おにぎりの公園
清一は持参していたパンを食べ終わった。
彼女から眺められながらも、気にしないように、背を向けながら食べていた。
彼女の顔はまだ、ニコニコしている。
彼女はどういう気持ちで見ているのか、考えてしまうが、清一は何か食べている所をじっと見られているのを気、にしないではいられない。
「食欲がますます減っていく」
そう思いながら、細く長いパンを急いで食べ終わった。自分の胃が声をあげているような、気もしている。
時計塔の時間は十二時半ごろになっている。
午前中より、暑さが、少しマシになっていた。
外にいた時間が長かったため暑さに慣れてきたのか、自分の汗がさっきと比べて、一粒も、出なくなったような気がしてくる。それと同時に、風が吹いてきた。それが涼しく感じてくる。木の葉っぱが当たる音が、いろんなところからするが、それも心地良い感じがしている。
清一が食べている間は、彼女は何も昼食をとっていなかった。持ってきてもいないのか、わからないが後で食べるのではないかと思った。
「昼飯は食べないのか?」
「そうねぇ、何も持ってきてないからねぇ」
「そうなの」
「うん」
「じゃあ昼飯、食べたりするの?」
「するよ、いつもおにぎり二つ分は食べてる」
「おにぎりって、どんな味を」
「そうねぇ、ひとつはお米の中にマヨネーズを入れてる、もうひとつは蜜柑ジャム入れてる」
「へぇ〜、どんな味するの」
「マヨネーズの方は米よりマヨネーズの方が強いかな、蜜柑の方は米が甘くなるねぇ」
「ほぉ」
マヨネーズ味はある程度想像できたが、蜜柑ジャムの方は想像できなかったが、面白そうだったから、もう少し聞いてみた。それに対して彼女は、楽しそうにいや、嬉しそうに話している。
清一は、蜜柑ジャムの事で、少し頭いっぱいになってきていた。こないだの食パンに塗る蜜柑ジャムが賞味期限が切れていた事に、ショックを受けていた
その事について、思い出してしまった。
そこまで好きではないが、食パンに塗れなかった事が、心に響いていた。
彼女はいっとき、向こうの空をまた眺めていた。向こうの空は相変わらず青空だ。鳥が三羽飛んでいる。小さい雲が、ゆっくり流れている。平凡な青空に、あとは眩しい太陽があって、輝いているだけだ。
「空を眺めているが、どんなを見ているの?」
「特に見てないわ、見ているとしたら太陽を眺めているだけ」
「太陽を見ているだけ」
「そうねぇ、あなたもたまに空を見ているよね?何見ているの?」
「いや、俺も特に見てないわぁ」
「あら、あなたこそ何か見てそうだけど」
「そうかなぁ、見ててもどれを見るんだ?。見てたとしたら、あそこに飛んでいる鳥でも見てるかな」
「鳥?、ところであの鳥なんだろう?」
「本当なんだろう?」
遠くに飛んでいる鳥が、どんななのか、細目で眺めていた。目が悪くなりそうだが、つい気になってしまっていた。
だが清一は、自分の目が悪いため、よく見えていなかった。