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失敗したクラス召喚

―――桐山裕(きりやまゆう)―――


「おー!異界の勇者様方!どうか私たちの世界を、魔王の手からお救いください!」


 これは……何が、どうなっているんだろう…。

 今私たちの周りには、複数の鎧を着た人や、気味の悪いローブを着た人たちがいた。


「今我々は、魔王軍の侵略によって人間界が滅亡の危機に瀕しているのです!」


 異界の勇者?魔王?侵略?滅亡?いきなりそんなことを言われても、ピンと来ないというか……ただ、今はまだ頭が混乱していて状況が飲み込めない。

 一体何が起こったの?


「おい!なんなんだこれ!?何が起こってるんだ?」

「異界の勇者ってなに?どういうこと?」

「魔王ってなんだよ!新作のゲームかなんかか!?」

「……俺ら、さっきまで教室にいたよな?」

「この状況、誘拐としか思えないわね。さっきの丸い陣みたいなのが原因かしら?どこの国の技術?」

「テメェら一体なんなんだよ!?こんなことして、ただで済むと思ってんのか!あぁッ!?」


「み、皆落ち着いて。この人たち、武装してる!下手に騒がない方がいいよ!」


 誰かがそんな声を上げると、クラスの皆は改めて自分たちの状況を確かめ始める。


 た、確かに……私たちを取り囲んでいる人たちは武装をしていた。

 鎧を着てる人たちの手には剣や槍が、ローブを来ている人は小さな杖のような物が握られている。


「ひぃっ」


 女子の一人がそれに怯えて、腰を抜かしてしまった。

 私は彼女に近寄って、もう一度周りを人たちを観察する。


 ……急に斬られたりすることは無さそう…?でも警戒はしているみたい。

 こっちは丸腰だっていうのに、なんで警戒するのかがわからないけど、とりあえず変に騒いだらどうなるかわからない。

 ここは、委員長の私がしっかりしないと。


「あ、あの!……さっきの話は、一体どういうことなんですか?私たちはさっきまで教室にいて、この状況がよくわからないんです」


「そうだそうだ!俺らを誘拐して、どうしようってんだよ!?」

(ひじり)君!?そんな喧嘩腰じゃダメだよ!殺されちゃうよ!」


 うちのクラスの問題児である村田君が前にいる人に突っかかろうとして、その幼馴染である安河内(あがない)君が止める。

 イラつく気持ちはわかるけど、相手を刺激するような言動は今は控えて欲しい…。


「あぁ、すみません…。急な召喚で戸惑っておられるのですね。では今から指定した人数分、ちゃんと召喚出来たか確認いたします。それから国王陛下の下で、詳しい説明をさせて頂きます」


 そう言ったのは、他よりも鎧が豪華な若い男性。

 金髪碧眼のイケメンで、一見優しそうな雰囲気を感じる。だけどいきなり私たちを、召喚?……とにかく、誘拐を行った人たちの一人だ。

 思わず見惚れる女子がいるけど、私はその顔に決して騙されないように、警戒は解かないよう意識する。


 再確認もしているのか、時間を掛けて人数を数えていた彼らだが、やがて慌て始めた。

 どうしたのかしら?


「すみません!貴方たちのクラスは、総勢何名でしょうか?」


 金髪碧眼の男性がそんなことを聞いてきた。やっぱりあの人が責任者なのだろうか。


「えっと……25人です」


 私が正直にクラスの人数を答えると、男性は先ほどよりも大きく焦りの表情を浮かべた。


「その……大変申し上げにくいのですが……」


 一呼吸置いて、男性は私たちに衝撃の事実を告げた。


「一人……足りないのです。ここにいるのは24名。指定した数と合いません」

「っ! ど、どういうことですか?それって、その人だけ教室に置き去りになったとか?」


 それならばまだ良かったかもしれない。こんな状況だ。

 一人だけ教室に残っているのならば、先生に報告して警察に通報してくれるはずだ。


 だけどそんな期待は無駄に終わった。


「いえ。我々も再三確認したのですが、確かに25名の召喚には成功しているのです。陣のどこかに欠陥があったのか、恐らくもう一人の勇者様はこことは別の場所へ召喚された可能性が高いです」

