公園
今日の部屋は、涼しくなっていた。
おとといまで、この部屋は外からの明るい日差しや、重く湿った、暑くるしい風と空気が入ってきていた
扇風機では、なかなか過ごせない一日だったが、今日は、涼しい一日になっていた。
清一は、自分の部屋の畳の上で、寝込んでいた。
目をつむりながら、頭を空っぽにして、寝ていた。
そのためか、眠気が少しずつ、襲ってきていた。それがだんだんと、積もっていくと、知らない間に、寝てたりしている。
寝たくない時に寝てしまうと、清一は、寝たことに後悔をしてしまう。何も考えたくない時は、こうして目を閉じたくなる。
清一は寝ないと思いながら目を閉じて寝込んだ。
そして三分後
清一は昨日、公園の事を思い出した。
その頃、公園に滞在して、二時間は経っていた。
清一は、彼女に名前を聞いてみた。
彼女は「そうだったね」といって、名前を教えてくれた。
清一も、自分の名前を教えた。
「清一って言うんだ」
「うん」
清一は、会ったことがあるかと思って、名前を聞いてみたが、シオリと言う名前には、出会ったことはなかった。
後から思ってしまったが、名前を聞くことに何か少し後悔してしまった。
清一は、そう思っていても、しょうがないため、考えないことにした。
彼女の名前は、あまり珍しくもない名前ではあった。
中学まで、クラスでよく耳にする名前でもあって女子に多かった。
高校生になってから、そこは男子校で、その名前に出会うことはなくなった。
彼女は、またあの話しをしてきた。
「こないだ、またホテル行ったの」
「ホテル?、前言っていた事を?」
「そうよ」
彼女は、ホテルに行ったらしい。重たい、あの夜の街に。彼女はニヤニヤしながら、見つめながら冗談を言ってきた。
「あなたも行ってみたいと思わない?」
「いや、行かない」
「あら〜」
彼女はそんなこと言いながら、左手の人差し指で太ももの横で、小さい円を描いていた。清一はそれに、目がいっていた。
「私、あなたに興味があるの、下校してる時によく出会ってるんだけど、あなた、いつも道端で何か食べているよね」
「あぁ、木の実食べてる」
「やっぱりそうか。木の実を食べてるあなたは、どんな味がするのかな、なんて想像しちゃうんだよ」
彼女は、勝手に妄想していたらしい。しかもどこかで、会っていたらしい。
清一の下校時間は、近くの高校生がよく歩いていたが、そこに彼女がいたとは、気づかなかった。
清一は、誰もいない道端で見つけた木の実を、取って食べている所を、見られていたらしい。
「で、想像したらどんな味だったの?」
「酸っぱかたわぁ、でも、少し甘かった」
自分をどう味わったか、わからないが、甘酸っぱかったらしい。
あと彼女は後ろから、ついて来ていたらしい。
そんなことをされていた事に、気づかなかった事に、頭いっぱいになっていた。
「いつからついて来たの?」
「あなたと公園で会う二日前かしら」
「二日前?、」
「そうよ」
彼女は初めて会う、二日前から、清一を見ていた
清一は、あの日の事を、思い出してみたが、あまり覚えていなかった。
「ところで、あの時なんで声をかけてきた?」
「あの時って?」
「公園で初めて会った時」
「あぁ、フフフ。あなたに興味があったからよ。道端で木の実を食べてる人がいて、嬉しかったわぁ。それもまさか公園で会えるなんて」
彼女は清一に、会えた事が嬉しかったらしい。
まさか木の実を食べてただけで、興味を持たれているとは。
「ところで、木の実を食べていただけで、どこに惹かれたの?」
「甘酸っぱいそうだから」
「どういうことだよ」
彼女の言葉は、冗談なのかよくわからない。ニヤニヤしながら、話しているのが、目立っている。
「あなたの汗を見てても、酸っぱそうだわぁ」
「いきなりなんだよ」
彼女は清一のゆっくり流れる汗を見つめていた。その瞳から何か溢れている、まるで獲物を狙う目のような感じだった。そして彼女の右手が、ゆっくりと、清一の太ももを軽く撫でてきた。彼女の本能なのだろうか。
「あなた、良さそうな体だわぁ」
「良さそうて、どこがだよ」
「フフフ、教えないわぁ」
彼女はずっと、清一の太ももを撫でていた。清一は動揺もせずに、ただ黙って静かに目を閉じた。