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知りたくて

作者: 浦田茗子



 栗の花が落ちる頃、あの人に出会った。


「(こんばんは)」

 あの人は、掌を向けた両手を、左右から弧を描くように目の前で交差させる。それから、両手でそれぞれ1をつくって向かい合わせ、おじぎするように曲げた。

 長い指と、すこし骨ばった手の甲。わたしはその動きに見とれていて、

「(こんばんは)」

と、真似て返すのがやっとだった。


 手話や(ゆび)文字で、少しでもあの人のことがわかると、わたしのことをわかってもらえると、嬉しくて楽しい。


 わたしは、あの人が仲間内で手話で饒舌に話すのを見て、理不尽にさびしくなった。

 音楽や読書が趣味のわたしを、あの人はどう思うだろう。


 タチアオイがてっぺんまで咲く頃、あの人のことをもっと知りたい、そう思うようになった。



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― 新着の感想 ―
[一言] 電車や人混みの中で、ベンチに座って静かににぎやかに話しているのを見ると、羨ましいな、と思います。 目と目を合わせて話す頻度の高い会話。手や指で話すことは、とても近しい会話に見えるからでしょう…
[一言] 短い文章の中で、わたしが「あの人」を愛しく思う気持ちがとても伝わってきました。理不尽にさびしくなる、という気持ち、すごくわかります。 どんな風に発展していくのか、この後の展開がとても気になり…
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