「え……別の場所?そ、それってどこですか!?」


 私の問いに対し、彼は首を横に振る。

 つまりわからないということだ。


 そして次に放たれた言葉が、絶望の形となって私たちクラスメイトに襲い掛かった。


「運良く城下や別の街に召喚されていれば良いのですが……もし街から離れた場所に召喚されていた場合、魔物に襲われて命を落としている可能性が大きいです」


 クラスの皆が息を吞むのがわかった。

 いきなりそんなことを言われても、現実味はない。

 魔物が一体何なのかよくわからないけど、たぶんこの人の様子からして、友好的な存在じゃないことだけはわかる。


「先ほどすぐに捜索隊を編成して勇者様を探すようにと、小隊長に伝手を出しました。他国にも知らせを出しますし、皆様みたいに黒髪黒目の人物であれば、すぐに見つかるはずです」

「……だ、誰!?誰がいないの!」


 さっきは急なことで確認が遅れてしまったが、クラスの誰がいないのか確認する。

 順番に点呼を取ると、すぐに誰がいないのかわかった。


(かがり)君…っ!篝君です!篝劣兎(れつと)!彼の特徴は―――」


 この場にいない男子の名前を叫ぶように言う。

 ぶっきらぼうだけど、誰よりも優しい彼の無事を祈りながら。


―――しかし、それから一週間……それどころか、一ヶ月経っても篝劣兎が見つかったという情報は来なかった。


――――――――――――――――――――――――


 どうも皆さん。変態です、じゃなかった。篝です。名前?嫌いだからなるべく言いたくない。

 だって劣兎だぜ?劣った兎って、酷い字面…。親に恵まれないとこうなるという例だね。

 まぁ別にそこまで気にしてないけど。アイツらもう死んでるし。


 俺は今、何もない白い空間にいる。

 いや正確にはあるにはあるのだが、周りが一日で一年分修業出来る部屋みたいに白いから、一寸先までマジで何もない。

 あるのは俺が今座っている白い椅子とテーブルのみ。

 向かいにも一個椅子が置いてあるが、そこには誰もいない。


「遅刻仕掛けて、チャイムが鳴るギリギリで教室に入ったとこまでは憶えてるんだがな~」


 そこからいきなり景色が変わって、もうかれこれ一時間くらいボケ~っとしてるよ。

 今の俺は他者から見たら、意外と落ち着いてるように見えるだろうが、そんなことはない。

 あまりにも非日常な出来事と殺風景な風景に、最初は驚きを通り越して呆気に取られてた。どこを見渡しても白、白、白、白……こんな場所は学校のどこにも無かったはずだ。


「電波が通ってねぇのか、ここ圏外だしな。誰とも連絡取れねぇ」


 一応、別のクラスに友人と呼べる奴はいる。なんとかしてソイツと連絡取れれば良いんだが…。

 え?今のクラス?委員長以外と話したことないな。

 その委員長だが、残念ながら連絡先は交換していない。向こうから話しかけてきて、ちょっと話す程度の仲だったし。

 あと教材を運ぶのを手伝ったりとか。


「ふぅ。やっとスキルの選別が終わりました~」


 俺がスマホと睨めっこしていると、突如目の前の空間が渦のように歪みだし、そこから一人の女性が現れた。

 金髪、金目、白い肌、白いドレスのような服。

 そんな彼女に思わず目を奪われ、絶句する俺。


 いきなり現れたことにも驚いたが、彼女の容姿があまりにも美しくて、すぐに言葉が出てこなかった。


「あら?貴方は……人間?天界の門が開いた気配は無かったのですけど…。いえ、開いたとしてもここに人間の方が来られるはずないですよね」

「……………(綺麗な人だな…)」

「うん?あらあら。綺麗だなんて、そんな……私なんてもう3000歳のお婆ちゃんなんですが」


 3000歳!?明らかに20代に見えるんだけど!?いや待て。それよりもこの人、なんで俺が考えてることがわかって……


「ごめんなさい。私、人間の考えてることがわかっちゃうんです。おかげでスキルの選別がしやすいので、便利なんですよ。あ!せっかくですし、お茶でもいかが?天界のお茶は人間界の物とは比べ物になりませんよ。あっちもあっちで好きですけど」


 彼女は言いながら、何もない空間を指でちょんっと突いた。

 するとそこにティーセット一式が現れ、さらに彼女がテーブルを突くとマカロンやスコーンなどのお菓子まで出て来た。


「え~…。ちょ、何がどうなってんの、これ…」


 人の心読めるわ、マジシャンみたいなことするわ、一体この人は何者なんだ?


