた魔物たちが、上から飛び蹴りしながら現れた人物によって一掃された。

……蹴りで地面がすげぇ抉れてる…。やっぱ戦闘に関しては、とんでもなく頼りになりそうだ。このドジっ子エルフ先輩は…。


そんなドジっ子エルフのエレナさんは、鳴を指しながら抗議の声を上げた。


「メイちゃん酷いよ!投げ捨てるなんて!?ボクじゃなかったら怪我してたよ!」

「すみません。抱えたまま放電しては、お二人を巻き込んでしまいますので、とっさにエレナさんを手放させて頂きました」

「やだこの子…。その歳で他人を切り捨てることに躊躇無さ過ぎでしょ」

「Aランク冒険者のエレナさんなら大丈夫と判断したまでです。それに可愛い後輩を危険に晒した人に、酷いなんて言われたくないですね」

「ぐふぅー!?そ、それは本当にごめんなさい…。反省してます…」


うわぁー。いい歳した大人が子どもに言い負かされてるよ…。

しかし彼女をフォローする訳じゃないが、その心に刺さる苦しい気持ちはわかる。俺も鳴に罵倒された時はショックだった。


え?それとこれとは別物じゃないかって?気にしない気にしない。

それにいつまでも責めてちゃ、さすがに可哀想だ。

ここは後輩として気の利いた言葉を言ってあげる方が良いだろう。


……普通は逆だと思うけど…。


「エレナさん」

「な、なにかな…?」


俺から呼び掛けると、怯えた子どものような表情になった。Aランク冒険者の威厳がもう完全に無くなってるぞ…。

思わず苦笑してしまった。


「戦闘は、頼りにして良いんですよね?」

「えっ?」

「……まさか、戦闘中でもドジ踏んだりとかしないですよね…?」

「し、しないしない!信じてもらえないかもだけど、戦闘中にドジしたことは一度もないよ!?」

「じゃあ信じます」


俺が即答で信じると言ったら、エレナさんは驚きで目を見開いた。


「……信じるの?」

「はい。信じます。ていうかツインホーンベアーのやつを見た後じゃ、信じるしかないでしょ?今の蹴りもヤバかったですし」


これは俺の本音だった。ここまで散々ドジして来たが、こと戦闘においてはツインホーンベアーを圧倒した実力から、どう考えても百の信頼はしていいだろう。

まぁ例えドジっても、彼女ならどうとでもなるだろうという気持ちもあるにはあるが。


「ということで、頼りにしてますよ。エレナ先輩」

「……………」


「グルアアアァァァァァァッ!」


俺の言葉に沈黙したエレナさん。

そこにさっきの蹴りで警戒して攻めて来なくなった魔物の内の一体のグレーウルフが、エレナさんに噛み付こうとしてくる。


だが当然そんな不意打ちが彼女に通じるはずもなく、振り向きざまの回し蹴りで、グレーウルフの首が飛ばされた。

……ま、マ〇った…。蹴りで…。


「ありがとう、カガリくん…。ここまで酷い醜態を晒したのに、それでも信じるって言ってくれたのは君が初めてだよ」


そう言って、エレナさんは俺に振り向き、目を細めて微笑みを浮かべた。

ずっと口元を隠していた彼女だが―――この時だけは、素顔を隠さずにいた。

その微笑みは大人っぽく、凄く頼り甲斐があるように感じた。


エレナさんはまた口元を隠して言う。


「今度はちゃんと期待に応えるから、見ててね?」


流し目でそう言って、エレナさんは魔物たちに向かって突っ込んで行った。

彼女が一度(ひとたび)脚を振るうと、多くの魔物が一掃されて行く。魔物の攻撃も全て回避していて、掠る気配すら感じさせない。


地面は抉れ、次々と魔物の首が飛ぶ光景は、まさに一騎当千と言った感じだ。あのまま一人で全部片付けてしまいそうだ。


「パパ。私たちも行きましょう」

「……………」


鳴が隣に来て言うが……俺はエレナさんのさっきの笑顔が脳裏に焼き付いて離れず、鳴の言葉は聞き取れはしたが、ボーっと彼女の無双を眺めてしまっていた。


「パパ?どうかしましたか?」

「……いや、すまん。なんでもない。俺たちも行こう」

「?はい。わかりました」


俺と鳴も再び参加して、魔物たちを蹴散らして行った。


―――今までずっと隠していた口元を晒して微笑んだ姿に、思わずトキめいてしまった…。なるほど。これがギャップ萌えというやつか。


――――――――――――――――――――――――


「よっしゃーっ!終わったー!イェーイ!」


最後の魔物の首を蹴り飛ばしたエレナさんが、片手で万歳しながら勝利の雄叫び的な声を上げる。

洞窟内だからめっちゃ耳に響く…。


「どうだった〜、カガリくん?ボクのかつや、くぅうわぁー!?」


言いながら俺の方に走って来るエレナさんだが、また魔物の死体に躓いてしまった。

が……


「よっと」

「へっ…?」


彼女が転倒する前に駆け寄って抱きかかえて、それを阻止した。

エレナさんがドジる心構えをしておいて良かったぜ…。さすがに魔物の血が飛び散った地面に転ばせるのは可哀想が過ぎる。


「大丈夫ですか?エレナさん」

「う、うん…。ありがとう、カガリくん…」


抱きかかえたエレナさんを離すと、彼女は恥ずかしげに俯いた。

見ると、耳が真っ赤になってるのが見えた。


「どうしました?……もしかして俺、力加減を間違えてどこか痛めさせてしまいましたか!?」

「ううん!そんなことないよ!?全然大丈夫!ただ……」

「ただ…?」


「パパ。お取り込み中すみません。この岩なのですが……」


エレナさんと話していると、鳴が罠の岩で気付いたことがあったのか、その報告をしてくる。

岩は魔物たちを轢き潰した後、壁にぶつかって埋もれていた。


「その岩がどうかしたか?」

「はい。転がってる時、転がる音とは別の音がこの岩から聞こえた気がしまして。もしかしたら、壊せば何か出て来るかもしれません」

「えー…。それってつまり、罠の中に宝物が仕込まれてるタイプかよ」


でも岩の中にあるとかゲームでも見たことないぞ?

インディーゲームとかにはありそうだが。やったことないけど…。


「カ、カガリくん。とりあえず岩を壊してみたらどうかな?そのハンマーならたぶん楽勝だよ。もしかしたら貴重なお宝が入ってるかも!」

「それは良いですけど、エレナさんは本当に大丈夫ですか?」

「大丈夫大丈夫!ほら、こんなに元気だよ!」


言いながらぴょんぴょん跳ねたり、腕を回したりするエレナさん。

確かにどこも痛めてはなさそうだな。


「魔物の素材はボクの方で集めておくからさ」

「いいんですか?凄い量ですけど」

「いいのいいの!罠踏んじゃって、迷惑も掛けちゃったしね。その償いをさせて欲しいの。……これくらいで精算出来るとは思ってないけど…」

「……わかりました。それじゃあお願いします。鳴!お前も俺が岩を壊してる間に、魔物の素材を……」


「もうやっています」

「「はやっ!?」」


ということで、俺は岩の破壊作業を。

鳴とエレナさんは、倒した魔物の素材を集めることになった。


「……………おっぱい……初めて触られちゃった…。しかも、男の子に…」

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