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夜の下

夜のビルの下に風俗などが立ち並ぶ通りは今日も賑やかだ。

ピンク、青、赤、緑などそんな看板が縦と横と、店の入口の上にあったり、横に立ててある。

そこは仕事帰りに憂さ晴らしなど集まり出す場所で、快楽を自ら溺れる者など居ただろう。

叫びながら歩く中年の男性がヨレヨレしながら、横を歩いていた若い女性の尻や胸をニヤニヤしながら触るものもいた。中には、服の下に手をいれながらあるくものもいたりして。

何か重い空気感がある。その土地から出てきているのか、人間たちが出しているかわからない。

そんなもうもうとした空気の中をそこに一人の高校生ぐらいの女子が歩いていた。だがそんな子が歩くことも珍しくない。

彼女は満足した顔だった。こんなに面白くて心が潤ってしまうものだったからと頭の中でいっぱいだった。


そんな話しを清一は17歳の長い黒髪の子から聞いた話しを夜中、自分の部屋でノートに記録していた。外は車が一台走っている音がする。

『彼女はにこやかに、たまにニヤニヤしていた』と、すぐ、思い出せるように最初のページに書きだした。

清一が午前中にそんな話しを聞くことになにがあるのだろうか、そんなことを一人で考えてしまう。


・・・


晴れた空、公園のベンチに座っていた。

清一はその日は学校を三日間休んでいた。特に体調が悪いわけではない。

公園のベンチに座っていたかったからだった。

ぼーっと空を眺めていた。トラックの走る音がよく響くなか、公園の中をほうきではわいてる音も聞こえる。今日から七月に入った。



ある時、隣に一人の女子が座ってきた。彼女は制服姿で可愛らしい顔をしていた。

同い年ぐらいの子に『可愛らしい』と言うのもなんだかイヤな感じだが、その子はニコニコしていた。

いっときしてその子から。


『なんだか暇そうですね。お兄さんは近くの高校の子でしょ。』

『なんでわかったんですか?。』

『あなたが制服でこの公園にいるのをよく見るんだ。』

『まぁ、そうですね。』


たしかにこの公園によく来ている。

静かだし夏場は日陰になっているからお気に入りの場所でもあった。

冬場は寒いが、誰にもゆずりたくはないが座られてるとちょっと困ることもあった。


『ところで君もここによく来るの?。あまり見かけない顔だが。』

『いえいえ、私はよく来てますよ。まぁ、このベンチには初めて座ったんですけど、いつもは向こうのアイス屋の近くのベンチにいたんですよ。今日はココに座りたいと思ったんですよ。特にあなたとしゃべってみたくて。』

『オレに何か?。逆ナンパとかですか?』

『いえいえ、そんなことはないですよ。私面白い話しをしに来たんですよ。聞いてくれますか?。』

『まぁ〜、いいけどどんな話し?。』

『そうですねぇ、どれがいいか迷ってしまうんですよ。』


彼女はニコニコしながら考え事をしていた。

見知らぬ人に歳が同じぐらいだから話されるのもイヤだが今日はきいてみるのもアリかもしれない。

それで彼女はスッキリした顔をしながら口角を上げて口を動かしだした。


『こないだ、体を売りに行ったんですよ。』

『体を売りに?。』

『ハイ、お金が足りないとかじゃありません。友だちが行ってたもので私、知りたくなったんですよ。それで夜に行う事なんですけどそれがいいんですよ』


ビクともせずに聞いていたが、なにいいたいのか疑問に思っていた。

だがなにより気になる事は『知りたくなった』ことが一番の気持ちだった。

警戒心も無く話すことに恐怖を感じてしまうことも時々あったが最後まで話しを聞いみた。


『街中のホテルに男の人と一緒にむかうんですよね、後はあなたの妄想でもわかるでしょ。でもねあなたが想像することとはちょっと違うかもしれないは』

『違うってどんなことがあるんだよ?』

『フフッ、知りたいのぉ?。でねそれでね、服を脱がされて、アレコレされるんだけどいっときしてその男性がね。あっそうだった、どんな男性かを言ってなかったねぇ。あなたに想像を楽しんでほしかったから』

『それで』

『その男性は40代がいいかな。フフッ』

『40代がいいかなってどうゆうことだよ』

『イヤらしさが増すからいいかなって』


実際の年齢が気になるが、イヤらしさを出したいらしい。想像を手助けでもしてくれてるらしい。そんな事をするかは構わない。

彼女は夜、風俗などが建ち並ぶ場所に行ってる。そこはどこにあるかは大体はわかった。

一回、その夜に未成年とバレないような格好で夜の街を通ったことがあった。オレにもそこの場所の空気に興味があったからだ。そこは重たい空気感が伝わっていた。酒に酔っていればわからなくなるのだろうかなどと思う。



『それでねぇ、始まってから中盤にはいるんだけどその男性がねぇ ハァアハァア してたんだよ。だからその人の顔を見たのよ』

『その顔とは』

『赤ちゃんみたいな顔していたの。しかもバブバブ言いながら私の体を舐めながら。今まで私こんな人を見たのが初めてでねえ』


オレにはなかなかの自分にとって濃ゆい話だったため、次第に興味が湧いていた。あまり気持ち悪とも思わなかった。

一日を埋めるには良かったかもしれない。

しかし彼女は相変わらずペラペラとしゃべるだがそれが異常かはそこまでは気にならない。


『で、赤ちゃんがどうだったの?』

『顔が真っ赤だったから』

『真っ赤ってそれは酔ってたからじゃないのか』

『酒はのんでなかったわ。それにバブバブ言う人に何人か出会ったわ』


バブバブ言う奴がいるのか。清一にわわからなかった。

だが何人かはいるのだろう。

時計は午前十一時を過ぎていた。

九時ぐらいからここにいるのだがまだ二時間しか経っていなかった。


『なんて話をしたかったの』

『ふぅ〜ん。アレ、そう言えば学校は?』

『うん、今日は休み』

『休み?、なぜ制服姿で?』

『特にないわ』

『ふぅ〜ん、そうか』


彼女は制服だいることはわからなかった。

だが特に理由もないような顔をしていた。

そろそろ昼飯の時間だろうだが今日は食べない予定だし、このベンチからまだ立ちたくない。

彼女は相変わらずニコニコしている。

この後どうするのかわからないがさっきの話しは終わりなのだろうか。

『どれがいいかな』など言っていたが、指摘する気はなかった。


その後、彼女はベンチから立ち上がった。それと同時に風が吹いた。清一は今まで気づくことはなかったが彼女はいい匂いがしていた。バラだろうか?、さわやかな匂いがしていた。清一にとって心地よい感じの香りである。


『帰りのかい?』

『いえいえ、ちょっと散歩しに』

『ふう〜ん』

『あ、最後にいいたいことがあるわ』

『ん、」

『あんなに面白いことはないわぁ、清々しいだもの。後、変人だなんて思わないでね。』


と、言ってこの場を離れた。淫らなことを汚いとは思いはしなかった。

そういいたいのだろう。

しかし今日は晴れていて暑い、目を閉じるとスズメの鳴き声がこの公園に響く。

ここは暑くもなく寒くなく、快適な場所だ。

遠くで60ぐらいのおじいさんが、すこし口にしたあとパンの残りとリュックから透明の袋に入った小麦色のエサらしきものを鳩などにあげていた。

そこにハトは6羽、スズメは10羽以上は集まっていた。そのなかで小さなスズメが上手く口にできていなかった。ほかのスズメに蹴られているだろう。

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