「何者と言われましても、ただの女神としか言えませんねぇ」


 ただの女神!?確かに女神と言っても差し支えないくらい綺麗だが、それがもし本当だとして、女神にただのとかあんのか?

 こう、位とかありそうなもんだが…。


「一応、東方の国の最高神をやらせて頂いてます」

「最高神!?」

「あ。やっと喋ってくださいましたね。はい、こちらエンジェルハートティーです。ここだけの話、私の秘蔵の紅茶ですよ」

「ど、どうも…」


 最高神……それって一番偉い神様のことだよな?

 にわかには信じ難いが、いきなり目の前に現れたことといい、この空間といい……一応信じられる要素的な物はある、か…?


「えっと。さっき天界って言ってましたけど、つまりここは天国……俺は死んだか何かしたんですか?」

「違うと思いますよ?私もなぜ貴方が私の自室にいるのかは正確にわかりませんが、輪っかもないですし、貴方はまだ生きてる状態かと」


 俺の頭の上を見ながら教えてくれる女神。死ぬと本当に頭の上に輪っか出るんだ…。


「何か女神様には、俺がここにいる心当たりとか無いんですか?」

「う~ん。可能性として挙げられるのは、『召喚獣として呼ばれて失敗して、ここに送られて来た』か、『何かの召喚に中途半端に巻き込まれた』かのどちらかですかねぇ。もしくはその両方、とか。私は初めてですが、他の国の最高神は何度かこういう経験があるみたいです。確か他所の世界から勇者を召喚する時とかだった気がしますね。あ!念の為言っておきますけど、私の国では勇者召喚なんて傍迷惑な行為はしてませんよ!というか私が禁じてます」


 そう言って彼女は紅茶を一口飲み、お菓子に舌鼓を打ち始めた。

 俺が女神の説明に一瞬「まさか!」と思った時、彼女の国ではやっていないという補足が付け足された。


「えっと。他所の世界ってことは、ここは俺の知る日本……地球とかそういう世界じゃないってことですか?」

「日本……地球……ああ!もしかして貴方、『アース』からいらした方ですか?」

「そうっすね。それで合ってます」


 地球のことは英語で伝わってるんだ…。


「そうですか。よりにもよってお姉様管轄のアースからですか……はぁ~」

「ど、どうかしたんですか?」

「すみません。いきなり溜息なんて吐いて。こちらの事情ですので、お気になさらず。それはそうと、貴方はこれからどうしたいとかありますか?」

「どうしたいか……う~ん。出来れば元の世界に返して欲しいんですけど…」

「それは困りましたねぇ。お気持ちにお答えしたいのは山々なのですが、残念ながら私にその権限は与えられてないんです。申し訳ございません…」

「最高神なのに?」

「あくまで一国の、ですからね。その権限を持ってるのは他の国にいる、異世界からの勇者召喚をよしとしている最高神だけなんです」


 う~ん。そっかー。それは本当に困ったなぁ…。

 神様ってのも意外と面倒な事情があったりすんのね。


「ん?じゃあ、その権限を持ってる神様に頼むとかは……」

「頼んでもいいですけど、たぶん100年待ちとかになりますよ?」

「俺死んじゃう。なんでそんな待たされなきゃいけないの?」

「他の世界に行き来するには、膨大な魔力を必要とするんです。どれくらいかというと、そうですね……ざっと人生50回分くらい」

「なるほどわからん」


 そもそも魔力とか、ゲームとか漫画でしか見たことない概念だし、女神様の例えじゃわかりにくい。


「えっと~。それじゃあ、この紅茶の値段で考えてみましょうか」

「この紅茶?」


 そういえば、まだ一口も口付けてないな。せっかく女神自ら淹れてくれた紅茶だ。飲んでみよう。

 ……むっ!?うっ、美味い…!まるで天にも昇るような心地に―――


「これを日本円で換算しますと、確かお姉様が言うには……一杯およそ100万円とか言ってましたね」

「ぶふぉッ!?」


 って、あー!勿体ねぇ!?100万が!?


