表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

闇の方へ

作者: 瀬川なつこ

懐かしさはすぐ傍へ、

懐古の夏、蝉時雨、旅の雲水さん、夕立、入道雲。

影法師、鴉の群れ、彼岸花にお地蔵さん。

置いてきた魔法の時が、

今此処へ。

古びた物語が、

時を刻みだす。

夕べの夢。

逆さろくろ首が、欄間に首をかけて私の顔をじっと見つめている。

怖いのに、豪華絢爛な友禅の着物と緑色の目があまりに美しくて、目が放せない。

お前は、取り憑かれるよ、そういう人生を送るよ。

そういって、闇の方へ落ちていった。

あれから何年も経つが、身の回りに、霊障が収まらない。


呪いの藁人形が幾つもある神社を知っています。

そこの近くの家では一家心中があったようです。

近くには墓場が野ざらしで放置されています。

黒猫が横切ります。

鴉が集まります。

宿場町の近くの街より。


学校の怪談。

放課後、開かずの教室の中から花子さんがけたけた嗤う。

石膏像が鬼の置物に変わる美術室。

人が誰もゐないのに、トイレットペーパーがころころと転がりだしてくる、三階のトイレ。

ベートーベンが血の涙を流す音楽室。

天井の染みが人の顔に見える、うちのクラス。


お寺さんのやっている仕事は穢れたお仕事です。

人の遺体、人骨を管理しているのですから。

夜になると人魂が墓場の方で踊っていたということもよくあるそうです。

亡くなった人が腹の上に載ってきて首を絞めてきたこともあるそうです。

六文持ってきた、と言われて、振り返ったら誰もいない…そんなことも。


通り沿いに、麦わら帽子の男の子が、一軒家を見ている。

君は、あそこの子かい。今日は通夜があってね…

雨の中、傘も差さないで、タンクトップ姿のその男の子は、一軒家を眺めている。

あっ、ちょっと…!

男の子が走り出して、曲がり角の前ですうっと消えていった。

今年も、来たのね

8月15日、お盆の時期に。蝉時雨、夕刻。

どうやら、彼の息子が、亡くなったらしい

七不思議、怪談。

そう言ったものがひそひそ伝わってくるのが学校の七不思議だ。

だいたい、苛めが絡んでいる。

恐ろしい子供同士の闘いに、

涙ぐましい怪談が生まれるのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 七不思議や怪談の裏話って悲しい真実が多いですよね(・・;) ヒンヤリなお話ありがとうございます
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