ホテルの夜空
ツヤのある黒く長い髪が肩までかかっている。
永井しおり 17歳
今夜も思い空気の世界、青、赤、緑などの看板が店の入口を飾る。
若い女性が中年の男性と一緒に歩いている人達を数人見かける。年齢もばらばらのようだ。
その中の一人、しおりも中年の男性と一緒に手を繋いで通りを歩いている。
「しおりちゃん、今日まで元気にしてたかい」
「うん、元気にしてたよ」
「良かった」
しおりは嫌な顔もなく、ニコニコと答えていた。
それに対して男性もニコニコしていた。整った黒いスーツ姿の男性は社長である。
この国ではあまり耳にはしない会社だが、海外では有名であった。
月に何度かこの風俗地区を訪れる。男性はこの通りの外れた所にある体目当ての店がたっている。
そこの店で夜、しおりと出会う。
今まで5人の女性と交わってきたが、しおりが一番のお気に入りだった。
二人は近くのホテルに向かった。そこのホテルは男女二人で入ってくるのをよく見る。男女そのための場所でもあるだろう。
しおりと男性は決められた番号の部屋に入った。
すぐ二人は部屋に設置してあるシャワーを室で浴びて、ベッドに向かって交わった。男性はしおりの細い白い体の線をゆっくり手でなぞっていく。彼女の顔は一瞬力が入ったがゆっくりと抜けていき、目がうっとりとしていく。
「くすぐったい」
「そうかい、まだ始まったばかりだぞ」
「あんっ」
しおりの体を舐め回す。特に若い子の胸はむっちりとしている。
男性はじっくり、ゆっくり触りながら露出した部分も舐めていく。
ホテルに入ってから一時間は経っていた。
「しおりちゃん」
「うん?」
「好きな人がいたりするの?」
「好きな人、いないよ。私の周りのつまんない男はこの世の流れに乗る者ばかり、流れに乗って浮かれていたりするけど、つまんない者よ」
「ほぉ〜、君の周りはつまらない男ばかりかぁ」
「うん、そうだよ」
しおりはニコニコしながら話す、中年の男性もニコニコしている。
午後八時が過ぎている。しおりは時間など気にしていない。
男性はしゃべりながらスーツに着替えていた。
「しおりちゃん、先にホテルを出るから。鍵はここに置いてあるから」
「うん、わかった」
男性はしおりの頭を撫でて部屋を出て行った。
ドアが開いて閉まる音がした。男性がいなくなった部屋はしおりだけになり静かになっていた。
時計の秒針だけが響く、広い部屋に二人分の大きなベッドに寝っ転がった。
「まだ出たくないなぁ」
あくびをしながら呟いた。
しおりは今この部屋から一歩も出たくなかった、この静かな部屋が心を落ち着かせる。
「明日、公園にでも行こうかな」
しおりは明日の用事決めてベッドから立ち上がった。制服に着替えて置いてある鍵を持って部屋を出た。
ホテルの外に出た、空は暗いが建物が並ぶ通りは明るく賑わっている。居酒屋も笑い声など大勢の人で賑やかなようだ。
しおりは眺めながらこの街の門を出ていく。