「す、すすすみません!あまりにやべぇ金額に驚いてしまって…」

「気にしないでください。……はい。もう一杯どうぞ」

「あ、ありがとうございます…。それで、この一杯およそ100万の紅茶を魔力に換算するとどうなるんですか?」

「そうですねぇ……一万杯分と言ったところですね。こう言えば、なんとなくてはわかるんじゃないでしょうか?」

「想像は出来ませんが、人件費のような物がとんでもなく掛かるってことはわかりました」


 つまり魔力というのを約百億円分、消費するってことね。

 もっとわかりやすく解釈するならMPか?


「それだけの魔力を消費するとなると、流石の神でもなかなか難しいんですよ。なので申し訳ありませんが、こちらの世界で暮らして頂くしかないかと…」

「暮らすって言ったって……そもそも、もし俺が本当に何かに召喚され掛けてたって状況なら、こっちの世界で一体何させようと……いや、言わなくていいです…」


 言ってて気付いた。異世界からの勇者召喚とか言ってたもんなこの女神…。

 勇者が召喚される目的なんて、たぶん一つしかねぇよ。

 どうせあれだろ?魔王軍が人間の世界を侵略してるとかだろ?王道ですねぇ、全く。


「はい。貴方の言ってることは、ほとんど合ってるかと。ただ一つ訂正しておきますと……」


 俺の思考を読んだんだろう。女神様が俺に衝撃的な事実を告げた。


「魔王軍が侵略をしてるのではなく、人間側が魔界を侵略しようとしている……というのが正しいですね」

「は?なにそれ、どういうことっすか?」

「アースでも度々あったと聞いてますよ。人種差別、というものです。人間から大きくかけ離れた存在である魔族を、人間たちは絶滅させようとしているのですよ。魔族はまぁ……少々過剰ですが、正当防衛と言ったところです」

「な、なんだよそれ!?つまりあれか?俺は危うく、自分勝手な戦争の道具にされ掛けたってことか?」

「……そう、ですね…。そう言って差し支えないでしょう」


――――――――――――――――――――――――


 俺は混乱した頭を落ち着ける為、紅茶とお菓子を口に運んだ。

 女神の口から発せられたことは、平和な日本育ちの俺にはなかなかキツイものがあった。


「ふぅー。落ち着いた~」

「早いですね?普通ならもっと取り乱してそうなものですが…」

「まぁゲームや漫画でも、似たような世界観の物は結構ありましたし。特にラノベ系」


 そんなやべぇことに自分が巻き込まれそうになった。それは確かに恐怖だが、こうして失敗して女神様の下に来れたんだ。

 結果オーライって奴よ。


「でも、いつまでもここにいる訳にはいかないっすもんね?」

「そうですねぇ。貴方は完全な被害者ですし、出来る事なら私の秘書にでもして横に置いても良かったのですが……流石に生きてる人間を仕えるのは規律違反ですしね。そもそもこうしてのんびりお茶してること自体、他の神から咎められることですし」

