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プロローグ下

 宅急便を受け取る瞬間はゲロが出るくらい恥ずかしかった。


 なにせ、葵はノーブラで翔の大きなTシャツを着ていて、翔はスウェットに上裸。


 お兄さんは何の驚きもしてなかったけど、正直彼は目が見えているのだろうかと疑うほどだ。


 その姿は明らかに事後だった。


 落ち着いたとはいえ、汗はかきまくりで髪もぼさぼさ。葵なんてパンツとTシャツだ。少し注視するだけで乳首が見えてしまう。


 もちろん、そんな姿を見せる気はないが……って何を躍起になってるのか翔には客観視する余裕はなかった。


 まぁ、付き合ってもいない男女が同じ部屋で先程まであれこれしていて正気でいられるわけもないから仕方のないことだが男ならしっかりしてほしいものだ。


「だ、大丈夫? もう、いった?」


 翔が玄関先で届いたダンボールを地面に置いて安堵していると、後ろから恐る恐るに近づいてくる声がする。


「ん、あぁ。もう大丈夫だよっ」


「よかったぁ……」


 そう言うと葵は一気に力を抜いて、地べたに腰を降ろした。溜息をつき、すらっと動く上半身に遅れて我らが幼馴染の巨乳がたぷんっと揺れる。


 おおう。なんともおっきい。


 もう見てしまってドキッとしないかと思っていたけれど――――どうやらそんなことはないらしい。


 それに、小さい胸もいいかなと思っていたが大きなものを見てしまったせいか言わずもがな多きい方がいい。確実にそう言えるほどだ。


 って、まぁそんなことはどうでもよくてとりあえず、どうするかだ。


 やってしまった以上責任を取るべきなのか、それともこのままうやむやにしておくべきなのか。


 後ろで女の子座りで息を吐く幼馴染を見て、唐突にそう思った。


「このあと、バイトとかは?」


「え?」


「あぁ、いや……あるわけないよな」


「そりゃ、そうじゃないっ……こ、こんなことまでして行ける勇気も気力もないわけだし」


 ボっと頬を赤らめる葵。そんなことで休んでいけないのは分かっていたが、翔も葵も離れたくなかった。


 二人で一緒に悪いことをしている。この事実だけでちょっとドキドキする。いいのか、悪いのかなんて分かっていてもお互いの顔を見たら胸が高まった。


「……もう一発、する?」


「えっ……」


「いや、別に……嫌ならいいんだけど」


 翔は含みのある笑みを浮かべてから、すっと真顔に戻る。


(俺って、ずるいなぁ……)


 自分で分かっていても身体は止まらなかった。


「わ、私は……嫌なんて? 言ってないけど?」


「っく……ははっ」


「な、何よ! なんで笑ってるのっ!」


「えっ、いやぁ……その、可愛かったから」


「うっ——」


「ほら、そう言うところ」


「……揶揄うの、やめてよぉ」


 さっきよりも頬を赤くして、ちょっと俯きがちに否定する葵を見て翔は胸打たれた気持ちになった。


 てくてくとペンギンのように近づいて、右手でキュッと翔の服の胸元を掴み、上目遣いで様子を窺う。


(……反則過ぎるなぁ、マジでずるいぞ)


(うぅ……恥ずかしいぃ、私、何やってるんだろ)


 かみ合っていないようで、お互いの胸を穿つ。


 そこで翔は勝負に出てみることした。


「揶揄ってないよ。俺はすっごく可愛いと思ってる……」


「……揶揄ってるじゃん」


「本音だよ? 言ったらダメなの?」


「……そんなこと、私言ってないけど?」


 あざとい。ずるいのはどっちもだ。

 なんとなく返し方を分かっていて、自分達は大人なんだなと思った。


「ふぅん。じゃあっ」


 そして翔は胸元にいる葵の肩を掴み、耳元で一言。


「……そんな可愛い葵に一言。もっかいやる?」


「っ……」


 こくりと頭を縦に振った葵を見て、翔はまたもや服を脱ぎ始める。


 結局二人は第二試合を始めることになった。






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