星月夜(ほしづくよ)
ある日、あたしは夜空を窓辺から見上げた。
お月様が出ていない新月の夜だ。
代わりにお星様がたくさん出ていた。
まるで光の欠片を散りばめたみたい。
街灯がないから天の川まで見える。
凄く綺麗で。
筆舌に尽くしがたい美しさだ。
山の奥に来た甲斐があるなと思った。
こんな夜を昔の人は「星月夜」と呼んだらしい。
ぴったりな名前ではある。
一人だけの贅沢な時間。
けど寂しくはない。
いつまでも眺めていられる。
あたしは今度は地上を眺めた。
パチパチとはぜるたき火。
これも見ていて飽きない。
お星様と炎と。
一人ぼっちではないと教えてくれているようだった。