通り道
あれから二週間はたった、夏の暑さは前の年より少しずつ厳しくなっている。
午前10時、外は朝から気温34度ぐらいに暑くなっていた。
部屋の空気はムシムシしていて、セミの鳴き声が今日も空気と一緒に賑やかに鳴いていた。
窓の外からは日差しも入ってくる。
カーテンは風で揺れて勝手に動いてあいてしまう。部品がもろくなっているのだろう。ホームセンターに行かなくてはならない。
ここからバスを使って行かないといけない。
父親はいつも県外に出張で行っていていない。母親は車の免許を持っていないため運転することができない。
貯金をバス代に使いたくない。ホームセンターに行くのをやめて、家にある物で代わりに使うしかない。
家の横からはアスファルトの反射が眩しい、外を眺めるとアスファルトの道が白く光っている。
まるで鏡でも敷いているのではないかと思ってしまう。
この部屋にエアコンが欲しくなる、扇風機でなんとか生きていけるが。
暑さの原因は人間のせいだろう。
勝手に山や海に土地開発などをするからか、効率や金のために川や海に道路を設置して、あちこちにコンクリートを埋めていくのだろう。この世はそうしないと怖くなってしまって生きていけなくなってしまったんだろう。
何万年前のような自然の中の木や石などを使う原始の生き方はもうできない。
神様はいない。人間がピンチになった時、神さまが人間を助けることは今後ないだろう。
人間が神様を作ろうとしているが無駄だろう。
そんな中を向こうの方ではマンションが建設している。
マンションのチラシもよく見る、マンションの建設も最近はよく目立つ。
古いマンションもたくさんあるがぼろぼろになって残ったままになっているのもよくある。
それに見晴らしが悪くなっているようだ、あのマンションは完成した3か月後に綺麗に下から崩れればいい。
そんな事を一人考えていたがそんな事を考えていても無駄なのかもしれない。
そんな暑いなかこないだの彼女を思い出した。あの後どうなったなんて考えてしまう。
一回しか会ったことがないのにあんなに自分のことをペラペラいたから気にするべきなのだろうか。
後から感じたことだが、知らないうちに先の事が不安になっていた。
汗も止まらない暑さと不安が混じっている。
不安は気づかないうちに出来上がっているだろう。
自分がおじさんぐらいになった頃に、愛人と性を交わる時に興奮してバブバブとそんなことを言ってしまうのだろうか。
清一は発散のために、ノートに架空の人物を描いた。
架空の人物がおじさんで興奮状態の時、バブバブいう設定で。
これでいいだろう、などと思って不安材料を取り除いた。
今日は公園に行くか迷っている、いつも座るベンチは横に大きな木あるおかげで陰になっているが、家から公園まで15分はかかる。
この暑い日差しの中公園まで歩いていくのがしんどいが、迷った中行くことに決めた。
・・・
「今日も暑い、氷を口に入れて舐めながら歩いていたが、アイスを食べくなってくる」
やはり日差しが暑い、下からの反射も暑い。
氷を口に入れてもいっとき溶けてしまうとまた麦茶と氷の入った水筒を持ってきていたが、すぐ口に氷を入れたくなる。
遠くの道は白く見えている、眩しいもんだ。
この道路は車の通りが少ない。
住宅街ではあるが、ここの地域は車を持っている人が少ない。
よくこの道路は学生が5、6人ぐらいの集団で横になって賑やかにしゃべりながら歩いてたり、幼い子供が短い縄や長い縄で縄跳びや新聞でくるくる巻いた棒でチャンバラなどで楽しそうに遊んでいるのを見かける。中にはまっすぐの木の枝を新聞紙と一緒に巻いて中に入れている子を見たこともあった。どれだけ頑丈だろうか。
高校の同級生の友達が、厚紙でいつも刀を作っている奴がいたが。
その刀は頑丈できているらしい。それをヤンキーたちに配ってよその高校生と喧嘩しているらしい。鉄パイプなど巻いているのではなんて考えてしまう。
おばさんたちは時間帯のせいか、暑いせいか集まってしゃべっているのを見当たらない。
おばさんたちは買い物帰りに隣の人と出会うとしゃべりだして、それに釣られて掃除などをしていたおばさんも会話に入ってくる。
そんな感じの流れを普段集まって喋っているのを見かける。
彼らはしゃべることで家事のストレスは発散しているのだろう。
気づいたころには30分ぐらいは夢中になっていて、気づかずに経っているだろう。
それくらいの不満話がたくさん体中に溜まっているのだろう。それ意外に世間話でもしているからだろうか。
普段通っている時はあまり気にならないが、この道が静かになっていると寂しいような感じがしてくる。
その変わりセミの鳴き声がこの道を元気に賑わせている。通りに木は並んではいない、家の壁や庭の木などにとまっているのを見かける。
幼い頃に見たときはこの道はアスファルトではなく土だった。青々と茂った木が並んであったのも目立った、そこにセミが木にとまってミンミンと鳴くのが普通だと自分は思っていた。
だが今はこの道に木は並んでいない、いつからなくなったかは自分の記憶の中にはすっかり忘れてしまっていた。
忘れてしまった方が今後のため、将来のためにも良かったのかもしれない。
そう思うしかないだろう。