「え?じゃあなんでのんびり歓迎なんてしてくれてるんですか?」

「もちろん、考えてたんですよ」


 そう言って女神様は、慈愛に満ち溢れた美しい笑顔をこちらへ向けた。


「さっきも言いましたが、貴方は被害者です。しかもアースの日本からいらした方ともなれば、戦争とは無縁の生活を送って来たはずです」

「まぁ、そうっすね。80だか90年くらい前に、終戦してますし」

「ですがこちらの世界では、人間と魔族の争い以外にも、魔物という脅威もあります。人を見境なく襲う、危険な存在です」


 女神様の説明に、思わず「ごくっ」と喉を鳴らしてしまう。改めて聞くと怖いな…。

 某有名RPGじゃ当たり前のように戦ってたが、こっちで暮らして行くってなると、画面の向こうではなく実際にそういう存在と戦うことになるのか…。

 一つ目の青い巨人に踏む潰されるようなことにならなければ良いが…。


「ということで、俗に言うチートスキル……は流石に授けられませんが、貴方が一人で生きていくには十分な力は授けますよ」

「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!」


 やっぱりチートスキルなんて実際に授かることは出来ないらしい。

 しかしそれでも、戦闘経験ゼロの俺でも安心して生きていけるだけの力はくれるらしい。


「ふふふっ。いいですよ、気にしないでください。こちらのバカ……いえ、人間がしでかしたことの尻拭いくらいはしてあげないと、可哀想ですしね」


 今この女神、自分の世界の人間のこと、バカって言った…。


「それでもう一度お尋ねしますが……これから貴方は、どうしたいですか?」

「どうしたい、か…。う~ん……家族?」

「家族、ですか?」

「はい。俺、親に恵まれなくて、お世辞にも暖かい家庭で育ったとは言えないんですよ…。なので、将来自分の家族が出来た時、暖かい家庭を築けたらな~って思ってたんです。あ!環境がら、家事は得意なので主夫でも可」

「なるほど…。よい夢をお持ちですね」

「夢って言うほど、大層なもんじゃない気がしますけどね…!」


 なんか恥ずかしくなって照れてしまう。

 俺今、超絶キモくね?


「そんなことありませんよ。幸せな家庭を築きたいと思うのは、当然のことです。むしろ立派です」

「そ、そうですか…」


 面と向かって言われると、余計照れるな…。


「えっと。ところで、力をくれるってことですけど、俺は一体どういう戦闘スタイルが向いてるんですか?」

「そうですねぇ…。貴方の身体は柔軟で、手先が器用なようですし、やろうと思えばなんでも出来ると思いますよ」

「え?そうなんですか?」

「はい。ですがそれは、特出した点が無いというのと同じ。オールラウンダーと言えば聞こえは良いですが、いざという時の決めてに欠けるでしょう。弱点が少ないとも、言えなくもないですが…」


 なるほど。流石は3000年生きる女神様。戦闘についてもお詳しい。大変勉強になる。ていうか見ただけで俺の才能をそこまで見抜けるんだな。

 でもそうかぁ。俺はオールラウンダーなのか…。思えば勉強もスポーツも家事も、なんでもそつなく熟して来たもんなぁ…。それも関係してたりすんのかな?


「ですので、仲間が必要ですね。一人でも生きていくには十分な力を、とは言いましたが、それはあくまでも不測の事態が起こらなかった場合のみ。余裕があれば『攻撃が得意な方』と『防御が得意な方』、最低でもこの二つの要素を持つ人を仲間にすることをオススメします」

「わ、わかりました!」

「では続いて、スキルの方ですね。こちらは剣術や槍術、魔法使い。様々な適性が貴方にはありますよ。先ほども申した通り、貴方はオールラウンダータイプですので。ちなみに授けられるスキルは一つだけですので、慎重に選んでくださいね」


 そう言って女神様は、液晶のような物を俺の前に出してくれた。

 うへぇ~。結構あるな…。剣、槍、斧、混、魔法使い……う~ん。どうやらファンタジー世界っぽいし、やっぱ魔法使いに憧れるよなぁ。


 ……ん?これ下にスクロール出来るのか?

 ちょっと下に何があるのか見てみよ~っと、お?『精霊魔法使い』?なんだこれ。


「精霊魔法使いは『精霊と契約して戦ってもらう』、モンスターテイマーに似たスキルですね。精霊と心を合わせることで、通常よりも超強力な魔法……『精霊魔法』を放つことが可能です。ただ、個体にもよりますが、精霊との契約はかなり難しいですけどね」

「へぇ~」


 精霊魔法使い…。エルフとかが使役して使ってるイメージが強いけど、人間でも出来るんだな。


 気付けば俺は、精霊魔法使いというスキルに釘付けになっていた。


「……これにします。これがいいです!」

「……………なるほど。わかりました。貴方がそう希むのであれば」


 あ。この人今、俺の思考読んだな?


「う~ん。しかし、そうですねぇ……これでは“一人で生きていく”には心許ないですね。ちょっとだけサービスしておきますね♪」

「サービス?なんですか」

「それは後のお楽しみです」

「?」

面白かったらいいねと高評価をお願いします。

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